放射線治療で音痴になった話

がんの3大標準治療と呼ばれるものの一つに放射線治療があります。英語ではRadiation therapy。私も手術、抗がん剤その次に放射線治療を受けました。放射線の合計は33回でした。


抗がん剤をしたときは白血球が減るので免疫力が下がると言われ「人が多い場所に行かない」「どうしても出かけるときはマスクをする」と、まるで今の状態のようなことを言われました。「生魚、それから外食のサラダを食べない」とも。これは妊娠中も言われましたが。


抗がん剤後、血液検査の結果あまりにも白血球が減ったので、抗がん剤の翌日から10日間一本ずつ白血球を増やす注射を受けました。


この時は何度も血液検査をしてかなり厳しかった記憶があります。


放射線が始まったときは白血球の話も免疫力の話も聞きませんでした。当時の日記を読み返してみても、普通に出かけたり抗がん剤中よりも、元気でした。


このことを思い出したのは昨日、女優で番組の司会もされていた女性がコロナの肺炎で亡くなり「乳がん治療の放射線で免疫力も下がっていた」とニュースに書いてあったからです。


ですが、放射線は2月に終わっていたと書いてあり、1か月も免疫力が下がったままというのは信じられません。


やはり初めの症状が出た時に(自宅待機)をさせられたのが大きな原因だったのではないかなと思います。かりに免疫力が下がったままの状態だったら、より早期に検査をするべきだったのではないかと。


リスクの多い方でも「自宅療養」させられるほど医療崩壊が始まっているのかと、それが恐ろしいと思います。



放射線ですでに肺炎にかかっていたのではという意見も読みました。これはあると思うんです。体の中のがんを(焼いて)しまうわけですから、その上の皮膚や内臓にも影響があります。


私の33回の治療の放射線は当時の日本より少し強いものでした。手術で取り切れなかったがんも胸骨のそばにあったので思い切って33回にすると言われ


「たっぷりとトーストするわよ!」と放射線医師に言われました。終わったときはそれはそれはものすごい火傷。放射線を受けているときは痛みもかゆみもなにもないんですけど、終わってからがすごく辛かったです。


最初は日焼け以上に真っ黒に焼け、それからただれとケロイド。すごく痛かった記憶があります。そして放射線量をどの部位にあてたかで、症状が違ってきます。


少し下の方にあてた人は肺が、上の方にあてた私はのどをやられました。痛みと味覚障害。そして驚きの副作用が……



これは本当に驚きました。じつはアマチュアバンドでずっとボーカルをしていたくらい歌が好きでした。その日、放射線が終わって数か月後だったでしょうか、鼻歌からちょっと歌を歌い始めると、全然音程が取れず「え?なんで?」


何か歌ってみたら自分でわかるくらいの恐ろしい音痴。


「がんは何から何まで奪っていくなあ」と落ち込むよりも笑ってしまいました。


長かった髪ははげに。胸は一つに。おまけに音痴。


のどの毛細血管や細かい毛が焼けてしまうそうです。これはある程度直すこともできるそう。歌手を職業にされている方はそうしていました。


私はもう別にそんなことはどうでもよくなって…。とにかくが大事だなと思います。他のことは全部小さいことだなって。


いろいろな情報が飛び交う現在。がん患者さんは特に心配だと思います。訃報を聞き、乳がんだったと聞き、不安になった方も多いのではないでしょうか?


ネットの情報は怪しいものも多いので、いま闘病中の方は変な情報は無視して主治医と相談しながら治療してくださいね。








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