第12話;それぞれのその後(継母と姉達)
馬車は快適だった
あまり揺れも無く、ずっと馬上移動だったので変な感じだった
愛馬も一緒に連れていってくれると言うので配下の人に任せてある
「すごい快適、継母(はは)達と王都に行ったとき荷馬車でお尻痛かったなぁ」
そう言ったらフェルディナンドが悲しそうな顔をした
「その、継母だと思っていたドレメン婦人ですが先月処刑されました」
「え?うそ・・・そんな・・・」
「寛大な判断をと一筆書かれていましたが・・・他にも罪状が判明しまして」
「他?」
「貴方への虐待だけならどうにか生涯幽閉で済んだかもしれませんが」
「何があったのですか」
「貴方のお父上を暗殺しようとしていたことが判明しました」
「・・・・・・・」
「暗殺を生業にしている組織がありまして、それに依頼したことが判明しました、前に捕らえていた組織の下っ端が白状したんですよ」
「まさか・・・そんな・・お父様に怪我は」
「大丈夫ですよ、あの女は家の乗っ取りを考えたようです、跡取の貴方を飼い殺しにして、財産を居のままに・・・恐ろしい女でした」
「しかし、さすが元侯爵家の男子ですね、お父上の実家の侯爵家は代々将軍を勤める位の武人の家系です、あなたのお父上のロバート氏は騎士学校では常に一位だったそうですよ、暗殺者を返り討ちにしたそうです、盗賊だと思われていたみたいですが」
「・・・知らなかった・・・お母様が亡くなった後の怠慢なお父様のイメージが強くて信じられないわ」
無精ひげを生やして、少しお腹の出ただらしない父の姿を思い浮かべた
香水の匂いだったんだなあのきつい香りは、今なら父が母の居ない寂しさを何処に向けていたのか分かるけど・・・思い出すとやはり糞だわ・・・父親として・・・それに連れてきた使用人がドレメン婦人だし・・
「そこまでお父上を嫌っているのか」
「え・・・あー声に出てました?」
「母が亡くなった後の父は最悪だったわ、辛かった~・・・父親には捨てられたのだと途中から思ってましたから、期待して期待が外れて・・・それの繰り返し・・・最後には味方は一人も居なくなりました」
「それでも貴方は真っ直ぐに優しく育った・・・これからはずっと私が見方です、皇太子(あに)と王(ちち)を存分に利用してでも貴方を守りますから」
「くすっ・・職権乱用しすぎでは」
「皇太子(あに)と王(ちち)は私には甘いですからね」
「うらやましい・・愛されてますのね」
「これからは貴方の家族でもあります、王子では無くなりましたが、親子ですからその中にあなたも入ります、幸せにしますね、ついでに叔父の宰相にも協力してもらいましょう」
「くすっ・・・ありがとうございます」
涙が出てきた、ぽかぽかと暖かいきもちになった
女神の声がした
(進めた理由がそれよ、この王族って超!!仲良し一家なのよ・・・先祖の聖女ってすっごく慈悲深い子でね遺伝子にそれが影響してるんじゃないかって思うくらいよ・・・生まれた家は失敗だったけど幸せになってね)
その後も義姉達のことも聞いた
義姉達の実家の男爵家は、引き取りを拒否、二人とも成人(15歳以上)な事もあり認められた
理由はドレメン婦人だった、先代(現男爵の兄)はとても穏やかでやさしい人だったそうだ
見た目もぽっちゃりで丸顔で鼻の大きな方だったらしい、不細工の部類だったが、人柄と笑い顔がとても穏やかな気分にさせる・・・そんな人だった、人望も厚く何も贅沢をしなければ穏やかにすごせるくらいの収入もあった
でも女性はきついタイプの人が好きだったらしく
社交界で会った同じ男爵家の長女だったドレメン婦人に惚れて求婚した
当時そのきつい性格のせいで縁談をかなり断れていたらしい
男爵の求婚は願ったり適ったりだったみたいだ
ドレメン婦人はそれでも男爵位が気に食わなったかっのだろう、それを浪費で紛らわしてたらしい
病気で男爵が亡くなると、謝金だらけが判明した、そしてそれが婦人のせいだとわかると、親子ともども追い出された、そこを貴族向けの就職斡旋業者に騙されたといっていいのか、伯爵が雇ったというわけだ
前男爵は自分に良く似た子供達をそれは可愛がっていたらしい
借金を作った張本人の娘など引き取れないそうだ、借金はドレメン婦人にも請求して大部分は返せているらしいが、男爵家の立て直しが大変だったらしい
そうフェルディナンドが語った
下の義姉マリゼラは、私に薬を渡していたり、母の虐待を見たことによる統合失調症(強烈なショック体験、強い精神的ストレスが、こころのダメージとなって、時間がたってからも、その経験に対して強い恐怖を感じるもの)と判断された・・・この世界にもこういう概念があってよかったわ
精神科に入院していたが、孤児院に引き取られた、
