第26話 必殺!螺豪突き

サクラさんの冷たい視線に新たな扉を開・・・かず、念話を覚えた俺はユズと協力して何とかサクラさんの説得に成功した。


「それでそのスライムがビジアンヌ様の使徒かどうかは置いといてオーク退治に協力してくれるって?」


「ああ、ユズと約束したしな。」


ついでに美人姉妹の好感度がアップすればなお良い。


「まぁ、さっきの様子を見ればタダのスライムじゃないのは確かみたいだから戦力にはなりそうだな。」


え?さっきので戦力になると思ってもらえたの。


お姉さんの大剣で触手をスパスパ切られただけなんだけど・・・


いや戦力として認められたのは良いんですよ。


「でも俺サクラさんにボコボコにやられてましたよ。」


「ハ、アタイがスライムなんぞに負けるわけないだろ。これでもアタイは鬼神の加護を持ってんだからね。アタイに比べればまだまだだけどこの村の他のヤツより残念だけどスライムのあんたのほうが強いよ。」


鬼神の加護ってなんか強そうなスキルだな。


『鬼神の加護を持っているなんてこの姉さんにぜひとも仲間になってほしいっすね。物理攻撃力と物理防御力が大幅に補正された上に再生能力も備わるっす。近接最強と言われるスキルっすね』


もう俺じゃなくてサクラさんが世界環境を戻してくれたら良いんじゃない。


あのチート級の戦闘力から見てサクラさんが主人公で俺はお付きの使い魔ポジションが良いんじゃないかな。


俺も美人のお姉さんと自然と一緒にいられて嬉しい。


うん、良い考えだ。


『何言ってんっすか、ビジアヌス様の寵愛を持っている旦那は成長すれば鬼神の加護なんか足元にも及ばなくなるっすよ。』


ふ~ん、なるほど。


俺も頑張って成長すればこの美人傭兵風お姉さんを組み伏せるようになるんだな。


『さすがエロエロマジックスライム(M気質)っすね。』


いや、実際にはやらんよ。そんな度胸あったら・・・何でもない。


『童貞卒業してたっすよね。』


うるさい。


「む~、スライムさんは間違いなく使徒様なのにぃ。」


「俺もスライムが神の使徒なんて言われても信じられないから良いよ。寧ろ魔物なのに村に入れてくれることが驚きなんだけど。」


普通に考えたら魔物を生活圏に招き入れたりしないよな。


「ユズが連れてきたんだ大丈夫だろ?それにお前が何かしたらアタイが叩き切ってやるだけだ。」


「はい!」


サクラさんには劇的な出会いであったが他の人は普通に挨拶して受け入れられた。


俺が念話で話ができるようになったこともあるがそれ以上にユズが信用されているのだろう。


ただ一人で村を飛び出して俺を探したことは家族にこんこんと説教させていた。


俺を非難するように涙目で見られても困る。


俺もサクラさんには逆らえないんだよ。




翌朝、村の訓練場に連れて来られた


「それじゃ、仲間を紹介するよ。まずこのノッポがトン。武器は槍を使うぞ。次にこの太っちょはチン。武器は斧を使う。最後にこの小さいのがカン。武器は短剣だ。」


イヤイヤ、トンチンカンってどうなの。


俺は別に構わないんだけどね。


「アタイとこのスライムでオークの巣を探してくるからトンチンカンの三人はその間の村の警備を頼んだよ。」


「ちょっとサクラ姉さん。なんで俺達じゃなくてそんなスライムを連れていくんですか。」


「そうです。俺達のほうが役に立ちますよ。」


「お、俺はサクラさんに従うんだな。」


俺もそう思います。


サクラさんほどではないが三人とも引き締まった身体をしている。


「それじゃ、お前ら三人でそのスライムに勝てたら連れてってやるよ。」


えっ、俺がこいつらと戦うの?


嫌だよ。またスパスパ切られたら俺の心はへし折れちゃうぞ。


「サクラさんに勝てないとはいえスライムなんかに俺達が負けるわけねぇ。」


「ああ、サクラさんに俺達の実力を認めさせてみせる。」


「俺は別に村の警護で良いんだけど。」


一人と一匹を除いてみなさんやる気マンマンっすね。


もちろん一匹は俺のことね。


サクラさんも首で行けって支持を出してくる。


「それじゃ、お手柔らかに。」


俺より強いサクラさんには逆らえないので大人しく3人の前に移動する。


「チン・カン。いつものフォーメーションで行くぞ。」


「「おう。」」


トンチンカンは縦一列に並んで襲い掛かってきた。


スピード自慢と思われるカンが左右に持った短剣で切りかかってくる。


まぁ、こうそく思考スキルのお蔭か全然早く感じないんだけどな。


ただサクラさんと戦ったときより効果が低い気がする。


もしかしなくてもこのスキルも何か変な効果があるんだろうな。


取りあえずスライムウィップを変化(変態スキルです)で金属状にしたメタルウィップで受け止める。




ピロリン スライムウィップがメタルウィップに変化しました。




(キィーン)


金属がぶつかり会う甲高い音が響きわたる。


よかったサクラさんみたいにスパスパ切る人はそうそういないみたいだ。


「な!」


戦闘中に驚いて固まっちゃダメでしょ。


スライムの触手に受け止められたことを考えたら分からんでもないけど。


カンの無防備な腹にメタルウィップを叩き付ける。


「グヘ。」


仲間のチンを巻き込むようにカンを吹き飛ばす。


「カン邪魔だ。ガッ。」


なんかこの陣形みたことあるんだよな。


なんだったっけ。


機動兵器が出てくるアニメでえ~っと、確かナンチャラナンチャラアタックだったっけ。


「チン・カン!やるなスライム。これならどうだ《螺豪突き》」


トンの持つ槍に魔力が纏わりついて螺旋状に回転を始める。


さらにトンの両腕に魔力が集まると高速の突きを放ってきた。


なんとな~くマネできそうだから試してみる。


こうそく思考状態なら余裕で避けれるので失敗したら避ければ良い。


メタルウィップに魔力を螺旋状に纏わせ突きを放つ


「≪多段螺豪突き≫」




ピロリン スキル多段螺豪突きを獲得しました。




トンの螺豪突きと俺の多段螺豪突きの一部がぶつかりトンの槍がはじき返される


「なんだと!」


まさか自分の技がマネされると思わなかったのかトンは驚いている。


俺も技を真似されたら驚くだろうからお互い様か。


『旦那のスキルは特殊過ぎて誰も真似しないっすよ。同じエロエロマジックスライムがいたら別っすけど。』


あ~、はいはい。どうせ俺のスキルはどっか変ですよ。


俺の放った残りの多段螺豪突きがとトンに襲い掛かる。


(ガン)


俺とトンの間に割って入ったサクラが大剣で俺の多段螺豪突きを叩き落とした。


「それまで!」

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