第5話 休日登校と休日出勤
今日は体育祭実行委員会のメンバーと実行委員会の先生方で、体育祭に向けた話し合いが一日行われるらしくて私佐々木結衣は当然の如早朝に呼び出されたのであるが、なんと誰にも居ない時間帯の教室に真山先生の姿があった。
「真山先生、おはようございます。朝から早いですね。」
「佐々木さん、おはようございます。私は体育祭実行委員会の委員長の補佐的存在なので、この実行委員会に所属する事になったんですよ。」
「え、補佐って・・・。先生、私の事フォローしてくれるって事ですか?」
「・・・お前、このくらいの事も理解できないのか?俺がちゃんと様々な出来事や仕事等から守ってやるって事だ。いくら関わりを避けるといってもしっかりと教師としての役割は果たさないと、モチベーション保てないからな。しかし、結衣の事もしっかり助けてやるから何も不安に思う事はない。」
「・・・ありがとうございます。」
その後、続々と人が集まり始めたので真山先生はいつものスタイルに戻った。すると、実行委員会のメンバーの中に如月斗真君の姿があって如月君は私を見るとすぐに話し掛けてきた。
「よっ、体育祭実行委員会委員長。いつも通り元気そうだな!」
「そうかな?如月君も実行委員会に入ったんだね。」
「まあな。俺、動く事好きだし運動系男子だからな!だから比較的、力仕事は完璧にこなせるから何かあったら俺を頼ってくれよな(*^^*)」
「ありがとう!」
私の端の方で機嫌が悪そうな真山先生がいる気がしたけど、私は私でとにかく仕事をしたりみんなを纏めたりで一々気にしていられなかった。
「あー、体育祭実行委員会委員長だー!(*^^*)」
「桜沢くん!?」
「へへっ(*^^*)僕も先輩とおなじく実行委員会に入ったんです(*^^*)先輩と一緒に活動出来るなんて、僕夢みたいです(*^^*)」
「桜沢くん、張り切ってるもんね( ̄▽ ̄;)でもなにかあったらいつでも言ってね?」
「はい!」
桜沢瑠風君。彼とは同級生なんだけど、私の方が先に誕生日って事で何故か私を先輩扱いしてる不思議な性格の子。
「よし、それでは実行委員会を始めましょうか。委員長、よろしくお願いします。」
真山先生の声と同時に場の空気が張りつめた。
「はい!・・・ではこれより体育祭実行委員会ミーティングを始めます。まず初めに・・・」
こうして長いミーティングが始まった。様々な意見が飛び交う中、私は皆の意見を上手くまとめてホワイトボードに記載していく。少しだけ真山先生の方を見ると、彼は目線で何かを訴えてきていた。
お昼休みになると、桜沢くんが走ってきた。
「先輩〜、お昼ご飯一緒に食べませんか?(*^^*)」
「うん、いいよ(*^^*)」
「それにしても先輩っていつも大変そうですよねー。実行委員会委員長って立場も重そうですし、なにか僕に手伝えることありますか?」
「今の所は大丈夫だよ。意見をまとめた資料を後々作らないといけないから、それを先に片付けないといけないから大変なんだけどね( ̄▽ ̄;)でも責任はちゃんと最後まで果たすよ!」
すると、真山先生が私のところにやってきて急に呼び出した。
「桜沢くんごめんね。ちょっと席外すから一人で食べててもらってもいいかな?如月くんもいるから、一緒に食べてて?(*^^*)」
そう言うと真っ先に真山先生のあとを追った。するとやはり、真山先生は屋上にいた。
「真山先生、お待たせしました( ̄▽ ̄;)ご用件ってなんですか?」
「・・・桜沢や如月といる方が楽しいのか?」
「えっ?そんな事ないですよ( ̄▽ ̄;)先生といる時も楽しいですし、真山先生の方が優秀だと思っていますよ(*^^*)」
「なら、俺の事は2人きりの時だけ名前で呼んで欲しい。いつまでも真山呼びは俺も飽きたからな。」
「名前呼びってことは・・・恭一郎さん?」
「そうだ。よく出来たな。」
まさかの名前呼びでのご希望が来るとは思っていなかったけど、何か私だけ特別な感じがして悪くないなと思った。
「真山先生・・・恭一郎さんは、私の事どう思っているんですか?」
「今までお前にしてきた事を振り返れば、答えが見えてくるはずだが?少なくとも、俺はお前の事が好きだ。」
「本当ですか?」
