第15話 初めての〇〇

『それでエロエロマジックスライムに進化した旦那の実力はどんなもんですか?』


絶対に亜種の存在をヤスにバレないようにしないとな。


「ああ、かなりすごいと思うぞ。魔力量が3000/2000だ。身体能力の魔力量が20倍だぞ。もうビックスカベンジャーなんて目じゃないな!」


そう20倍だぞ20倍。もう森に行っても大丈夫な気がするぞ。


『はい?旦那どうやらオイラ耳の調子が悪いみたいでやんす。もう一度魔力量を言ってもらって良いっすか。』


耳の調子が悪いってスキルのヤスのどこに耳があるのか不思議だ。


「魔力量は3000/2000だ。」


『まさかオイラがちょっと揶揄うからってあり得ないこと言って驚かそうと思ってもすぐバレまるっすよ』


お前のディスりは揶揄うなんてレベルじゃないからな。


ナイフでは生ぬるい、ドリルのように俺の心をグチャグチャに穴を開けているぞ。


俺の精神が弱かったら不登校どころかヤスへの恨みを原稿用紙10枚に書き連ねて自殺しているレベルだ。


「ヤスじゃないんだからそんなしょうもないウソをつかん。」


『はいぃ、旦那はちょっと自分の立場が分かってないですね。オイラがいなかったら一人ボッチで下水道歩き回った挙句汚物まみれで人族に処分されています。もし億が一下水道から脱出できたとしても森の中で道に迷って確実に魔物に殺されます。』


アッレ~?


ちょっとそこまで切れっすか。


確かにヤスがいたお蔭で助かってるっすけどそこまでボロクソに言わなくても良いと思うっす。


「すみませんっす。」


『分かったらよろしい。』


いやだってね。実際ヤスがいなかったら俺一人だし。


実際、性格はともかく案内人としての能力は高く俺の行動指針にもなっている。


逆らって本格的に嫌われたらこの世界で生きいけるか分からない。


スキルって俺の力の一部のはずなのになんで主導権を奪われているのだろうか。


『いくら進化したと言っても身体能力が20倍っておかしいっすね。もしかして旦那のエロさが魔力量に影響を与えているんっすかね。』


俺のエロさが魔力量に影響は与えてない・・・はずだ。


だって特に進化前と進化後で性欲に変化はないからな。


いや、亜種のことを誤魔化すためにはそういうことにしたほうが都合が良いかも。


「そうなのか。因みにそういうことってあるのか?」


『はいあるっす。旦那のようにエロさで魔力量があがるのは世界初っすね。』


あ、もうエロさで魔力量が上がるのは確定ですか。


いや良いんですよ。元々亜種のことを誤魔化すのに使おう思ったわけだから。


「それと風魔法が使えるようになったな。」


『せっかく何で練習するっす。いきなり実戦で試すのは危険っすからね。』


そうだな練習してみるか。


使い方はスキルを取得したからか分かる。


体内にある余剰魔力を集め力ある言葉を発する


「ウィンドボム!」


(ポム)


おお、なかなかの威力じゃないかぁ!


下水道の壁のレンガが砕けて粉々のレンガが落ちてきた。


『んん?これがウィンドボムっすか?おかしいっす、おかしいっすよ。』


何がおかしいんだ。


威力が高すぎるんだろうか?でもそれは魔力量が多いからだと思うんだが。


「俺には何がおかしいのか分からないのだが。」


『こんな明らかな異常が分からないんっすか。旦那はもうちょっと観察力を鍛えないとダメっすね。』


観察力が無くてすいませんね。


でも魔法なんてもんは漫画やアニメで見たことはあっても実物は初めてみるんだから俺にとってはこれが普通の魔法なんですがね。


『身体能力強化の魔力量が2000もあってこんなショボい威力ウィンドボムのしか発動しないなんてありえません。』


なるほどショボいんですか、俺には十分な威力に見えるけどな。


確かエッチな行動に補正効果のある風魔法だったよな。


もしかしてエッチな行動に補正効果があるせいで攻撃性能は低くなっているのかも。


しかしそれは言えない。絶対にな。


これ以上ヤスにディスりのネタを与えたくないんだ。


「そう言われても俺は魔法を初めて使ったから分かるわけないだろ。」


『ムム、そうでしたっすね。つまり旦那は元々魔法のない世界の魂なので劣化魔法しか使えないってことっすね。我ながら素晴らしい名推理っす。』


どこが名推理だ!ど・こ・が!


ただ単に俺をディスりたいだけだろが!


言い返したいけど言い返せない。


どんな状況でも俺をディスるネタを出してくるとはヤスはどれだけ俺をディスことに執念を持っているんだ。


「取りあえず、ステータス確認は終わったな。続きは実践で試していく。」


『そうっすね。旦那は実際に経験しないと覚えないタイプっすから。』


いや、俺は実践じゃなくても経験したことはちゃんと覚えるし、教えられたことも忘れない・・・はず。


そういえばスライムって脳みそないけどその辺りはどうなってんだろ。謎だ。


「あ、スカベンジャーだ。こんなとこまで現れているってことは相当増えてんじゃないか。」


今までずっとあの二人の人族みたいに碌に下水道の管理をしてないんだろうな。


『良いことじゃないっすか。今の旦那なら良い魔力供給相手っすから。』


(ブチドカ)


おお、強打を使わずにスライムウィップだけでアッサリ倒せた。


しかもスカベンジャーを倒すだけじゃなく下のレンガも砕けているぞ。


むしろ手加減しないと下水道がボロボロになって最終的には崩れるかも・・・そこまではないか。


「そろそろ下水道も卒業かな。」


『そうっすね。魔力吸引スキルがあっても旦那の魔力量だとここで戦っても非効率なだけっす。』


つまり次は森かぁ。


それにそろそろ世界環境を整える切っ掛けか方針がほしい。


そのためには情報がいる。


おれはこんななりだから情報収集には向かないから仲間が必須だよな。


しかも裏切らない、あるいは裏切られても構わない仲間。


となると以前考えたアンデットかゴーレムか。


小動物や虫のアンデットか小型のゴーレムなら人族の街中でもある程度は情報収集できると思う。


ラノベとかだと死体に魔力を注いだらアンデットにできたりするんだけど・・・やってみるか。


不本意な種族だけどマジックスライムって名が入っているんだから魔法の才は多少はあるはず。


「ムムム、動け!」


風魔法の要領でスカベンジャーの欠片に魔力を注いだ。

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