第70話 誕生日①

売り上げをのばしていくうちに俺は少しだが金が貯まってくる。

由美のおかげでホストらしく?営業も出来ている。

そんな由美から誕生日プレゼントを用意したと言ってきた。


「遼、もうすぐ誕生日ね」


「うん」


「何がほしい?」


「何にも、いらないよ」


「いらないって言っても、もう用意しちゃった」


「また?無駄な金使うなって」


「あなたへの投資は無駄な金って言うの?」


「投資?重い事言うなよ~俺にこの先、何を期待するんだ?」


「そんなに期待なんてしてないけどね」


「色々貰うと重荷になるから、店でお金落とすだけでいいよ」


「そんな寂しい事を言わないで誕生日くらい祝わせてよ」


「わかったよ」


(もう用意?なんだろう?色々もらってきてるからなぁ」


「じゃ、じゃ~ん、これ!」


「ん?」


(なんかこいつ、キャラ変わってきたな)


手で摘んだ紙を目の前でひらひらと振る。

由美は、一枚のチラシを見せる。


「マンション?」


「そう、超豪華マンションよ」


「お~!何々?ワンルームマンション?すごーい!ってどこが豪華マンションなんじゃい」


「何一人で突っ込んでいるの」


「いや・・つい、あはは・・・」


(つまんなかったか)


「ワンルームっていっても広いわよ」


プレゼントは、マンション。

俺に買ってくれるのはいいけど、少し戸惑いと不安がよぎる。


(何か見返りを要求されそうだな・・・)


今までのプレゼントは由美の性格上、見返りを求めるとは思えない物ばかり。

しかし、今回は物が物だけに、そうはいかない。


「そのかわり・・・」


「きた、きた~~!」


「何よ~きた、きたって」


「いや・・・何となく」


「そこに私も一緒に住むの」


「・・・」


(やっぱり)


「何よ~嫌なの?」


「いや・・仕事やり辛くなるかなって」


「私、束縛しないし、思う存分仕事してもらって結構よ」


「ホストやりながら女と住んだ事ないからなあ」


ゆうこと住んでいたが、その時はホスト辞めていたから嘘をついていない。


「邪魔はしないって」


「そうは言っても女相手の仕事だよ?傍にいて我慢できる?」


(随分面倒もみてもらったし、むげに断われないもんなあ)


「心配?」


「いくら気にしないと言われても、電話で色恋話するだろうしね。」


「平気よ」


「隣で聞いていても平気?ワンルームじゃ丸聞こえだよ」


「私、経験あるから・・・」


「え?何?初耳だ」



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