第14話 体育祭当日
体育祭の練習を続けて気づけばもう体育祭シーズンになり、私の足も無事に完治し元気に体育祭に戻れるようになり今日はいよいよ体育祭当日。私のクラスのメンバーは特に男子が気合が入っているみたいで、開会式前に体力を使い切ってしまうのではないかと思うくらいの元気ぶりで女子はドキドキとワクワクが止まらないというのが分かるくらいの笑顔でいた。担任の一ノ瀬先生は、いつも通りほんわかとした雰囲気を醸し出していた。
「ねえねえ、佐々木さん!今日の体育祭の目玉って何かしってる?」
「目玉?今年は何かまだ知らされてなかった気がするけど、何になったの?」
「今年は3大企画で教師対抗リレーと、教師対抗借り物。そして藤城四天王達によるパフォーマンス大会が今年の大目玉で皆それがどの競技よりも楽しみになっているらしいよ(⌒∇⌒)教師対抗リレーは、この初夏のシーズンに汗を流して走る姿と爽やかさが女子のハートを虜にするって話だよ♪借り物競争も人気の教師たちが生徒達に借り物してくるから、何かそれに近いものでも持っていたら良いかもね(⌒∇⌒)」
「なるほどね。確かのどの企画も面白そう!」
「でも、佐々木さんは体育祭実行委員会委員長だからそんな暇無いのかな?」
「そんな事ないよ。ちゃんと企画の時は休憩もらえるからしっかりと応援できるし(;^ω^)」
と、こんな会話を繰り広げているうちに開会式はいつの間にか終わり競技が続々と始まった。実行委員会の役割はそれぞれの競技の審判と、競技に参加するメンバーの確認が主な仕事で、実行委員会委員長の私の役割は審判のデータを基に厳密な得点を出す事。
「おや、結衣ちゃん。こんな所で眉間にしわ寄せて・・・どうしたのかな?」
「若桜先生!私、元々体育祭実行委員会委員長の役割持っていて今日が本番なので何かと仕事が多くて大変なんですよね(;^ω^)」
「委員長とかなっちゃうとどうしても仕事が増えるよね・・・。まぁ、俺も仕事があるから人の子と言えないけどね。それに今回は教師対抗競技が2種目あるけど、その両方に出ないといけないのがまた面倒なんだよ・・・。」
「若桜先生も出るんですね!(⌒∇⌒)」
「女の子たちに人気らしいからね(;^ω^)流石に出ないわけにはいかないよ。真山にも昨日きつく言われて、競技に必ず参加しろってね・・・。」
こんな感じで実行委員会の仕事の合間に、色んな人と話して少しでも気を落ち着かせるのが少し楽だったりもする。もちろん、私もパン食い競争の時には出場したりクラス対抗リレーも出場した。
お昼休みになり熱戦も一息つき、皆でワイワイ楽しんでいる時に私はふとこんな時に茜がいればもっと楽しかっただろうなと一人お弁当を食べながら思っていた。するとどこから来たのか、真山先生が隣に来た。
「佐々木さん、皆と一緒には食べないんですか?」
「皆といるのも楽しいですが、本当はこの場に居て欲しかった茜が居ないとなると少し寂しいので、敢えて今は一人で食べています(;^ω^)真山先生は今からご飯ですか?」
「ええ。私のクラスのメンバーで一緒に食べようと思いましたが、流石3年生と言った所なのか受験勉強を少ししている生徒が多く、とても話せる雰囲気ではなかったので場所を探していたのですがあなたと食べるのも悪くないですね。」
「さすが真山先生のクラスですね(;^ω^)学年の間でも有名で、真山先生のクラスになった人は結構良い成績を持っている人が多いから指導こそ厳しいけれど、真山先生のクラスになれたら最高だって(;^ω^)」
「ほう?それは良い知らせですね。」
「真山先生はこの後の競技に出るんですよね?とても楽しみです!」
「佐々木さんがそう言うなら、頑張るしかありませんね。では私はこの後の教師対抗の準備があるので、これで失礼します。」
真山先生の後ろ姿がなんとなくいつも以上に輝いて見える気がしたのは、私の気のせいなのかもしれない。
教師対抗借り物競争が始まると、女子の歓声や応援が一気に始まった。やっぱりお目当ては、藤城学園の人気の真山先生と若桜先生と一ノ瀬先生らしい。皆自分の所に来ないかと、たくさんアピールしているのが分かる。それに比べて殆どの男子は、歓声を出している女子をジーっと見ているだけだった。
「佐々木さん!」
「一ノ瀬先生!?何か貸してほしいんですか?」
「うん。あのさ・・・。」
「一ノ瀬先生、その生徒に用があるのは私なので一回どいてもらえますか?」
「真山先生(;^ω^)でも僕が最初に声を掛けたのにぃ。」
「一ノ瀬先生の事、呼んでいる生徒が沢山いるのでそちらに行った方が早いですよ?」
仕方ないなと言わんばかりに一ノ瀬先生は退散し、その隙に真山先生がやってきた。
「あなたにしか借りれない物を、運良く引き当てたので来たのですが・・・。俺が前にあげたブレスレット持っているだろう?それを貸してほしい。」
「あ、ありますよ(⌒∇⌒)これですよね?」
「ああ。流石だな。このままでいけば俺がダントツの一位でゴールできる。その勇姿を見ていてくれ。」
彼はそう言って足早に去っていった。もちろん、ゴールに向かっている間に誰かの先生と彼とでデッドヒートが繰り広げたけど、宣言通りに彼は一位でゴールした。
教師対抗リレーも案の定真山先生が大活躍し、大勝利をおさめた所で体育祭は終わりを迎え閉会式に移った。皆疲れた顔をしてどの組みが勝ったのかを心待ちにしていた。結果はなんと真山先生のクラスが優勝で、2年生の先輩方はやっぱりなという顔をしていたが私達一年生は「先輩たちの力って強いんだね(;^ω^)」と口を揃えていた。藤城学園の体育祭は少し変わっていて、普通の学校とは異なり全ての競技が学年対抗もしくはクラス対抗なので部門別に分けると学年部門とクラス部門で表彰される。教師対抗リレーと借り物競争も、正式にポイント加算される事になっている。
結局私のクラスは何にも選ばれなかったけど、皆が皆楽しかったと言っていたので私もそれで良いかもと思ってしまったくらい初めての体育祭は幕を閉じた。
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