第22話 突然の知らせ

 夏休みも終盤に近付き、課題も何とか終わらせた私はいつも通り彼と一緒に生活をしていた。相変わらず彼は一生懸命仕事を少しでもしようと、自室に籠っては中々出てこないし私も私でその間に出来る事をこなそうと家事をしたり勉強をしようと頑張っていた。そんな中、久し振りにとある人物から電話が掛かってきた。しかし、そこから私を恐怖と絶望に陥れる出来事の始まりだとは思わなかった。

『もしもし、お父さん?久しぶり!』

『久しぶりだな。元気にしているか?』

『うん、大丈夫だよ(⌒∇⌒)ところでどうして電話を掛けてきたの?』

『実はな、お父さんとお母さんはこれからしばらくお前の家に帰れない事になった。』

『え、どういう事?今いる家に帰れないって・・・何かあったの?』

『これからお父さんとお母さんは、社会に貢献する為に海外に召集されてお仕事をする事になったんだよ。でも、いつ帰ってこれるか分からなくてもしかしたら結衣とこうして話せるのも最後かもしれないってくらい危険な事なんだ。』

『そんな!!(´;ω;`)いきなりすぎるよ。いつ決まった事なの?』

『先週決まったことで、この事を結衣に話すか迷ったんだがいずれ話さないといけないなとお母さんと話し合った結果、今伝える事になった。』

『なんで・・・なんでもっと早くに相談してくれなかったの!?私だって急にそんな事言われたって心の準備とか出来ないよ!!(´;ω;`)』

『出発は今日なんだ。今日の夕方には居なくなるから、その前に何か言いたい事があるなら一度帰っておいで。じゃあ、待ってるからな。』

通話が切れた瞬間、私は涙をこぼして泣き崩れた。大事な両親が急に海外に行かなければならないなんて聞いてなかったし、いつ会えるかも分からないなんて。

「おい、何があった。そんなに大きな声で泣き崩れるとは、よっぽどの事があったんじゃないのか?」

「恭一郎さん・・・私の両親が今日の夕方に急に海外に派遣される事になって、しかも今度いつ会えるか分からない命のリスクもかなり大きいみたいです。なので、今から実家に帰りたいので車を出してもらえませんか?」

「分かった。」

すぐに車を手配してくれた彼は、私を乗せて実家に帰った。


 実家に着くと私は一目散に玄関のドアを開け、両親に会いに行った。するとそこには必死に資料を隠して私を出迎えた両親の姿があった。

「結衣、久し振りね。よく来たわ(⌒∇⌒)」

「本当に来るとはな。」

「ねぇ、今一体何を隠したの?その資料見せてくれる?」

「結衣には関係ない資料だから、見なくても良いのよ?」

「私も家族だから一応見る権利はあるでしょ。」

強引に資料を見るとそこには決して社会の為に貢献する訳ではなく、難病の人に命を捧げる為の活動に赴くという内容の資料だった。

「お父さんもお母さんも何を考えているか分からないけど、なんでこんな事をしようって気になったの?これから私は日本でどうやって生活していけばいいの!?まだ藤城学園での生活は始まったばかりで、これから色々と学費も掛かってくるっていう時なのに学費が払えなくて進級も出来なくて退学になったらどうするのよ!!」

「結衣、世の中には医者でも直せない難病を持っている人がいる事を知っているだろう?俺たちはな、その人達を少しでも救う為に貢献したいんだ。しかもこれは社会的貢献にもなるから、決して後悔はしていない。」

「結衣には辛い思いや大変な思いをさせてしまうけれど、いつかきっと帰ってくるから待っててほしいの。」

「お父さん、お母さん(´;ω;`)」

時はあっという間に流れ、私の両親は空港に向かって行ってしまった。しんと静まり返った実家が寂しくなった様な冷たい雰囲気に包まれた様な形になり、私まで悲しくなってきてしまった。

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