「好きな奴でなければ連絡先なども交換しないし、こうして抱きしめる事もしない。俺はお前と同じで誰でも抱きしめる様な簡単な男じゃないからな。」
やっと、真山先生の本心が聞けた気がして少し嬉しかった。真山先生の事を好きでいても良いんだ。
「さて、そろそろ戻らないとまずいんじゃないか?お昼休みも終わる時間だ。」
「あ、お弁当・・・食べ損ねてしまいました。」
「なら、夜に俺と二人で食べるか?講師室のカギは俺が持っているから、他の教師は入れないからな。」
「お言葉に甘えて、そうさせてもらいますね(^▽^)/」
お昼休みが終わる頃、私と真山先生は仲良く帰ってきたのを運悪く如月君と桜沢君に見られてしまった。
「やっぱりお前ら怪しいんだよなー。」
「さっき、斗真君から聞いたけど君たちって付き合ってるの?」
「如月君に桜沢君は一体何を根拠に仰っているのですか?根拠も無しに言われては、こちらとしても良い迷惑なのですが?」
「結衣にも話したんだけど、こいつも否定するからその時は信じてたけど今一緒に帰ってきたって事は、そういう事だろうなって思ったんだよ!な、桜沢?」
「うん、確かにそうだよ。二人で帰ってくるなんて絶対に何かあったよねー。」
「たったそれだけの理由で私たちが付き合うと勘違いするなんて、最近の若い子は困りましたね。佐々木さん、そろそろ実行委員会を再開しましょう。」
「あ、はい。わかりました!」
どうにかなった気がするけど、今後この二人には注意が必要かもしれないなー。
それから私はコツコツと実行委員会委員長としての仕事をこなしていたけど、時々真山先生の機嫌が悪そうな顔が垣間見えて私は不安になっていた。
「・・・以上の事から、今回の体育祭開催における予算は書類通りの額がふさわしいのではないかと思いますが皆さんの意見はいかがですか?」
「せんぱーい、それだけだと体育祭が上手く開催できるか不安じゃないかなとおもいうよ?だって、予算を敢えて多めに取っておいて万が一体育祭が中止になったとしたらその余分な分の額はどうなるのー?」
「えっと、それは・・・」
「その分は今後の生徒会の分に回るので、心配はいりませんよ。」
「真山先生には聞いてないですよー。僕は先輩に聞いているんです!」
「桜沢君、これ以上言うなら数学の課題を増やしますよ?」
「・・・はーい。」
なんだか今のは桜沢君に申し訳ないなーと思いつつも、そこから先はどんどん先に話が進み無事に終わったのは夜の7時だった。
解散になり私が部屋の片づけや掃除をしていると、真山先生が様子を見に来てくれた。
「よく頑張ったな。今日のお前はいつもより輝いて見えたぞ。」
「お疲れ様でした。まさか桜沢君があんなに抗議してくるとは思わなくて、私も言葉に困りましたが・・・恭一郎さんが助けてくれたおかげでどうにかなりました!」
すると真山先生は口角をニヤッと上げると私を壁際に追い込んで、急に耳元でいきなり囁かれた。
「二人きりのとき俺の事を名前呼びで呼ぶ事をよく忘れなかったな?後で褒美をやろう。」
「ひゃっ、恭一郎さんくすぐったいです!」
こうして私達は誰も居ない講師室に向かった。
講師室に着くと真山先生は私の隣に座った。そして例の缶コーヒーをプレゼントしてくれた。
「お弁当、恭一郎さんはありますか?よかったら私の分あげましょうか?」
「いや、俺はあるから大丈夫だ。それより、お前はどういうお弁当を用意してきたんだ?」
「普通に手作りですけど、大したものではないですよ?」
「ほう?なら、俺が味見してやる。」
「そう言うと思って、恭一郎さんの分も用意しておきました( ´∀` )」
そして私は恭一郎さんに手作りのお弁当を渡した。彼が甘いものが苦手というのを知っていたので、少ししょっぱい物とバランスの良いものを組み合わせて作ってきたけど喜んでくれるかな・・・?
「・・・なかなか良い味だな。今度また作ってほしい。」
「うれしいです( ´∀` )」
「さて、お前がゆっくりご飯を食べている間に俺は少し仕事を片付けるから心の準備と腹を満たしておけよ?」
「はい!」
・・・ん?心の準備?まあ良いかな。
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