第21話 課題多き日々
夏休みとはいえど、いつまでも遊んでいられるとは限らず藤城学園にも当然の如く夏休みの課題があるので、遊びと勉強と課題消費の両立をしないといけない。幸いにも彼と同居しているという事もあって、数学に関しては彼に教えてもらえているので順調だった。
「恭一郎さん、おはようございます!今日も藤城学園でお仕事ですか?」
「あぁ、まぁな。お昼には帰ってこれると思うが、別に何も気を使って昼ご飯を用意しなくても構わないからな?」
「分かりました(´・ω・`)」
「そういえば課題は終わらせたのか?数学は終わっているだろうし、後は何が残っているんだ?」
「古典と社会です。古典は一ノ瀬先生から教われば大丈夫かなと思うんですが、流石にお仕事の邪魔は出来ないので自力で解きますけど社会はどうしたら良いか・・・。」
「そのくらい、自分で考えろ。俺もそろそろ行かないと大変だから行ってくる。」
「いってらっしゃいませ(⌒∇⌒)」
彼を送り出した後に私は課題消費に時間を費やした。古典は相変わらず古文読解に時間が掛かり、何とも言えない地獄の時間だった。そして社会は現代的な問題に筆記が多くて、とてもじゃないけど自力では解けずに困り果てた。でもどうにかしないと提出が出来ないので、茜に連絡してみる事にした。
『もしもし、茜?今時間平気?』
『うん、平気!珍しいね、こんな時間にかけて来るなんて(^^;)何かあったの?』
『社会の問題が分からなくて、茜に教えてもらいたいなーって思ったから連絡したんだけど分かる?』
『現代社会の事を筆記の所は書いて、後は教科書見れば穴埋めは簡単だよ(⌒∇⌒)』
『穴埋めに関しては分かったけど、筆記はどういう感じに書けばいいの?今問題になっている事柄に対して自分の意見を書くとかって事で良いのかな?』
『そんな感じかな。』
『分かった、ありがと(⌒∇⌒)じゃあ、またね♪』
通話を切って課題を再開させると、ネットを使って問題になっている事柄を調べた。今時だと政治的な問題がメインかなと思った私は、自分なりに必死に調べ上げて筆記の所を先に埋めてから穴埋め問題に取り掛かった。穴埋めは基本的に授業で教わった内容ばかりだったが、中々解けなかったので自分がどれだけ勉強不足だったかを教えられたような気がした。
お昼になって、宣言通り彼が帰宅してきたのでお迎えしてから料理を作ってあげようとキッチンに向かった。今日の料理は冷やし中華にしようと決めてたので、早速準備に取り掛かった。
「結衣、俺は今朝昼ご飯はいらないと言ったはずだが?」
「ちゃんと食べないと夏バテしますから、しっかり食べてください(^^;)倒れたら恭一郎さんは必然的に若桜先生に面倒見てもらうんですから、それが嫌ならしっかり食べて夏バテ防止してください!」
「・・・分かった。お前がそこまで言うならそうするか。」
「じゃあ少し待っていてくださいね(⌒∇⌒)」
「分かった。俺は自室にいるから出来たら教えろ。」
「了解です!」
こうして料理を作り始めた私は、彼の為にと思って予め作っておいた冷やし素麵も用意しておいた。そしてそれだけではなく、彼が大好きなプラモデルの模型の形をした小さなケーキも作る事にした。ちょっと子どもっぽい様なご飯の出来栄えになってしまうけど、彼が喜んでくれると良いなと思って一生懸命作った。
「恭一郎さーん、ご飯できましたよ(⌒∇⌒)」
「あぁ、出来たか。・・・これはいつにも増して豪華な食事だな?しかもプラモデル型のケーキに冷やし素麺と冷やし中華。悪くないがケーキは甘さは無いだろうな?」
「もちろん、甘いものが苦手だと把握しているので代わりに少し塩分を加えましたがどうでしょうか?やっぱりケーキに塩分は控えた方が良かったでしょうか?」
「・・・悪くない味だな。だが、確かにお前の言う通り塩分は良くないかもしれないな。」
「じゃあ、次からは少し工夫したものを用意しますので楽しみにしていてください(⌒∇⌒)」
「それにしてもこんなに豪華な食事が出来るとは、俺自身も驚いたが何かサイトでも見て覚えたのか?」
「恭一郎さんに喜んでもらいたくて一生懸命作ったんです(⌒∇⌒)」
すると彼は優しく微笑み、頭をナデナデしてくれた。これが滅多に見れない彼なりの感謝の仕方なのではないかと勝手に解釈したけど、滅多に言葉にして感謝とかしない彼ならあり得るかもしれないと思った。
お昼ご飯の後、私と彼は一緒にテレビを見ていた。やはり彼は真面目なのでニュース番組ばかり見ていて、クイズ番組やドラマ等はみる事は無い。そういえば確か私のクラスの真山先生のファンの子が言うには、今どきの流行を未だに理解出来ていないのは恐らく真山先生なのではないかと休み時間に言っていたのを思い出した。確かに言われてみればそうかもしれないけど、逆にニュース以外で興味ある事って何だろうか。
「そう言えば、恭一郎さんがニュース以外で気になる事って何ですか?やっぱりプラモデルとかですか?」
「急に何を言い出すかと思えば・・・まぁ、結衣しか興味ないな。それに、お前もしかして俺が最近の流行等についていけてないとでも思ったのかもしれないが、残念だったな。俺はこれでもきっちりと勉強しているから、世間体には着いていける。」
「そうなんですか!?」
「勘違いされても困る。」
流石何でも完璧主義な彼。皆に置いて行かれない様に陰ながら勉強しているんだなと、私は心の中で密かに思った。しかしながら私も私で中々ついていけない部分は多々あって、俳優の事や雑誌の事はあまり知らない。私もいつかしっかり流行に着いていける様になりたいと思った。
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