第20話 茜とプール♪

 今日は真山先生は職員会議で朝から居ないので、私は一人彼の家で帰りを待っている事になったけど、誰かから遊びの連絡が来ないかなーと思っている昼下がり。でも実際は本当に連絡が来ても私がいるのは真山先生の家なので、同居している事がバレたら大変だし家バレしてしまう可能性もある為、一回彼を呼ばなければならなかった。忙しい中呼ぶのも大変だろうから、友達から連絡が来ないっていうのもたまには悪くないかもしれない。そんな事を思っていたら茜から電話が掛かってきた。

『もしもし、結衣?これからプールに行かない!?』

『良いけどもうお昼だよ?(^^;)また今度にしない?』

『でもせっかくの夏休みだし、ナイトプールもあるんだよからせっかくだし楽しもうよ!』

『でも・・・。』

『あ、もしかして真山先生の事気にしてる?』

『今日、職員会議で朝から居ないんだよ(^^;)それでお出かけしちゃうのはまずいんじゃないかなって思うんだけど。それに何気に彼は独占欲あるから、女友達でも例えば男の人に絡まれたらとかって言われそうだし・・・。』

『じゃあ、ナイトプールの時間だけにする?その方が職員会議終わってる時間だと思うから、一回帰ってこれるだろうし(⌒∇⌒)』

『え、待って。何で茜は私と彼が同居している事を知っているわけ?』

『この前少し見かけちゃってさ(^^;)』

『・・・この事は内緒だからね?私と彼の関係性を知っているのは、若桜先生と茜しかいないんだから。』

『分かってるよ(⌒∇⌒)じゃ、そういう訳でまた連絡するからちゃんと支度しておいてね~♪』

そう言い残して通話が切れた。ついに茜にも同居している事がバレたけど、ここまで来たら何が何でも他の人にはバレない様に気を付けないといけない。それにしても茜が藤城学園に戻ってくるようになってから、クラスの雰囲気がちょっと変わったかもしれない。何か複雑で・・・こわばっているような感じ。


 夕方、真山先生は疲れた顔で帰宅して来た。玄関に入るなりドサッと大きな音がしたので、急いで駆けつけると大きな荷物に書類らしきものが入った袋がどっさりと置いてあった。

「恭一郎さんおかえりなさい(⌒∇⌒)職員会議お疲れさまでした!荷物、大変だろうから私が運びますね(⌒∇⌒)」

「ただいま。お前、なんか嬉しそうな顔をしているな?何かあったのか。」

「この後、茜とナイトプールに行くんです(⌒∇⌒)」

「この前俺と行ったばかりだろう。懲りずにまた行くとは、女子も女子だな。」

「茜とは久しぶりに遊ぶので、内心凄く楽しみで早く連絡が来ないかなって思っていてもう支度も済ませました。」

「ナイトプールは男が沢山集まる場所だから、正直心配だが佐藤茜がいるなら安心して預けられるな?夜はカップルが多いがその分、ナンパも多いだろうから気を付けて行動する様に。後、帰る時は必ず連絡しろ。俺が迎えに行く。」

「はーい(^^;)」

やっぱりこうなるんだなと実感した私は、彼の荷物を片付け終わると食事の支度を始めた。今日のご飯はヘルシーな物にしようと思って冷蔵庫を開けたが、野菜が残り少ない事に気が付いた。

「恭一郎さん、すみません。野菜が切れているので買い物に行ってきますね(^^;)」

「珍しいミスだな。でも今日はもう暗いから、俺が残りの者で作れる簡単な料理を作ってやる。佐藤茜からの連絡はまだだろうから、それまでに作ってササっと食べて行くように。」

