第6話 便利なスキルを開発しました

さて、魔力量をもっと早く上げる方法を考えよう。


「というわけでヤス何か良い方法はないか?」


そんな簡単にブレイクスルーが出来るなら苦労しない。


そんな簡単にブレイクスルーができるなら世の中成功者だらけだ。


『う~ん、地道に貯めるの一番良いと思うっすけど、身体能力に使う魔力量を増やすなら格上ランクの魔物を倒せば大量の魔力を取得できるって噂を聞いたことがあります。』


格上の魔物に勝つなんて出来るのか?


マンガやラノベではしょっちゅうジャイアントキリングをやっているけど現実には出来るのか。


いや、間違いなく死ぬな。


アレ、下水道は安全ってことでここで転生させられたんだよな。


核上の魔物がいるのならのんびり実力をつけている場合じゃないぞ。


「ん?下水道に格上の魔物がいるのか?」


『何言っているっすか。ここにそんな魔物いるわけないっすよ。』


「それじゃ、ヤスの案はどうあがいても実行できんだろが!」


真剣に核上ランクの魔物と戦って死なないのか考えた俺の時間を返せぇ。


ヤスは当てにならん。俺が丸投げしたという意見は受け付けていません。


魔力量を上げるにはどこかから魔力を調達してくる必要がある。


通常は魔物を倒したときと食べ物を吸収したときに魔力を吸収できる。


ブレイクスルーするためにはそれ以外から魔力を調達してくることが出来れば良いはずだ。


マンガやラノベだと魔石なんかに魔力が込められていたりするけどこの下水道にはそんな便利アイテムは存在しない。


そう言えば魔力感知で視界を確保できるってことは大なり小なりこの視界に移るものすべてに魔力があるってことじゃないか。


「ヤス、魔力感知できるものにはすべて魔力があるんだよな。」


『そうっすよ。魔力感知は名前の通り魔力を感知してるっすから。感知できるものには魔力が宿っているっす。』


「つまりそこら辺のレンガからも魔力を取り込めるってことだよな。」


何も魔物だけしか魔力を吸収してはいけないなんてルールはないんだから、目に映るものすべてから魔力を吸収すれば急激に魔力量を増やせるはず。


題して無差別に了承を得ずに元●玉を作ろうだ。


『旦那、それは無理っす。』


「何でだ!そこら中にのものに魔力があるんだぞ。」


『冷静に考えてくださいっす。もしそんなことが出来るんなら旦那以外にもやっているっす。理由は分からないっすけど無機物から魔力を吸収できないっす。』


そんなバカな。


いや俺の天才的頭脳(※スライムの頭は空っぽです)は可能性有と言っている。


オラにみんなの魔力を分けてくれ!


・・・レンガ同士は接着体して下水道を形成しているので体内にレンガを取り込めないから吸収できない。


仕方ないので小石を体内に入れて吸収するが魔力感知で確認すると小石は変わらず魔力を内包している。


つまり吸収できていないってことか。


一応ステータスを確認するが魔力量はピクリとも動いていない。


おそらく肉と同じように小石を消化することができれば魔力を吸収できると思う。なので取りあえず体内に取り込んだまま少しづつだけど消化しよう。


ただ効率としては虫を殺して吸収するのと大差ない。


つまり有機物も無機物も消化できれば魔力を吸収できる。


けれど下水道内の有機物も無機物も大して魔力を内包していない。


さてどうしたものか


有機物もダメ、無機物もダメ。


ん?


閃きそうで閃かない。喉に小骨が刺さったような感じだ。


ヤスが何か言ってなかったっけ。


「ヤス、魔力を内包した有機物でも無機物でもないものを言ってなかったっけ?」


『俺そんなもの言ったっすか?有機物でも無機物でも無い物が分かんないっす。』


ヤスは覚えてないか。


あれは確かぁ~、そう魔力感知に関して説明してくれたときだ。


魔力感知の説明はこの世界にあるものにはすべて魔力が宿っていてもしカラッポになっても空気中の魔力が付着するだったか。


空気中の魔力が付着する。空気中の魔力が・・・。


「ヤス空気中にも魔力があるのか?」


『当たり前っすよ。この世界のすべてのものに魔力は宿ってるんすよ。』


そうだよな。


空気も目に見えないだけで窒素や酸素などの元素から構成されている。


確か有機って窒素が結合しているかどうかだったけ?よく分からんけど。


つまり空気も有機物?


「ということは空気を吸収すれば魔力量が増えるってことだよな。」


『そうっすけど空気から吸収する魔力量なんて微々たるもんっすよ。』


そこは創意工夫すれば良いはずだ。


アイディアはすでに頭の中にあるのだ。


まず魔力感知の要領で自分の魔力を周囲に散布する。


次に散布した魔力を魔力操作で干渉する。


体内にある魔力と違って散布した魔力は上手く操れないが少しづつだが俺の操作どおりに動き始める。


魔力操作で魔力を円径に動かす。


円形に動かせたら次に徐々に螺旋を描て近づいてくるように動かす。


動きに慣れて来たら螺旋の動きをスピードアァップ。


周りの魔力を巻き込みながら俺の身体の中に魔力が流れてくる。


小さな竜巻のが出来上がった。


サイクロン掃除機のように変わらない吸引力で魔力を俺の体内に送ってくれる。




ピロリン


スキル 魔力吸引を獲得しました。




「見ろ、ヤス。またスキルを獲得したぞ。」


『またっすかぁ。もう旦那のことで驚くことは止めやす。』


魔力吸引スキルを獲得したお蔭で意識しなくても良くなった。


どうやら魔力吸引スキルはひとつしか発動しないようなので再び魔力操作スキルを使って吸引状態を作り出した。




ピロリン


スキル 魔力吸引が二重魔力吸引スキルに変化しました。




「また、スキルが変化したぞ。」


『へぇ~、スゴイッすね。さすが旦那っす。』


なんか俺の扱いが雑になってきた。


今は魔力量を増やすのが先だ。三つめの吸引状態を作り出す。




ピロリン


スキル 二重魔力吸引が三重魔力吸引に変化しました。




ピロリン


スキル 三重魔力吸引が・・・




ピロリン


スキル 四重・・




ピロリン


・・・




ピロリン ピロリン ピロリン




ピロリン


スキル 多重魔力吸引に変化しました。




「ウップ、ヤスなんか気持ち悪いし頭がガンガンする。」


『そりゃ、それだけ一度に魔力を吸収したら魔力酔いになりやすよ。』


「魔力酔い?」


う、もうダメだ。意識が保てない。


俺は三度目のブラックアウトを経験した。

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