第16話 仲間はいないのか
『旦那、急に変な声だしてどうしたんっすか。お腹の調子が悪いっすか。ちょうどここは下水道っすからその辺で済ませても良いっすよ。オイラは見えないんで気にしないでください。』
スライムだから俺は排泄はしないぞ。
それに動けって言ったよな。それでどうしてお腹が悪いことになるんだ。
ピロリン
スキル あんでっと化を獲得しました。
「おお!スキルGet!」
ってことはアンデット化は成功したってことか!
もしかして俺って天才?
ヤスには劣化魔法しか使えないヤツ扱いされていたがこれは初めてのヤスへの意趣返しになるの・・・か。
『もう慣れたもんっすね~。』
(ポムポム)
「なんかスカベンジャーの欠片が跳ねてるな。」
『いったい何のスキルを獲得したんすか?』
「あんでっと化ってスキルだな」
『アンデット化ではなくてあんでっと化っすか。触手ほどではないっすけど謎スキルっすね。』
あんどっと化が謎スキルなのは分かる気がするけど触手も謎スキルなのか。
つまり俺は謎スキルを三つも持っているってことですね。
(ボス)
「グフ。」
あんでっと化で動き出したスカベンジャーの欠片がいきなり体当たりしてきた。
『ププ、眷族化したアンデッドに攻撃されるとは流石っすね、旦那。それいゲフってなんすか、スライムの旦那に肺はないんすから体当たりされて肺が圧迫されたような声を出すってヒィー、おかしいっす。旦那はオイラを笑い殺す気っすね。』
そうだよ、普通アンデット化された魔物が攻撃してくるなんてありえないよな。
(ポンポンポン)
スカベンジャーの欠片は跳ねながら下水道の闇に消えていった。
謎スキルのせいなのか。
一回スキルの内容を確認すべきだな。
「行っちまった。」
『旦那と同じ空気を吸うのが嫌だったんじゃないっすか。』
スライムに呼吸器はないはずだから俺は空気を吸ってないはずなんだがなぁ。
「そうっすか。」
とにかくステータスを確認しよう。
ステータス!
ステータス
名前 未設定
種族 エロエロマジックスライム(M気質)・・・エロスライムが魔力操作を覚えさらにエロくなることで進化可能な種族、その上M気質の亜種である。
魔力量 6000/2000
ランク F?
スキル
触手 ビジアンヌの寵愛 ヤス 魔力操作 魔力感知 スライムウィップ 多重魔力吸引 強打 スライムドリル エッチな風魔法
あんでっと化・・・死体をアンデットにします。雌の場合能力値が強化され忠誠心があがる代わりに雄は忠誠心が下がる。
スカベンジャーの欠片が俺に体当たりしたのは明らかにあんでっと化スキルの効果のせいだな。
ただ性別のないはずのスカベンジャーが俺に逆らったのは何でだ?
自分を殺した相手が俺だと覚えていたからか、分からん。
「スキルの効果も確認できた。もう一度アンデット化を試すぞ。」
性別がありこの下水道にいてるとなるとラットかコウモリだ。
どっちも街中にいてもおかしくないから情報収集に使える。
『反乱を起こされても知らないっすよ。』
大丈夫だ、スキルの説明が合っているなら忠誠心の上がり下がりはあってもゼロにならないはず。
ならばあんでっと化していけば何れ俺の命令を聞いてくれるアンデットも現れるはずだ。
最悪ラットやコウモリが氾濫を起こしても何とでもなる。
(チューチュー)
早速現れたな。
「カマイタチ!」
今後のためにもかぜまほうの熟練度をあげておくべき。
「チュー。」
ラットは体が切り刻まれ体中から血を流して倒れた。
「あんでっと化。」
ラットの体を俺の魔力が包むとムクっと起き上がった。
「チューチュチュチューー!!」
何故かラットが怒っているように感じるけどスカベンジャーの欠片みたいに俺に攻撃してくるわけでもないから大丈夫かな。
『このラットひどく怒ってないっすか。』
ヤスもそう感じるのか。ってことは俺の勘違いだな。
「大丈夫だろ。こっちに攻撃して来ないし。」
『旦那そう言うなら良いっすけど。』
さてと次の仲間を探しに行こう。
「チュチュー。」
「ウィンドカッター。」
一撃で首が落ちた。ラットには十分な威力だ。
「あんでっと化。」
「チュー。」
今度のやつは大人しいな。
「キキー。」
「ウィンドボム。」
コウモリが衝撃で吹き飛ばされる。
「あんでっと化。」
「キーキー。」
頭を甘噛み?してくるほど俺に懐いている。
その後もラットやコウモリを倒して情報収集するためのアンデットにしていく。
「チューチュー(腹減った)。」
「チュチュー(チーズ食べたい)」
「キキー(ふぁ~眠い)」
好き勝手なことを言って煩い。
キーキー、チューチュー言っているが何となく内容が分かるのも不思議だ。
『これだけウジャウジャいるとキモいっすね。旦那にぴったりっす。』
あ~、はいはい。
「全員、ちゅうもーく。」
新しい仲間であるアンデットたちに指示を聞かせるために静かにさせる。
「お前達は街中で有益な情報を集めて来い。行け。」
俺の掛け声と共にラットとコウモリのアンデット達は四方八方に散って行った。
それにしても俺って発声器官はないのにどうやってあいつらに意思を伝えたんだろ。
ファンタジー的に眷属へ意思を伝えることができるんだろか。
まぁ、互いに意思疎通ができているんだから問題はないか。
『旦那、有益な情報ってどんな情報っすか?』
「そりゃ、人間の戦力、人間の使う道具、この辺りの地理、周辺の魔物等々だな。」
『そんな情報をラットやコウモリが集められると思ってるっすか』
「大丈夫、どうやら俺と意思疎通に問題なかったからな。」
『ふ~ん、なら良いっすけど。』
大丈夫、大丈夫だよな。
もし情報収集に失敗してもそのとき考えれば良いだろ。
小動物アンデットが情報収集している間、俺は下水道の探索兼魔力収集を行なっていると魔力感知に反応があった。
人族が一人だけで下水道に来たようだ。
情報収集も兼ねて接触してみるか。相手が一人なら逃げることもできるはず。
感知した場所へと早足で向かった。
「ヒィ!」
俺が姿を表すと悲鳴を上げられた。
スライムって魔物だから仕方ないけど地味にショックだ。
『この子が初めて旦那の餌食になるんっすね。エロエロマジックスライムの呪縛からは逃れられないっすね。』
俺は魔力感知で相手が女の子だって分かってたけど、目のないヤスがどうやって分かったんだ。
それに呪縛って何だよ。そんなのないからな。
ヤスのディスりはスルーして俺も仲間任せにせずに情報収集をやろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます