第96話 直属の先輩ホストの生態①

相原にホスト部屋のスーツを届けるように頼まれる。

寮から、女のマンションに向かう。

タクシーの、運転手に聞いた住所を告げ目的地に到着。

インターホンを鳴らす。


「こんにちは~遼です」


(すごい家だな)


「お~今、開ける」


オートロックのドアがあく。

入って行くとリビングのようなフロアー。

玄関のドアが開いて相原が顔だけ見せる。


「わざわざすまんな。着替えるから少し待っていてくれ」


「ここ、一軒家みたいな感じですね」


「一応賃貸マンションなのに一軒だけという不思議な物件」


「変わってますね〜」


(本命の彼女の家かな?)


「おまえ車好きか?」


「はい」


「じゃあ、地下の車庫で遊んで待っててくれ」


「地下があるんですか?」


「そう」


「車ですか?」


(車に乗っているなんて、聞いた事なかったなあ)


「そ」


「何の車、持っているんですか?」


「行って見てみろよ。ほら鍵。乗って中を見てろよ。エンジンはかけるなよ」


「はい」


相原は鍵を俺に向かって投げる。

投げる時に相原の上半身が見えたが裸だった。

俺は、片手で鍵をしっかり掴み取る。

階段を下りて車庫のドアを開ける。


「広いな・・・わお!すげえ~」


一千万以上はしそうなフェラーリーが車庫に置いてある。

横にはベンツも並んでいる。


「二台とも相原さんのかな?」


(すごいな~店では目立たない人なのに・・・)


相原は、着替えを終えて地下に降りてくる。


「すごいですね。ここは専用駐車場ですか?」


「他の人が借りないから、俺が全部借りたんだよ」


「この車どうしたんですか?」


「買った」


「それは、そうですが・・・誰が・・・」


「俺に決まってるだろ!」


「いや、誰の金で・・・」


「それを聞いてどうするんだ?」


「いや・・・」


「それよりも音を聴いてみるか?」


「あ・・・はい」


(話そらして、ごまかした?)


相原はフェラーリーのエンジンをかける。

駐車場の中は機械音のようなバク音でうるさくて耳が痛い。


「どうだ!いいだろ!」


嬉しそうな顔。


「すごい音ですね」


(カーマニアだったのかな?意外な一面だ)


「乗らなくても、たまにこうやってエンジンかけないとダメなんだよ、こいつは」


「へぇ~」


「かわいいやつさ」


(車オタクってやつか?・・・ハハ)


「俺も乗れる様になりますかね」


「そのうち乗れるさ」


「だといいですが・・・」


(やっぱりここって本命の家だろうな~でも聞けないよなあ)


俺は、ここが誰の家なのかすごく気になっている。

教えてくれるかどうか不安だったが聞く事にする。





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