第34話 至福の睡眠
「終わりましたブ。」
仙から教育を受けたオーク達は軍隊のように整然と並び敬礼をして待機している。
「う、うん。期待以上だよ。仙。」
「ありがとうブ。」
どんな教育をしたかって?
途中からあまりの恐ろしさに記憶が飛んでいるから分からん。
ただ今も思い出そうとすると震えが止まらなくなる。
俺はここに仙は怒らせないと誓う。
『・・・』
今回はヤスも恐怖でディスる余裕がないのが俺にも伝わってくる。
「いや~、仙の教育方法はスゴイな。アタイも参考にさせてもらうよ。」
「いえいえ、従属種如きを従えるのに手間取っているような私などまだまだです。」
近接物理特化型の二人は話が合うのかにこやかに話しをしている。
仲が良いのは俺としても嬉しいけど話の内容がもっと女性らしい話にしてほしい。
トン・チン・カン、すまん。お前らは近い将来地獄を見ることになるかもしれない。いや、確実に見るな。
「ブゴ~。」
「ブ~、ブゴ!」
敬礼で待機の姿勢が続いて疲れたのかオーク達の気もそぞろになってチラホラと呟き声が聞こえてくる。
そんなオークのダラケた?雰囲気に仙の怒りが爆発した。
「ブタ共!誰が喋って良いと言った!ただ口を閉じることもできないとはお前らはゴブリン以下か!腕立て千回だ!」
「ブ、ブモ!?」
怒りモードの仙の言葉に一匹のオークが驚いたように声を上げた。
表情の消えた顔で底冷えするように声を発している仙の怒りが分からないのだろうか。
そこは黙って腕立て千回・・・はできないか?いやでもやらないともっと酷い目に会うぞ。
仙の教育を受けてそんなことも分からないのか?
ん?俺はなんでもっと酷くなるって・・・・深く考えたらダメだ。
「まだ貴様らは自分の立場が分かってないようだな。貴様らはタダの豚、いやそれは豚に失礼だな。貴様らはタダの肉だ。肉が勝手に喋るわけないだろう。分かったら全員腕立て一万回だ。」
ほら言わんこっちゃない、もっと酷いことになったぞ。
「「「「ブブモ~!」」」」
さっき声上げたオークに他のオークが非難の視線を向けながら何か言ってる。
「なんだ。腕立て一万回では不足なのか?」
「「「「ブ、ブブ、ブブブ。」」」」
漸くどうすれば良いのか分かったのかアンデットオーク達は仙に言葉を聞いた瞬間腕立てを始めたのだ。
「このグズ共が。ご主人様、私の教育が行き届いてないばかりにすみませんでしたブ。」
フ~、仙の怒りは一旦納まったみたいだな。
記憶に無いけどアレだけ仙に教育を叩き込めれたのにオークって学習能力が低いのか?
「それじゃ、村に帰るよ。」
オークが規則正しく腕立て伏せをしている不気味な状況を気にもしないサクラさんから帰還の提案が上がった。
俺もオークのことをタダの駒として扱うつもりだったけど、あまりにもナチュラルに無視されているのがほんのちょっとだけ可哀相だ。
オークの罰が終わるまで待つ気はこれぽっちもないけどね。
「ファ~、そうだね。ここでの用事は済んだから帰ろう。」
なんだかさっきから凄く眠いんだよな。
眠い?スライムになってから眠くなったことないのに何で眠いんだ?
『あ~、アレっすね。魔力量が身体強化に必要な量を下回ったので魔力量を回復させるために体が睡眠を欲してるんすよ。』
体が疲れたときに眠たくなるのと同じようなものか。
「仙、俺は寝るからすまんけど後は頼む。」
「分かったブ。オーク共はしっかり調教しとくブ。」
仙が何か不穏な言葉を言っているけどダメ、眠気に逆らえない。
あ~、何か大事なこと忘れてる気がするZzzzz。
あ~、気持ち良い~。
何だろ、柔らかすぎず硬すぎず。最高級の枕で寝ているようなこの感覚。
できればこのままずっと眠っていたい。
「ご主人様、ご主人様。起きてくださいブ。」
誰だ、俺の眠りを妨げるのは!
「ご主人様、そろそろ起きてくださいブ。」
「ブハ!な、なんだ!敵か!」
なんか分からんが物凄い衝撃を受けたぞ。
即座に魔力感知で周囲の状況を確認する。
どこかの建物の中のようだ。近くに仙がいるが特に戦闘が発生している様子もない。
となるとさっきの衝撃は何だったんだ?
「す、すみませんブ。」
どういうことだ?なぜ仙が俺に謝っているんだ?
『さっきの衝撃の原因が仙にあるからっす。』
仙が俺に攻撃したのか?いやそれはないと思うぞ。
何でか分からんがそれは確信を持って言える。
『旦那を起こそうと仙は普通に揺すっただけっす。ただ仙の女王様スキルに問題があったっす。』
女王様スキルの効果は確かMに関連するものに特攻だったな。
Mに関連、Mに関連・・・・あ、そういうことね。
俺ってエロエロマジックスライム(M気質)だったな。
つまり仙が俺に接触すると全て特攻の効果が付与されるのか。
『まぁ、旦那にとってはご褒美だから仙にはお礼を言うべきっすね。』
俺にそんな性癖はねぇ。例えステータスの種族にソレに類推される表記があってもだ。
「仙、大丈夫だ。ただ俺って繊細だからもう少し優しく扱ってくれ。」
「分かりましたブ。気をつけますブ。」
スキルのことを指摘すると仙が傷つくかもしれない。
俺にダメージを与える可能性があれば仙は俺と接触するのを避けるかもしれない。
それは困る。
オーククィーンの能力と戦力が必要だったのもあるが、仙の体との接触がなくなったらなのために大量の魔力を使ってあんでっと化スキルを使ったのか分からなくなる。
だって異世界に転生したのに貴族令嬢も奴隷少女も美女眷属も今まで仲間にならなかったんだぞ。
それがやっとほぼ美女眷属が仲間になったんだから分かるだろ。
『旦那の欲望のはけ口にされるなんて仙が可哀相っす。』
欲望のはけ口って、もっと言い方があるだろ。
俺はただちょっと折角異世界に来たんだからそれっぽいことをしたいだけだ。
ただのスキンシップだよ。
「ご主人様、これからどうしますブ。」
今後の予定も一応考えているから話さないといけないけどその前にサクラさんに会いに行こう。
できればオークキングを一撃で倒した方法を教えてもらいたい。
「サクラさんのところへ行こう。多分、村の訓練場だろう。仙、連れて行ってくれ。」
折角なので仙の双丘を堪能してみよう。
へ、変態?
種族がエロエロマジックスライム(M気質)であり変態スキルを持つ俺にはそんな言葉通用しないぜ。
「それじゃ、失礼しますブ。」
仙にそっと持ち上げられ両手で抱きかかえられた。
「おお、これが夢にまでみた。グギャ!痛い痛い、タンマタンマ、仙離してくれ・・・・。」
「ご主人様、すみませんブ。しっかりしてくださいブ。」
『己の欲望を満たしたのだから旦那も本望っすね。』
まさか特攻効果にココまでの効果があるとは・・・・グフ。
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