良性発作性頭位めまい症に突然なり緊急医療室へ
12月半ばの朝。ベッドから起きようとした瞬間、部屋の壁中がぐるぐるというかひゅんひゅんと猛烈に回り始めました。
「うわ!!すごい回ってる」バタンと横になるとめまいも停止したので、もう一回頭を上げてみると、グワン!という感じでさらに回転数が上がり部屋中がぐるぐると回り続けて、とても起き上がることはできませんでした。
すぐに一階にいた夫にテキスト(携帯メール)
「すごく目が回って《Dissy》起きられない!」
脱水かもと水をもらったのですが、あまりにもめまいがひどく、吐き気も激しく水もスポーツ飲料も吐いてしまいました。
様子を見てたのですが、それを見て夫は病院行きを決定しました。この日は週末で病院はお休み。急遽ERのほうへ行くことになりました。
正直「動きたくない、動けない。病院あんまり行きたくない、特にアメリカの病院」と思っていました。
(病院へ行く)という行為は連れて行ってもらうにしても具合の悪い時はすごく大変です。日本ならそれほどの眩暈だと救急車を呼べるかもしれませんが、アメリカは本当に本当に重症(変な言い方ですが)で緊急の時しか呼べません。それに有料なんです。ものすごく高価です。
病院いやだと思っていましたけど、あまりの気持ち悪さに薬をもらいに行くことに。
抗がん剤の時の吐き気止めをもらえるかも、眩暈だけでも止めてほしい。そんな一心で立ち上がると、また
ぐら~ぐら~!!ひゅんひゅん!おええええ。
この時もゆっくり立ち上がり、着替えを何とかしてやっと車の中へ。髪もぐちゃぐちゃで化粧もできず、化粧どころか目の下真っ黒ですごい顔。
ほぼパジャマに近い格好でよろよろと歩く姿を鏡で見て「だ、だれ??」いやあ本当にひどかったけど、本当にあんな気持ち悪さではおしゃれもくそもないですね。
車の中ではもう目も開けられなくなりました。薄目を開けただけでも吐き気が襲ってきます。
ERはひどい時だと数時間待たされるのですが、この日は空いていてすぐに見てもらえました。
血圧と体温と心拍数は正常。左胸を手術しているので血圧も今でも右腕で測ります。
そして
とても手際よくしてくれているのですが目が開けられないので声しか聞こえず、質問にガサガサ声で答えるのがやっとでした。
事情を説明しつつすぐに点滴をしてもらい、そこに注射で吐き気止めの薬のゾフランを入れてもらいました。あっという間に消える吐き気。
そのすぐ後に眩暈止めの薬をマックスで。こちらもあっという間に眩暈が止まりました。
「あ!止まった!どっちも!」一瞬で元に戻った私に看護師さんたちが
「目がひらいた!!」生まれたての動物の赤ちゃんを見たような感想。
夫もドクターも皆が「良かった良かった!!」
嬉しかったあ、めまいのない世界。
さて、ここからアメリカのすごい所ですけど
「じゃあ何か食べられたら帰っていいから」と
持ってきてくれたのがクラッカー、クッキーそしてジャム。
手術した翌日も最初こそクリアスープでしたけど夜には「固形物食べられそう?」と聞かれて「はい」と言うと出てきたのが、肉!!
肉!?
えええ??途中はないの?日本なら柔らかいおじや。おじやが無理ならなんかシチューとか?
「もう少し柔らかいのないですか?」と聞くと
「今日のメニューはこれなのよねー!食べられたら明日退院ね」
退院という言葉で食欲なかったけど、肉を無理やり口に突っ込んだ思い出があります。
この日も食欲なんて全然なかったけどクラッカーを半分食べて
「帰れます!!」
薬を処方してもらい、すぐに帰りました。
ちなみにこの日の検査ではVirtgoという診断でした。意味は……めまい
いやいやいや、だから眩暈って言ってるじゃんと突っ込みたくなりますが、Dizzyはくらくらっとした感じ。Virtigoはグルグル回る回転性のめまいです。
数日後にフォローアップと言って病院に戻り、もう少し検査をして
Benign paroxysmal positional vertigo (BPPV) と診断されました。これは日本語で良性発作性頭位めまい症という病気だそうです。
―正常であれば内耳の一部分(卵形嚢と球形嚢)に収まっているカルシウムの粒(耳石)が、剥がれて内耳の別の部分(後半規管が最も一般的)に入ったときに回転性のめまいを起こす。―
あまりにもひどい眩暈に「大変な病気では?」と思う人が多いけれど、命に別状はなく数週間で自然に治る。とも書いてあって本当に驚きました。
この世の終わりか?というくらい気分が悪かったんです。一週間はほとんど何もできずにベッドでうずくまっていました。
その時に「乳がん」と診断された時の16年前の事を考えていました。
毎日元気いっぱいで子育てをしながら学校の通訳や補佐のボランティアをしていたあの頃。
胸は少し痛かったけど鈍痛というか、違和感くらいで「でも心配だから検査をしておこう」というくらい体調は特に悪くなかったんです。
それなのに癌は大きくなっていて、かなり悪いものでした。
病気はある日突然です。あの頃も私だけはまさかと思っていました。
そしてこの回転性のめまいも多くの人がかかるそうですが、こんなにひどいものとは思ってもいませんでした。
命にかかわらないとはいえ、運転中だったら?階段の高い所だったら?いろいろ考えると怖くなります。
そしてベッドで寝ていた一週間、健康の大切さを再確認しました。
普通のことができる幸せを忘れないように、それから自分は大丈夫と奢らずに生きていかなければなあと、あらためて考えさせられました。
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