孤児院では18歳まで居ることが出来るので、1年しか居られないが、その間に就職先か嫁入り先を探す事になったそうだ
「マリゼラは、なかなかしたたかだよ」
「どういう意味ですか?」
「孤児院に風邪を引いた子がいたらしくたまたま来ていた薬師の男性に押しかけ弟子になっているよ」
「へ?押しかけたって」
「孤児院でも気力が無く、無気力状態だったのが薬師の薬の処方を見たとたん目がぎらついたらしい」
「うわぁ・・・本当に薬の調合好きなんだ」
「彼女の部屋にはポーションや傷薬の劣化板が沢山あったらしいからね」
「いつも本を片手に持ってたわ、植物図鑑が多かった気がする」
「手紙を預かってる、見つかったら渡して欲しいと憲兵団を介して」
そういって手紙を渡された
内容は謝罪と言い訳だった
本当に助けて上げられなくてごめんなさい
言い訳かもしれませんが
お母様は私たちに手を上げるわけが無いと言っていましたが、あれは嘘です
男爵家に居たときは平手は当たり前、お父様が亡くなって追い出されて、行き先が決まるまで姉と私は殴る蹴るの暴行を受けていました。
されなくなったのは伯爵家に行く事が決まってからです。
伯爵家に行った時からファティマ様が殴られるまでのあの5年間はとても幸せでした
母は私たちが綺麗なドレスを着てるのを見るのがうれしいみたいでした。
自分が今まで私たちにしてきた事を本当に忘れていました
きっと自分が高位貴族にでもなった気分だったんでしょう、それでも自由になるお金には限りがあったし、高額になれば旦那様の許可が要った、外国での事業を始める話は母にとっては渡りに船だったのだと思います。
当分帰れないと書かれた手紙を受け取った時の母の顔は・・・・思い出してもぞっとします。
そしてファティマ様が殴られて床に倒れた時の恐怖は計り知れないものでした。
その後、母が言う事に同調すれば機嫌がいいことに気がつきました。
それで母の機嫌を損なわない為に、自分を守る為にファティマ様をいじめていました
申し訳ありませんでした。
私は夢がありました。薬師になる事が夢でした、母に許してもらえるわけも無くこっそりと練習してました。
ファティマ様が女神の愛し子だと聞きました、本当に私はなんてことをしたのだと改めて後悔しております。薬師となって、夫共々皆さんに役に立つ事で少しでも償えればと思っております。
「?夫?弟子じゃぁ・・・」
「あー・・・弟子だったんだけど、薬師の男性は独身で薬師に生涯をかけるつもりで結婚する気が無かったみたいなんだが・・・
罪人の娘なので監視してたんだけど観察官の話だとどうもマリゼラの方から迫ったらしい、先月結婚の書類が通ったよ」
「・・・薬師の方ってお幾つなんですか?」
「29歳って聞いてる、マリゼラが17歳だから12歳差?」
「あ、思ったより若い・・・」
勝手にロマンスグレーのおじさんを想像してたから、思ったより若かった
追伸
今新しいポーションを作成しました
子供が出来やすくなるポーションです
私で実験してるので、必要な時は是非御考察ください
「「・・・・・/////・・・・」」
「えーと・・・なぜそこに行く?怪我治そうよ病気治そうよ」
「ははははっ君が居ると病気が少なくなるから、違う方の薬の開発をって思ったんだろう、すごいな優秀だ、楽しみになってきたよ」
「え?なんで」
「ボーネット伯爵領の病気の死亡率知ってる?0だよ・・・死亡したのは殆どお年寄り、この16年老衰だけだったそうだよ、だれも気にしてなったけどね、君のことが分かってちょっと調べてみたんだ、病気にならないわけじゃなかったけど軽いんだ皆、他の領でははやり病で何人も亡くなってるのにだよ、なぜ皆気にならなかったんだろう」
(ジョブが開放されてなかったから、封印状態で認識阻害状態になっていたようですね)
「って女神様が言ってますけど・・・」
「そうか・・・もしかしてジョブが開放されてたら教会に取り込まれて会う事も出来なかったかもなぁ・・・」
「うーんでも逃げ出して舞踏会にまぎれて王子と踊ったと思う」
「「<君><ルディ>の手を取って、二人で駆け落ちして、世界をめぐってた」」
「くすくすくすっ・・・・そうだねきっと」
上の義姉マライシアは、19歳なので孤児院に入れないのでに修道院入っているよ
マライシアも統合失調症と判断されて精神科に入院してたんだ
ひどく情緒不安定でね、入院してからも毎日泣いて君への謝罪を口にしてた
その状態なので修道院に移ってからも母親のことは知らせてない
マリゼラには、孤児院に引き取られてから憲兵団の方(ほう)から知らせたんだが彼女は、唇をぎゅと結んで黙って泣いていたと聞いている、落ち着いてから姉には自分から様子を見て言うので言わないでほしいと言われたのもあるんだ
数か月たった現在は大分落ち着いていて今はまだ見習いだが修道女になりたいと言っていると聞いている
