第95話 ホテル住まいの女達⑥
アリスは、さすがに毎日ホスト通いなんて付き合いきれないと言い出した。
「また、一人毒牙にかかったわね」
「そう言うなって」
「あの子、痩せたよね」
「確かに少し痩せた気がする。肌も荒れてきたような・・・」
「毎日、石鹸やローション使っていたら仕方ないよ。あたしもそうボロボロ」
そう言いながら腕を手でなでる。
「そっか、可哀想に」
俺は優しくアリスの腕を撫でる。
「ユカは、手抜きできないのよ」
「常に全力投球なんだね」
「そうそう、客とやっててもイッちゃうみたい」
「マジ?」
「私は適当に演技しながらやっているけどね」
「いつまで持つかな~そのうち倒れるかもな」
「わたし、罪の意識感じるわ」
「またまたぁ、思ってないくせに」
「思ってるよ」
「だって俺に紹介しようとしていたじゃん」
「あはは・・・そうだっけ」
「俺に紹介するって言うのも変な話だけどね」
「でもいい客をあげちゃったね~もったいないね」
「仕方ないさ。こればっかりはタイミングだ」
(俺は、自分の女と何という話してるんだろ)
俺は、話題を変える事にする。
「しかし、相原さんの勢いは止まらないね」
「ユカが、遼のお客になってればよかったのに」
「いや、それは無理でしょ。相原さんだから毎日くるんだよ。きっと」
(まだユカの事?)
「そうかもね~」
「相原さん非情だよなあ」
「段々わかってきたでしょ?あの人は骨の髄まで吸いとっちゃう人なのよ」
「それって、ひどい言い方だな」
「だってほんとの事じゃない?」
「俺にはできないかもなあ」
「そんな事を言ってるようじゃナンバー1になれないわよ」
「物事には、順番というものがあるんだよ」
「そんな事言っていたら、いつまでたってもトップになれないよ」
「グループの協力なかったら、一回トップとっただけでつぶされちゃうよ」
「どうして?」
「一人で商売やるには限界があるんだよ」
「そう?」
「一匹狼じゃ、まわりのハイエナに食われちゃうって事」
「ふ~ん」
「そりゃあ、客一人でもナンバー1にはなれるよ」
「そうよね。私一人でも遼をトップにできる自信は、あるよ」
「おー、言うね〜」
「簡単な事でしょ。締め日にボトルたくさん入れれば済む事よ」
「それでナンバーワンとってもね〜」
「そう?」
「トップを維持するには、客一人じゃお金続かないし、限界があるって」
「そう?だって働いている限りお金は、あるわよ」
「1年も2年も続けてこそトップって言えるんじゃないかなあ」
「そんなもの?」
「客一人じゃ負担大きすぎるよ」
「確かに女の身体はボロボロになるかもね」
「何人も客がいれば、売り上げはいくらでもできるだろ?」
「そう?」
「一人の客で100万より10人で10万ずつ100万のが楽じゃん」
(俺、何でこんな話してるんだろ?)
「そっか」
「って言うか、こんな話はホスト遊びの長いお前ならわかるだろ?」
「だって、バカだからわからないんだもん。教えてよ」
「売上50万を10人いたら500万になるだろ?」
「そんな上手くいかないでしょ?」
「一人で10人相手は無理さ」
「もしかしてセックス?」
「違う、店での接客」
「ああ~そっちね」
「そっちって何だよ?」
「セックスとセッキャク・・・似てない?」
「全然似てねえよ」
「そうかなあ」
「それに、店に二人来たら一人じゃ無理だろ?」
「そうね」
「だからグループの協力が必要なのさ」
「そんなもの?」
「今まで、そうやって接客受けてきたのに何を今更」
「だって考えた事ないも~ん」
「まあいいや。そのほうがアリスらしくて」
相原は、ユカのおかげでナンバー2にまで上がっていく。
このままいくと、ナンバー1も近いだろう。
その後、俺は相原の生態を知っていく事になる。
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