「ありがとうございます!」

こうして出来上がったのはパエリアと野菜サラダ。後、素麺がついてきた。確かにある意味健康的かもしれないけど、これで良かったのだろうか。

数時間後、茜から連絡が入ったので彼に伝えると車で近くまで送ってくれた。


 待ち合わせ場所のプールに着くと、茜が驚いた顔をしてこっちを見ていた。それもそのはず、彼の車で来るとは思ってもいなかっただろうから。

「わぁー、本当に彼の車で来たんだね!結衣ってばモテるね?」

「やめてよ(^^;)それに実は学園まで毎日送り迎えに来てもらっているんだけど、それだけでも結構大変なんだからさ。」

「そうなんだ!?でも、幸せもんだね(⌒∇⌒)」

「さ、プールに行こう?閉館時間まで時間少ないから、早く行って楽しもう?」

「うん!」

水着に着替えてプールサイドに出ると、真山先生の言う通りカップルが多くてナンパされそうな雰囲気が漂う場所だった。

「結衣、固まってどうしたの?気分悪い?」

「そうじゃなくて、やっぱりここ危なくない?危険そうな雰囲気が沢山するんだけど・・・。」

「そんな事ないよ!確かにナンパされる事はあるかもしれないけど、それも経験だと思って楽しもうよ(⌒∇⌒)」

「え、う、うん。」

「ほら、行こう!!」

彼女に手を引かれ、連れてこられたのは人工的に作られた流れるプール。多少の混雑があるので、気を付けていかないと逸れてしまいそう。

「結衣、入ろ♪」

「うん!(⌒∇⌒)」

茜と水を掛け合ったり、浮き輪で一緒に浮いたりするのが楽しくていつの間にか浮き輪が空気が無くなってきている事に気が付いたのは、私の方だったので空気を入れに行ってくると茜に伝えて空気入れのコーナーに向かった。


 空気入れをしていると後ろから知らない男の人が声を掛けてきて、私の体に触れ始めた。これが俗にいうナンパというものかと実感し、恐怖感に陥ったが冷静に空気を入れた後男性に抵抗したが、力が強くて敵わない。こんな時、彼が居てくれたら守ってくれるんだろうなと思っていたが今頃彼は何をしているのかとしか思えなかった。

「やめてください!スタッフさん呼びますよ?」

「そんな事言っても~?こんな可愛い子一人で来るのがいけないんだから、こうされるのは仕方ないよね?それに首筋にキスマがあるけど、彼氏持ちって事だよね?それもそれでそそるなー(⌒∇⌒)」

どうしよう!このままじゃ本当になすが儘になっちゃう!!

「俺の女に触れるな。」

「恭一郎さん!?(´;ω;`)」

「ちっ、良いとこだったのに。」

そう言うと男の人は去っていった。

「無事だったか。何もされていなくて何よりだ。・・・でも触れられていたのは事実らしいな?」

「すみません、抵抗したんですけど敵わなくて・・・」

「そんな事より、今日はもう帰るぞ。これ以上何かあっては困るからな。」

「あー!結衣、無事だった!?遅いから何かあったのかなって思って。」

「茜、大丈夫だよ(^^;)ごめん、今日はもう帰るね?彼が迎えに来てくれたから、せっかくだし茜も帰ろ?(⌒∇⌒)」

「そうだね・・・。」


 茜を乗せて車で帰り、茜の家まで送り届けた帰り道。家に着くと彼はベッドまで私を抱えて連れて行った。

「あの男にどの様にされたのか言ってみろ。」

「・・・胸を揉まれただけで、他には何も無かったですよ?」

「ほう、なら俺がまた揉みなおしてやる。あの男にされっぱなしは俺の性に合わないからな。」

そして私は数時間念入りに彼にされるがままだった。知らない男性に触れられるのは怖くて抵抗するしかないけど、彼にされるのは愛されている証拠でもあり今回の様なケースだと嫉妬されてしまったかもしれないなと薄々思って、もう2度とナイトプールにはいかないと心に決めた。それにしても結構楽しかった一日だったなー。また来年は彼と行きたいし、ちゃんとした1日になると良いな。

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