第109話 人生を変える二人目の女②
出勤すると、赤坂が一人で座って待機している。
(話をするしかないな)
俺は近づいて話し掛ける。
「赤坂さん、実は折り入って相談が・・・」
「何だ?」
「三条さんのお客だった、夏子ちゃんの事でちょっと・・・」
「そういえばこの間、幸ちゃんと来てたよな?」
「はい、それで夏子も俺の指名で来る事になりそうなんですが、いいでしょうか?」
「はあ?お前あの子達は友達同士だろ?平気なのか?」
赤坂は険しい顔で答える。
「はい、夏子は、色恋の仲じゃなくて義理指名で来るのですが・・・」
(とりあえず、そういう事にしとくか)
「何だお前?ずる賢い商売するんだな」
「すみません」
「少しは先輩に譲るとかしたらどうだ?どうせ義理なんだろ?」
「はい。ただOLなんでそんなに昔の様に来る事はないですけど・・」
「OLさんか・・・まあ三条もいないから好きにやれよ」
赤坂は呆れた様子で答える。
「はい」
(腹を立てたかな?それともOLって聞いて了承したのか?)
俺は、とりあえずほっとして席を立ち別の場所に座る。
そんな様子を見ていたのか相原が心配そうな顔をして隣にやってくる。
「どうした?」
「実はですね、三条さんの客の夏子いますよね?幸子の友達」
「ああ、あの陽気な明るい子」
「俺、指名で来させていいか了解をとろうかと・・」
「お前もうやったのか?」
「いいえ、どんでもない!まだです」
(指名の話なのにやったかどうかって・・)
「はは、まだって・・・女にするつもりだな」
「いや、そんなつもりはないです」
「ふ~ん、どうだかね~」
疑いのまなざし。
(相原さん絶対信じてないな)
「義理でもいいから来てもらおうかと。それで一応断りをと思って」
「そんなもの、いらないだろ?三条さん辞めてるんだから」
「そう思ったんですけど、話だけ通しておこうかと思って」
「お前、律儀なやつだな。気にするなよ」
「はい」
「でも幸ちゃんはどうするんだ?」
「そうなんです。実は、言いにくい事なんですが・・・」
「何だよ?」
「幸子は前の店からの付き合いですが、ずっと苦手な女というか・・・」
「あれか、生理的に無理ってやつか?」
「はい、それです」
「あの子、ガリガリだもんな~俺もだめだ」
「割り切ればいいのですが、ちょっと問題がありまして」
「問題って何だよ?」
相原にとって、どうでもいい話だと思ったが執拗に聞いてくる。
(こんな話、面白いのか?)
「わかった。客として呼ぶには、プライベートで相手しなきゃいけない女なんだな?」
相変わらず勘のいい相原。
「まあ、そんなとこです」
「それで実は、隼人にこの前、部屋まで送らせたんです」
「お前、まさか・・・」
相原は、すぐに察する。
「そう、隼人に譲ろうかと思って」
「お前、悪だな~それで隼人は?」
「やる気満々で送っていきました」
「お前ら面白いことするな~指名はどうするんだ?」
「当人同士が納得してるならいいかと思って・・・同じグループだし」
「その話は赤坂さんにしたのか?」
「いや、まだです」
「それとこれは別問題だろうなぁ。赤坂さんがなんて言うか・・だな」
「まずいですかね?」
「話の持っていきかた次第じゃないかな」
相原は腕を組んで考えている。
(さっきから真剣に考えてくれているんだよな~何でだろ?)
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