これは最近預かった手紙だ
謝罪と近況が書かれていた
本当に申し訳なく思っております
そう書かれた後にこう書いてあった
なぜ私はあんなに母が怖かったのか、小さい時ならまだしも大きくなっても怖かった
それを疑問に思ったのはファティマ様が戦闘用鞭で母に攻撃されていた時、このままでは母が殺人犯になってしまうと思って一生懸命止めました・・・そして思ったのが 母は弱かった・・・のです
腕をつかんだら母は、身動きが取れなくなりました、鞭もすぐに取り上げることができました
母をなだめて部屋に力づくで閉じ込めるのも簡単でした
少し違和感がありましたが、やはり母の怒号を聞くと恐怖にさいなまれていた
あの時自分が母をねじ伏せることが出来ると言うことに、もう少し向き合っていたら
ファティマ様への虐待がもっと早く終わらせることができたのでは・・・と後悔に苛まれております
私があなたに行ったいじめに対してはの謝罪は、言葉だけでは終わらすことは許されないでしょう
求婚してくださる方もいらっしゃいますが、これからは修道女になって神に許しを願い続けようと思っております。
本当に申し訳ありませんでした。
ファティマ様の幸せをお祈りしております。
「皆・・・ドレメン婦人の被害者だったんだね・・・ん?求婚者?・・・」
「あー・・・・修道院に出入りしているパン屋の跡継ぎだね」
「パン屋?修道院で焼かないの?」
「パンの納品じゃなくて小麦の納品で来ていたパン屋の息子に言い寄られているらしい」
「監視人の報告ですか?」
「ああ・・・1年間は監視がつくがそのあとは自由だ、一応虐待の当事者だからね」
「別に嫌じゃないなら結婚すればいいのに、気にしないよ」
「許せるのかい?君に暴言はいていたんだろう」
「知ってるから・・・私への折檻を少しでも減らそうと同調してたの、だってドレメン婦人が居ない時彼女たち一切私に係らなかっのよ、無視よ無視・・・」
「無視?」
「ドレメン婦人が居る時はあれしろ、これしろって言うのに、居ない日は関わってこなかったわ、おかげで自分のやりたい順で仕事が出来て、ドレメン婦人に怒られなくてよかったわ」
「サボらないのが君らしいね」
「サボったら折檻されるもの、ドレメン婦人は仕事の邪魔をしてきてね、余計な仕事も押し付けるから、いつもする分が終わらなくて、そてで終わってないって折檻するのよ、わざとだと思う」
調子に乗って摂関のことを話したら・・・フェルディナンドの様子がおかしい
「ちょっ・・・・ルディ?」
『閣下どうされました!?』
馬車の外から護衛騎士が焦ったように声をかけてきた
「なんでもない、大丈夫だ」
そう返答するフェルディナンド、
フェルディナンド怒気が馬車からもれていたからだった
びっくり、結構な手誰だと思ったが・・・私がちびりそうになるとは、
「もう終わったことだし、ドレメン婦人はもう罰を受けてるし、大丈夫よ」
「私が・・・王家が君の環境にもっと早く気がついていれば」
「無理でしょう、しがない伯爵家の家庭事情に気を配るほどの余裕は無いでしょう、王様たちの仕事は少なくないのだから」
「実は君のことが明るみになってから、貴族の侍女や侍従からの告発が何件かあってね」
「?私のこと?」
「愛し子が虐待されてたんだ問題だろう?・・・良心のある者から貴族の子女子息に対する、それも虐待のね」
「えー」
「後妻が前の妻の子供を蔑ろにしてるとか、本当の子供でも侍女に育児丸投げで、一切関わって無くて侍女侍従に虐待されてるとか」
「聞いた事あるような話だな・・・ラノベか!」
「ラノベ?」
「いえ、なんでもありません」
「貴族の出生率が下がっているからね、問題視されて監視機関が作られることになったよ、虐待の罪は重く最大極刑もありうると思う、これから細部を決めていくことになる」
「そうですか、殺人と変わらないかも知れませんものね、命はあっても心が死んでしまっている子も居るだろうし、私のように精神耐性MAXの子なんて居ないでしょうし」
「・・・・・」
ぎゅっと私を抱きしめるフェルディナンドだった
私は恋愛以外の感情がおかしいのだそうだ
虐待されていればあるはずの、怒りも、息道理も、恨みも一切無く
それが虐待の後遺症なのだろう、救われないことの辛さから逃げる為の自己防衛だったのだろう
そう言われた
まあ、恨まないに越したこと無いと思うのだが、フェルディナンドにはなぜか同情されてしまった
二人の義姉には、恨んでないので幸せになって欲しいと、結婚が幸せなら是非して欲しいと
伝えてもらうことにした
その後、二人は正式に薬師とパン屋の跡継ぎと結婚したと報告を受けた
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