第83話 同棲解消で命拾い?④

話の途中、色んな疑問が沸くが、話を黙って聞き続ける。


「気付かれたくない、何か理由があったんじゃないかなあ」


「謎ですね。気付かれたくないなら、来なければいいのに」


「そこがよく分からない所だよ」


「梶さんが殺されたのは、社長が頼んだって噂ありましたよね?もしかして嫉妬?」


「まさか、有り得ないよ」


一瞬京介の顔がしかめ面に変わるがすぐに元の表情に戻る。


「わらないですよ~この世界では常識じゃ考えられないこと多いですし」


「まあ、確かに」


「嫌な世界ですね」


(真相を知ってたりして、さっきの顔つきが気になる)


俺は、その事を京介に問いかける事はやめる。


「だけどさ、お前付き合ってたんだから由美ちゃんの魅力の不思議さを感じなかったのか?嫉妬とか湧かなかったのか?」


「うーん、最初は誰にも渡したくないって気持ちは強かったですけど・・・」


「そっか、ま、いいや。それでね」


「はい」


「由美ちゃんは、前の店では最初からずっとスッピンで来ていたらしい」


「俺が会った時は、ばっちり化粧していましたねぇ」


「そう、だから似ているけど店で見かけて挨拶して無視されたから、南さんはずっと別人かな?って思っていたみたいだね」


「なるほど」


「でも、声は変わってないから、絶対間違いないだろうって言っていたよ」


「ふ~ん」


「さて問題・・・何故、俺が真相を話さなかったでしょうか」


「え?」


(まだ何かあるのか?)


京介は含み笑いをする。


「わからない?」


「わからないっす」


「お前は、由美ちゃんと離れて命拾いしたかもって事だよ」


「は?意味がわからいです」


「三人の死の時期が重なったのは、偶然だと思うけど・・・」


「あっ」


(まさか)


「三人とも、由美ちゃんのせいじゃないと思うよ」


「ですよね。関連性がないから」


「でも由美ちゃんに関わった人間ばかりだろ?」


「確かに・・・でも梶さんは」


「謎だろ?」


「まさかなあ」


京介はニヤニヤと笑っている。


(この人の話は、冗談なのかマジなのかわからないなあ)


「おい、お前達いつまでしゃべってんだ。仕事、仕事。ヘルプ入っているぞ」


店長が傍に来て怒鳴られる。


「はい」


すでに周りには、誰も座ってない。


「由美ちゃんには、近づかないほうが無難って事だよ」


「そのほうが良さそうですね」


俺達は、灰皿にたまった吸殻を捨てて、ヘルプの仕事に向かう。

その後の由美は、友人を連れて来て俺の売り上げに協力してくれている。


(由美の友人を客にしようかな?)


そんな思いを振り払い、他のホストに紹介する。

由美に対して、思いやらないと罰があたりそうだ。


命を落としたくないし・・・。


由美とは、適当な距離を置いて付き合う事にする。


そして、由美の犠牲者?死んだ梶の指名していた女が店にやって来た。


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