第2話『旅と猫』

 大好きなママとパパへ。

 日本の大学に留学したのは間違いだったわ。

 ……なんてね。嘘、嘘! 心配しないで。長崎は期待した通りの素敵な街よ。

 ただ、戸惑う事ばかりなのは本当。正直、初めはかなり参ったわ。

 ハーグと違って車は左側通行だし、坂道だらけだし、自転車用道路はないし、キャンパスには私の苦手な猫がたくさんいるし。

 でもね、その猫たちだったのよ。元気をくれたのは。

 ある日私、ふと思ったの。尻尾の曲がった猫が目立つなあって。すぐにチューターでもある友達のマリに尋ねてみたわ。

 彼女が言うには、長崎に多い『尾曲おまがり猫』は江戸時代にインドネシアから『阿蘭陀船オランダせん』でやってきた猫たちの子孫なんですって。

 長い旅の果てに辿り着いた日本の地で今もたくましく生きている。

 そんな猫たちに、何だか親近感が湧いちゃった。

 私も頑張らなきゃ! 

 またメールするわね。バイバイ。ソフィより。

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