第27話 豚の細切れ

「トン・チン・カン、村の警備で異論はないな。」


「「「はい。」」」


トンとチンは悔しそうに顔を歪めているがカンはホっとした顔している。


スライムに負けるとは思ってなかったんだろうな。


「悔しいが俺達の負けだ。サクラ姉さんのことを頼んだぞ。」


「次は俺達が勝つからな。」


「はぁ、よかった。」


トン・チンは俺に負けたことは悔しいみたいだが俺に対して嫌悪感はないようで安心した。


トンがサクラさんのことを俺に頼んでいるけど寧ろ俺が助けられるほうだと思います。


『何情けないこと言ってんすか。そこは任せとけって言うのが漢ってもんっすよ。』


言うだけのヤツは良いよな。


「それじゃいくよ。」


サクラさんの形の良いお尻を見ながら後ろを着いていく。




「プギャプギ!」


「プギャギャ!」


鬼人族の村を出て森を少し歩くとすぐにオークの一団と遭遇した。


「チッ、前より増えてるな。」


「オークってやっぱ二足歩行のブタなんだな。」


『そうっすね。オークのほかにオークソルジャー、オークマジシャン、オークアーチャーに加えてオークリーダーまでいるっす。これだけの集団が複数いるとなると相当巨大な巣ができてるっすね。』


ほぇ~、そうですか。


久方ぶりにヤスの案内人としての能力を実感した。


戦闘前にステータスを確認しておく。


ステータス!




ステータス


名前 未設定


種族 エロエロマジックスライム(M気質)


魔力量 4100/2400


ランク F?




スキル 


触手 ビジアンヌの寵愛 ヤス 魔力操作 魔力感知 メタルウィップ 多重魔力吸引 強打 スライムドリル エッチな風魔法(ウィンドカッター弱 ウィンドボム弱) あんでっと化


ケッカイ・・・結界を作り出すスキル。対象範囲内に魅力的な女性がいるほど強化される。


こうそく思考・・・思考速度が高まる。エロに関係する内容ほど高速で思考できる。


変態・・・体の一部を今まで取り込んだ物質に変化させる。本来は変化と言う名前だが種族がエロスライム系統なため変態スキルになった。


念話・・・念ずることで相手と会話できる。


多段螺豪突き・・・渦巻く魔力で強化した武器を剛力を持って突き出すスキル




フム、相変わらず多重魔力吸引がいい仕事してますね。


ほとんど魔物を吸収してないのに魔力量が増えています。


それに有用なスキルも増えています。


有用なので些細な補正効果については気になりません。ええ、些細なことなので。


「なにボサっとしてんだい。さっさとあいつらを倒すんだよ。」


ステータスを確認していたらサクラ姉さんに怒られてしまった。


サクラ姉さんみたいな美人に怒られるとなんかゾクゾックと・・・俺はMではない、Mではないぞ。


『旦那はMっすよ。種族名にM気質ってはっきり表記されてるんっすから。』


違う、違うんだ。


俺はどっちかというとSだ。


『どっちにしろ変態っすね。』


ヤスのせいで荒んだ心を癒してくれる天使は鬼人族の村で俺の帰りを待っている。


仕方ないのでサクラ姉さんの胸とお尻を眺めて心を癒す。


癒しエネルギー充填完了。


『癒しエネルギーよりエロパワーじゃないっすか。』


知らん、無視無視。


「いくぜ!」


オークの一団に向かって飛び出す。


サクラさんは大物に備えて後ろに待機です。


「ブギャ!」


オークリーダーが叫びながら大剣を空に向かって突き出した。


何か支持を出したのかオークマジシャンが魔力を練り始め、オークアーチャーが弓に矢を番えた。


そして前衛のオークソルジャーが俺を迎え撃つために剣を構えた。


「豚如きに俺が止められるか!」


構わず俺はそのまま突っ込む。


『美人に良いとこ見せたいからってどうかと思うっす。』


良いんだよ。


サクラさんはきっと正面から力で倒すようなヤツが好きなはずなんだよ。


「ブギャギャ!」


オークリーダーが撃て!とでも言ったのかオークアーチャーが俺に向かって矢を放った。


「甘いわ!」


俺は風魔法を使って矢をそらす。


変な名前の風魔法だが矢をそらすくらいわけない。


ただ、残念なことにエッチな現象は起きなかった。


こんなに近くに完璧なプロモーションを持つサクラさんがいるのに、解せぬ。


『変な名前って旦那の欲望を具現化したスキルっすよ。』


「うるさいわ。多段螺豪突き。」


螺旋状の魔力を帯びたメタルウィップが剣を構えたオークソルジャーを蜂の巣のように穴だらけにする。


スライムドリルほどではないがオークソルジャーを一瞬で倒す威力はあるうえに魔力消費も低い。


これなら今後も多用することになりそうだ。


元がトンのスキルってのが残念だけどそれは記憶の奥に封印するから大丈夫だ。


よし、こんなスゴイスキルを自力で編み出した俺ってスゴイな。


「ブブギャ!」


戦闘の要であるオークアーチャーとオークマジシャンを守るためかオークリーダーが前に出てきた。


「豚細切れにしてくれるわ。多段螺豪突き。」


『突きでは細切れにできないっすよ。』


「ブギャ、ブギョ、ブブ」


オークリーダーはオークソルジャー以上の剣術スキルを持っているのか俺の螺豪突きを巧みに弾く。


『ププ、カッコつけたのにププ。』


うるさいわ。


一度や二度捌いたくらいでいい気になるなよ。


俺はまだまだ手数を増やせるんだからな!


途切れることなく螺豪突きがオークリーダーだけでなくオークアーチャーとオークマジシャンを打ち抜いてゆく


「オリャオリャオリャ。」


「ブブ!ブギャ!ブゴ。」


俺の螺豪突きを捌ききれなくなったオークリーダーがあえなく撃沈した。


豚のくせになかなかやりおるわ。

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