第5話 異世界の下水道は安全地帯?

次はどうするべきかな。


俺の最終目標はこの世界の環境を整えることってどうしたら良いんだ。


「ヤス、この世界の環境を整えるってどうしたら良いんだ。」


『基本は侵略者である人族を排除してハイエルフ・妖精・精霊・ドラゴン・亜人を奴隷から解放して世界樹と龍脈を正常に戻すことかな。』


うん、つまりどうしたら良いんだ。


「分からん、つまりどうすれば良いんだ。」


『つまり、何にでも対応できるように実力を上げて臨機応変に対応するんす。』


要するにヤスにも分からんってことか。


今は実力を上げるのと情報収集だな。


「ヤス、実力を上げるにはどうしたら良いんだ。」


『そりゃ、生き物を倒して魔力を奪い、生き物を食べて魔力を吸収するんっす。』


ステータスを見て分かってはいたけど実力のあげるのはレベルじゃなくて魔力なんだな。


当面のやることは分かった。


それでここはどこだ?


足元はレンガのみたいなもので通路が作られていて脇を水が流れている。


天井はアーチ状にレンガを組んである。


道はず~っと続いているから巨大な秘密の建物か?


は!もしかして悪の研究所か!ラノベでもいきなり最終ダンジョンに飛ばされるパターンもある。


俺もそのパターンなのか。


もしそうならレベル一で最弱ランクGの俺はいきなりゲームオーバーかよ。


『旦那、現実を見ましょうや。ここはどう見ても下水道ですぜ。ホラまた排泄物が流れて来やしたぜ。』


「分かってるよ。何で魔力感知で見たくもない排泄物が見えるんだよ。」


『そりゃ、基本的にこの世界のものには全て魔力が宿ってやす。もし空っぽになっても空気中の魔力が付着しやす。』


おお、魔力感知ってば万能!


つまり俺はどこでも360度すべてどんなものでも見えるってことだ。


「それでハチはここがどこか分かるのか。」


『ええ、分かやす。ビジアンヌ様から転生場所の情報を頂いてやすから。ここは連合国家アライン、南部の都市ミンスにある地下道でやんす。』


ヤスは俺が転生する際にビジアンヌが俺に与えた力の一つだよな。


「つまり転生する場所は予め指定されていたってことか?」


『当たり前でやんすよ。もし転生場所が指定出来なかったら上空一万メートルや海底五千キロ、果ては地中やマントルの中ってこともあり得るでやんすよ。そうなったら折角転生したのに即死っすよ即死。』


確かにそんなことになったら最悪だ。


話の内容とは関係ないがヤスの語尾を「やんす」か「っす」のどっちかに統一してほしい。


すげぇ気になるがそれよりも確認しておくことがある。


「それじゃ何で下水道なんかが出発点なんだ。森の中とか草原とかもっと色々あったんじゃないか?」


お前は下水に流すべき存在だと言われているみたいで傷ついているんです。


エロスライムなんて種族ですから汚物は洗い流せって意味ですかね。


もしかしなくてもビジアンヌさんは俺が胸の突起をボタンと間違えて触ったこと怒ってますよね。


でもジビアヌスの寵愛なんてスキルを授かっているってことは違う・・・と信じたい。


『今の旦那のステータスじゃ森や草原に転生したらあっという間に魔物の餌食になるっす。魔物のいない街中だと人に見つかればスライムの旦那はブチっと潰されるっす。人のこないダンジョン深層だと強大な魔物のひと撫でどころか一息で殺されるっすよ。それに比べて下水道には滅多に人は来ないっす。出てくるのももラットやバット、スライムくらいでコッチが手を出さない限り争いにはならない魔物だけっす。匂いが関係ない旦那にはピッタリなんっす。』


スライムだから匂いは気にならないけど汚物が流れまくっている下水道にそうそう人は来ないな。


魔力感知で見つけるのもネズミや小さな昆虫ばっかりだ。


何時までもジッとしているわけには行かない。


時間は有限だ、最終目標は世界を正常に戻すと言う大きなものなのだ。


早く行動するにこしたことはない。まずはミンスの街から脱出できるあるいは人族に見つかっても逃げられるくらいに実力を付けないと。


「そう言えばスライムの寿命ってどのくらいだ?」


『分からないっす。魔物が死ぬのは寿命云々ではなく何者かに殺されるときだけなんっす。』


寿命に関してはあまり考えなくて良いかな。


取りあえず誰かに殺されることの無いように安全第一で行動しますか。




足の無いスライムはどうやって移動するのか不明だった。


案内人のヤスも知らないしな。


とりあえず身体の表面部分をキャタピラのように回すと簡単に移動できた。


しかも思った以上にスピードが出る。


『やっぱおかしいっす。スライムがこんなに早く移動できるなんてオイラ聞いたことないっす。』


高速移動しながら小さな虫を押しつぶしてそのまま消化し魔力を吸収している。


ランクGという最弱の魔物なのでラットやバットが相手でも複数に囲まれるとやられてしまうかもしれない。


塵も積もれば山となるという諺を信じて囲まれても困らない小さな虫を消化して己の魔力を高めているわけだ。


『旦那、どれくらい魔力量増えたっすか』


ステータス!




ステータス


名前 未設定


種族 エロスライム


魔力量 11/10


ランク G




スキル 


触手 ビジアンヌの寵愛 ヤス 魔力操作 魔力感知


スライムウィップ・・・触手スキルを魔力操作で調整した攻撃用スキル




「1増えたな。」


歩き回って1日虫を食べ続けてたった1しか増えないのかよ。


『虫を1日吸収しただけで1も増えたんっすか!これもビジアンヌ様の寵愛の効果っすかね。』


俺は少ないと思ったけどヤスにとっては多いのか。


それと今更だが気になることがある。


「魔力量の数値が増えてない数値は何なんだ?」


『それは身体能力に使える魔力量っす。』


つまり俺は魔力量11持っているけどそのうち身体能力に使っているのは10ってことか。


「身体能力に使える魔力量はどうやって増やすんだ?」


『確か魔力量の1割が身体能力に使える魔力量になるはずっす。』


つまり魔力量が110にならないと俺の身体能力は上がらないってことか。


今11だからこのままのペースでいくと99日後にやっと1上がるって時間かかり過ぎだ。


何時まで経ってもこの下水道すら出られないぞ。


これは何かブレイクスルーを起こさないとダメだ。

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