第31話 オークジェネラル討伐(ついでにオークキングも討伐)

胸という名の天国が待っているんだ。


オークジェネラルなんてちょっとデカいだけの豚に負けるわけない。


「これでも喰らってろ、バースト!」


今回のオーク戦で一躍主力スキルになったバーストで先制攻撃。


多段螺豪突きが現在使える最も攻撃力が高いスキルだが、近接物理特化であるオークジェネラルに接近戦を挑むほど自分に己惚れてはいない。


卑怯と言われようともアウトサイド攻撃でチマチマ削っていく。


勝てば官軍負ければ賊軍なんだからな。


「ブギャ!」


オークジェネラルのヤツバーストを食らって情けない悲鳴を上げてるぜ。


バーストの有効範囲にオークジェネラル一匹しか捉えていない。


「ブギ!」


「ブブギャ!」


残り二匹のオークジェネラルがバーストで舞い上がった土煙を目隠しとして利用したようだ。


豚は豚でもさすが上位種と言ったところか。


まぁ、魔力感知を持っている俺には全くの無駄なんだけどね。


「バースト×2」


ドカン、ドカン連続して地面が振動する。


一息つく間もなく血だらけのオークジェネラルが土煙の吹き飛ばしながら大剣で切りかかってきた。


バーストでオークジェネラルを仕留められなかったのは魔力感知のお陰で分かっていたので落ち着いて対処する。


「多段螺豪突き」


剣戟を裁くような技術もスキルもないから身を固めて防御するか手数で押して攻撃させないかのどちらかしか俺にはできない。


近接物理特化のオークジェネラルの一振りを防御するのは怖いので手数で翻弄することを選ぶ。


将軍の名を冠する上位種だけのことはあり連続して放たれる激しい突きを手傷を負いながらも捌いてゆく。


「マジですか。ならば手数をもっと増やすだけだ。」


容易くオークジェネラルを倒せるとは思ってはいなかったが多段螺豪突きをここまで捌かれるとは予想していなかった。


それに残り二匹のがすぐにでもここにやってくるはずだ。


目の前のオークジェネラルがバーストの爆発を受けても無事なのだから残りの二匹も無事なのは明らかだ。


「ブギ!」


「ブブ!」


鳴き声と共にバーストで足止めされていた二匹のオークジェネラルが近づいてくるのを魔力感知が知らせてくれる。


「できるなら倒したかったけど無理か。」


『当初の予定通り陽動に専念すべきっすね。キングとクィーンの能力て強化されたジェネラルを倒すのは旦那には難しいっす。しかも3匹もいるんっすから尚更っす。カッコつけるのは諦めるしかないっすよ。』


彼も分かってるよ。分かってるけど女の子が見ているところでカッコつけたかったぁ。


これからはアウトレンジをメインに戦います。


つまりさっきまでと同じことの繰り返しですね。


「バーストからのウィンドボム。」


多段螺豪突きを捌くので手いっぱいのオークジェネラルに対してバーストのスキルを使う。


バーストスキルは指定範囲内から爆発エネルギーを拡散させないことで威力を高めているので自分や味方への誤爆がないのは良い事ことだが爆発のエネルギーを使って戦線から離脱することができない。


そこで足元にウィンドボムを発動することで後方へ離脱する。


「ブブギャ!」


「ブゴ!」


すんでのところで二匹のオークジェネラルの攻撃をかわした。


「スキルがこうそく思考じゃなくて、高速思考なら接近戦をしても圧倒できたかもしれないんだけどなぁ。」


『こうそく思考スキルはエロエロマジックスライムの旦那にピッタリのスキルっすよ。』


こうそく思考スキルが本領を発揮するのは他の色物スキルと同じでエロに結びついたときに本領が発揮されるスキルだ。


ケッカイスキルやエッチな風魔法でバーストのスキルを作りだしたようなトリッキーな方法を使えばいいのかもしれないが目の前に醜い豚がいる状態でエロいことを妄想できるほどの余裕はない。


それに通常でも全く効果がないわけではない。


そうでなければ今頃、俺は粉々に砕けたゼリーになっていただろう。


多段螺豪突きとバーストを組み合わせて少しづつオークジェネラルの身を削ってゆく。


チクチクダメージを積み重ねてゆく地味な作業だ。


「ブギギィィ!」


いつまで経ってもスライムを仕留めれないことにイラだったのかオークジェネラルが俺の多段螺豪突きを捌く動きが雑になって来た。


「チャ~ンス。そんなに雑な動きをしたらダメでしょ。」


ここぞとばかりに多段螺豪突きに込める魔力量を増やす。


急に勢いと威力の上がった攻撃を雑な動きで捌くことなどできない。


「ブギャァァァ!!!」


俺の羅豪突きがオークジェネラルの左肩に穴を空けた。


大穴が空いた痛みに耐えられずオークジェネラルは膝をついた。


残りの二匹のオークジェネラルも事態の変化に反応して足を止める。


「よしよし、流れは俺にある。」


さてここで攻勢に出るべきか。


そろそろオークキング辺りが痺れを切らして動いてくれたらいろいろ楽なんだけどな。


「ブモォォォォ!!!!」


俺の願いが届いたのかオークキングの叫び声が響き渡った。


心なしか3匹のオークジェネラルの顔色が悪い気がするのは気のせいだろうか。


左肩に穴が空いて膝をついていたオークジェネラルも立ち上がり、さっきまでバラバラに動いていた3匹が連携して動き始めた。


目付きが変わり表情も鬼気迫るものになっていた。


ここが正念場だと俺も気合を入れ直し・・・・たのになぜか3匹のオークジェネラルが後ろを向いている。


俺も気になってそちらを見るとそこには首のないオークキングが立っていた。


どうなってんだ?


「よくやってくれた。オークキングはアタイが仕留めたぞ。」


あ、はい。そうですか。


オークジェネラルより強いオークキングをあの一瞬でどうやって倒したんだ?

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