16年後 体と心の傷の変化
前作の「乳がんサバイバー」は重く辛い闘病エッセイで痛く泣いてばかりいる描写にもかかわらず、たくさんの方々に読んでいただきました。ありがとうございます。
自分で書いたにもかかわらず当時は「うへえ、こんなの読んでもらえるんだろうか?」と思ったことを思い出します。
「読んでもらえるんだろうか?」と思った作品が『サバイバー 進行乳がんを生き抜いて』として、第10回アルファポリスエッセイブログ大賞の特別賞受賞し、舞い上がるほど嬉しかったのが昨日のことのようです。
さらに嬉しかったのは「勇気をもらえました」と同じがん患者さんに言ってもらえることです。
辛い治療中に5年、10年、15年先のことを考えるのは正直難しいと思います。
私も手術が終わった後は来年も元気でいられるんだろうか?と一年区切りでしか考えられませんでした。
治療が終わってからも数年は泣いてばかりで、外にも出られなくなったりしましたけど10年過ぎたあたりから気持ちが変わってきた気がします。
16年経った今の体の変化を書いてみます。
1 手術の傷跡がまだ痛む。特に寒い日などは(侍が「こんな寒い日は刀の切り傷が痛むぜえ」ってやつですね)
2 左胸切除だったので今でも注射は右腕。(これは浮腫予防で、もう大丈夫だと思うのですが今でも右腕です)
3 髪質は抗がん剤の後変わって、戻らない。(量もかなり減りました。抗がん剤の後はくせ毛になりましたけどパーマかけてるみたいで気に入ってます)
4 再建手術は何回か失敗してしないことにした。でも今でも時々「やっぱりするか?」と考えることもある。(もうしないと決めたのに、なかなか難しいです)
5 子宮と卵巣の手術は本当にしてよかった。(術後の痛みが終わってから、体が非常に軽く爽快でした。ただし4つの穴の手術跡はこれまた残っています)
心の変化のほうはもっと大きいかもしれません。
1 毎年していた心配がすっかりなくなった。(16年で安心というよりも、そんなことに振り回されるのがいやになった)
2 苦手だった人前に出るのが大丈夫になってきた。(もともと人の中が大好きだったのに手術後は蕁麻疹が出るようになり、外に出られなくなった時期がありました)
3 落ち込むこともあるけれど、生きてるだけで「楽しいことがいっぱい」なことに気がついた。(どうして私がこんな病気に!と思ったこともあったけど今は「元気なんだからそれでいいじゃん」と思えます)
「元気だからいいじゃん」は、やけくそではなくて(笑)本当にそう思います。
胸は一つでもおしゃれできるし、髪質変わってもいろんな色に染めて楽しめるし、これでいいのだと。
なによりも「こんなに大事な毎日を楽しく生きていかなくてどうする!」と思っています。
あれほど泣いたので、もう涙は残ってないはず!
毎日一度は家族で大笑いをモットーにしています。
爆笑をいかにかっさらうかをいつも狙っています。←それが生きる意味?笑。
そうなんです。
自分が泣いた以上に家族を泣かせてしまいましたから、これからは笑わせなきゃって。
美味しいご飯を作ったり、一緒に映画を見たり、笑い話をしたり。
なんでもないことが、生きていることが、楽しくて仕方がないんです。
本来そうやって生きていくべきなのですが、私はいつも文句ばかり言ってましたから。
ギフトという言い方はあまり好きではないですけど、こういうことは確かにがんが気づかせてくれたなあと思っています。
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