第11話 初めての彼の家
初めて真山先生の家にお邪魔する事になったけど、これはある意味彼女の特権かもしれないと思い始めた。
「荷物は適当に置いておけ。しばらくはここで生活するんだから気にしなくても良い。」
「お、お邪魔します・・・。それにしても広いお家ですね(⌒∇⌒)」
「まあな。俺クラスだとこのくらい当たり前だろう。」
「そういえば恭一郎さんは、プラモデルがお好きなんですか?沢山コレクションしてありますが。」
「ああ、俺の趣味でプラモは集めている。眺めたり集めたりするのが特に最高の瞬間で、俺がいつも帰宅すると唯一の癒しになるのがこれだからな。・・・だが今の俺にとって唯一の癒しは、俺の目の前にいる結衣しかいないから安心しろ。」
「照れる事言わないでくださいよ///」
「そうやって頬をすぐに染める所も好きだぞ。さて、今からお前に最初の手料理を振る舞ってやるから少しそこの椅子に座って待ってろ。」
「はーい。」
さてと、古典の課題でもやろうかな。確か次回の授業で小テストがあるから、しっかり要点を抑えないと・・・。それにしてもまさか真山先生の手料理を食べる事が出来る日が来るとは思ってなかったけど、キッチンで食事を作っている真山先生ってなんかいつも以上にかっこいいな・・・。
「おい、何をボーっとしている。俺を待っている間に勉強しているんじゃなかったのか?・・・それとも俺に見惚れているのか?」
「別にそんな事ないですよ///今から勉強するので少し黙っていてください!」
「ほう?俺に指図するとは良い度胸だな。後でどうなっても知らないからな。」
結局私は彼の言葉に返す暇が無い程に1時間程没頭してしまった。そして気付いた時にはもう夜になっていた。
「夕飯出来たからこっち来い。たまには休憩を入れるのも大事だぞ?」
「あ、はい。今行きますね!」
「俺がテーブルまで抱っこしてやるから待ってろ。足、骨折しているんだから無理させる訳にはいかないからな。」
恥ずかしいけど、大人しく抱っこされた方が良いかもしれない・・・そう思った瞬間彼が抱き上げたので、改めて彼の暖かい体温を感じる事が出来た。
「よし、一回降ろすぞ。」
「すみません、ありがとうございます。」
「礼には及ばない。さっさと食べろ。俺も早くお前を抱きしめたい。」
「///」
食べ始めると視線の先には当たり前だけど真山先生が居る。でも良く見ると彼の手先が綺麗でマナーもしっかりしている。もしかしたらきっといつか、真山先生に子供が出来たならその子も真山先生と同じ様に、お行儀よく出来る良い子に育つんだろうな(⌒∇⌒)
「何をにやけている?」
「恭一郎さんって食事のマナーやその他のマナーが凄く完璧なので、将来子供が出来た時にそういう基本的な事はちゃんと躾けるんじゃないかなって思ったんです。きっとその子もいつか恭一郎さんに似てくるんじゃないですか?(⌒∇⌒)」
「近いうちに・・・いやいつか分かる。お前と将来の道を歩むのはもう既に決っている事だからな。」
「え・・・?恭一郎さん?」
「今言った事は事実だが、今は気にしなくて良い。いつかちゃんと正式に結衣に伝えてやる。」
将来、彼と一緒に将来を紡げるとしたら私は一体どうやって彼を支えればいいんだろうか。そして私の親は、彼と一緒に結婚する事を正式に認めてくれるのかが今一瞬頭の中で浮かんだ。
「俺は一度言った事はちゃんと実行する男だから、お前を不安にさせるなんて事は絶対に無いから安心しろ。」
彼はそう言うと先に食べ終わったので食器を片付けに行った。私もすぐに食べきったので食器を片すために立ち上がろうとしたが、痛みが激しくて中々立ち上がれなかった。
「無理するなと言っているだろう。ほら、俺に食器をよこせ。」
「恭一郎さんにお任せする訳にはいかないので、何か私にも手伝わせてくれませんか?いくら恭一郎さんの彼女でも何も出来ないままじゃ、彼女として失格だと思うので・・・。」
「はぁ・・・。」
深く溜息を吐いた彼は一回水を止めると、私に近づき頭を撫でて「お前はただ俺の傍にいてくれれば大丈夫だ。基本的な事はそのうち俺がゆっくり時間を掛けて教えてやるから、今はこうして笑顔でいてくれ。」と優しく囁いてきた。
食器も片付けてお風呂も済ませ、そんなこんなで寝室に着くと私を見つめた後にベッドに入り掛け布団を捲って「こっちに来い。」とだけ言い、私の事を待っていた。正直、こうして彼の家で過ごすのは良いけど寝るまで一緒なのは何だか色んな意味で緊張してしまった。
「まだ来ないのか?」
「だって恭一郎さんと一緒なんて初めてなので、どうすればいいかと思って///」
「お前はただ俺に抱きしめられていればいい。」
「きゃっ!///」
強引に腕を引かれ、ベッドの中に引き込まれた私はただ普通に緊張で動けなくなってしまい彼に身を任せる事になってしまった。
「そうだ。お前はただ俺の腕の中に居れば良い。」
そうして彼は自分の眼鏡を外すと、ベッドの近くのライトの下に置いて優しくキスをしてくれた。
「結衣、お前は永遠に俺の物だ。絶対に離さないから覚悟しておけよ?」
「はい、私もずっと恭一郎さんの傍にいます///」
こうしてお互い深い眠りについた。これから彼としばらく訳アリの同居生活が始まるとすると、毎日が楽しくて仕方なかった。
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