第2話 放課後の出来事

 いつもの様に藤城学園でのひと時を過ごしていた私は、お昼休みの時間になんと生徒会のメンバーの一人でもあり生徒会長の西園寺先輩に声を掛けられて、初めて生徒会室に呼び出された。

「佐々木さん。いきなり呼び出してすみませんね。」

「いえ、私も丁度やる事を終えたので少し休憩していたので。ところで私に何か用ですか?」

「実は、真山先生から言付けを預かっていまして本日の朝方に行われた職員会議にて、あなたを体育祭実行委員会の委員長に推薦し選出したので詳しくは本日の放課後に職員室に来るようにと言われましたので。」

「私が体育祭実行委員会委員長!?いや、私なんて運動なんて出来ないですし実行委員会なんて向いていないので何も出来ないです。なので、他の人を推薦した方が良いのではないでしょうか?」

「しかしながら、どうやら他の先生方も賛成してしまったらしいので辞退はなかなか難しいのではないですか?・・・我々生徒会メンバーもあなたの事を応援していますので、ぜひ一回やってみるのはいかがですか?」

「・・・そうなんですね。わかりました。」

まさか、実行委員会の委員長に真山先生が推薦するなんて思っていなかったけど後で放課後に会いに来いと言われても困るんだけど行かないと。


 教室に戻ると佐藤茜が声を掛けてきた。

「結衣、体育祭実行委員会に推薦されたんだって?しかもあの真山先生から推薦されるなんてついているというかついてないというか・・・、」

「ついてないよ。何でこんな風にならないといけないのか分からないよ。茜なら運動神経良いから、それこそ体育祭実行委員会にふさわしいんじゃない?」

「でもやる事やらないと余計に真山先生から怒られそうだからさ、私も応援するから頑張って!」

「うん、ありがとう。」

お昼休みの終わりのチャイムが鳴ると同時に、真山先生が教室にやってきた。しまった、次は真山先生の数学の授業だ!

「佐々木さん、お友達と話す暇があるなら授業の支度をしたらどうですか?もうすぐ私の授業ですよ?」

言われなくてもわかってますー!

「では授業を始めます。初めに、前回行った小テストの返却を行いますので呼ばれた方は前にきて取りに来てください。」

そういえば小テストを前回行ったのをすっかり忘れていた。多分今回も私は補習対象だと思うけど、茜は余裕で受かるんだろうな。

「佐々木結衣さん。」

「あ、はい!」

「・・・お前、どういうつもりだ?後で放課後職員室に来い。」

やっぱり補習だった・・・。ついでに体育祭実行委員会の事も話をつけないと大変な事になりそうだから、仕方ないから行こう。

「結衣、どうだった?補習回避できた?」

「全然だよ。茜は回避でしょ?」

「今回は惨敗だよ。あと一点足りなかった。」

「珍しいね、茜が補習なんて。一緒に補習頑張ろう?」

「そうだね。あ、結衣前から真山先生来るからまた後で話そ!」

こうして一回授業に集中しようとしたけど少し遅かったみたいで、もう目の前には真山先生の怒った顔が目の前にあった。

「佐々木さん、佐藤さん。あなた達は仲良しなのは良いですが、今は授業中なのを忘れて欲しくないのですが?」

案の定、真山先生に怒られた私達は課題プリントを少し多めに増やされてしまった。


 放課後、私は職員室に向かうと簡単にノックをして真山先生の元に向かった。すると、普段の真山先生のスタイルで彼は話し掛けてきた。

「佐々木さん、あなたがどうして呼び出されたかというのは既にお分かりだと思いますが体育祭実行委員会についてお話があります。場所が場所なので少し場所を変えましょう。」

「は、はい。分かりました。」

すると、真山先生は屋上に連れて行くと鍵を閉めていきなり私を抱きしめてきた。

「お前、西園寺に呼び出されと思うがあいつには何もされなかったか?」

「ま、真山先生!?・・・特に西園寺先輩には何もされなかったですけど、いきなり抱きしめてきてどうしたんですか?」

「お前の事が心配だったんだ。いくら俺が西園寺に言付けを頼んだとはいえど、あいつも男だからお前に何をするか不安で仕方なくて。」

「真山先生らしくないですね。私はそんな簡単に何かされる様な人ではないので安心してください!」

「そうか。」

そういうと真山先生は一回私を離すと、いつものスタイルに戻って丁寧な口調で話し始めた。

「という事で、体育祭実行委員会委員長に推薦したのですが佐々木さんはどう思いますか?」

「西園寺先輩にもお話ししましたが私には無理なお話です。そもそも、私には運動神経も無いし皆を纏める力も無いので他の人を推薦したいのです。例えば佐藤茜さんなんてどうですか?彼女なら計画性もあるし実行力もあるので、まさに実行委員会委員長には適切ですよ?」

「確かに佐藤さんには今佐々木さんがお話しした通りの力はありますが、私はどうしてもあなたにしか出来ない仕事だと思っているので推薦しているのです。故に他の先生方も賛成しているので、これはもうやるしかないのではないのですか?」

駄目だ、真山先生に言っても通じないという事はこれはもう実行するしかないのね。

「わかりました。体育祭実行委員会委員長の務めをやらせてください。」

「それでこそ、俺が選んだ女だ。ではこの後簡単にミーティングをするから、講師室に来なさい。」

そう言い残し、真山先生は先に戻ってしまった。私は真山先生に抱きしめられた事が忘れられずにいたせいか、しばらく屋上に立ち尽くしてしまった。

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