真山恭一郎との秘密の恋

月猫

第1話 真山恭一郎との出会い

 私の名前は佐々木結衣。藤城学園に入学して間もない1年生。本格的に授業が始まって、ある程度の授業には着いていけるけど数学だけは苦手・・・。それによりによって数学担当の先生は、校内でも厳しい事で有名な真山恭一郎先生だから寝る訳にもいかないし補習対象にもなりたくない。でも、取り敢えずやる事はやらないといけないな。しかし、最初の授業後にいきなり呼び出されて講師室に行ったらあんなことを言われるとは・・・。

「俺がお前だけの特別な存在になってやる。」

あの言葉の意味が正直未だに理解出来ない。


「ではここの問題を佐々木さん、解いてくれますか?」

「え!?あ、はい。」

あーあ。また指名された。ていうかこの問題、難しいから未だに解けないのに。

「・・・佐々木さん。もしかして解けないのですか?」

「はい。すみません・・・。」

大人しく自分の席に戻ると、隣の席の茜が優しく励ましてくれた。茜は私の最初の友達で、よく一緒に活動している親友である。すると、目の前から真山先生がやってきてそっと私の机に小さな紙きれを残した。(放課後、講師室に来い。)


 放課後、茜との約束を断って講師室に向かうと丁度タイミングよく真山先生が迎えてくれた。

「おや、佐々木さんではないですか。講師室に来るとは誰かに用でもあるのですか?」

「えっと、真山先生に用があってきました。」

すると彼はそっと耳元で「わかっている。さっさと中に入れ。」と言い、私の腕を引っ張った。

「遅かったじゃないか。何か用事でもあったのか?」

「いえ、別に特に何も無かったです。ところで真山先生はどうして私を呼び出したんですか?」

「お前、今日の俺の授業で問題が解けなかっただろう?だから俺なりの補習をしてやろうと思ってな。」

「補習ですか!?」

「嫌なら帰ってもいいが、その代わりあの時に言った言葉は無しになるぞ?」

「あの時って・・・ていうか、あの言葉の意味は何ですか?どういう意味なのか理解が出来ていなくて。」

「それくらい自分で考えろ。俺はもう心の準備や覚悟は出来ているからな。」

こうして、真山先生とつきっきりの補習が始まった。私は必至で説明を聞き、どうにか方程式が解けるようになった頃には夜になっていた。

「もうこんな時間か。今日はこのくらいにして、帰宅するか。俺が送って行ってやるから、さっさと支度を済ませろ。講師室を出たら、お前は先に玄関を出て俺が車で迎えに行くまで校門前で待っていろ。」

「わかりました。すぐに支度します!」

真山先生の車で帰るなんて初めてだけど、色んな意味で大丈夫なのかと私は心配になったが今はとにかく家に帰る事を考える事にした。


 数分後、真山先生の車が校門前に来ると窓を開けるなり「人目に付いたら厄介だから早くしろ。」と軽く怒られたので、すぐに助手席に乗る事になった。

「すみません、よろしくお願いします・・・。」

「ああ。・・・そうだ、これでも飲むか?俺がたまに飲んでいて気に入っている缶コーヒーだが。」

「良いんですか?いただきます。」

「お前はコーヒーが飲めるのか。感心した。」

「一応幼い頃に母から何でも飲めるようにと躾けられていたので、一通りの物は飲めますね。女子でコーヒー飲める人って、私のクラスではあまりいないみたいなので珍しいとよく言われます。」

「そうか。まあ、苦いコーヒー等もあるから苦手な女子が多いんだろうな。」

「あ、そういえば私真山先生の事についてまだ知らない事が多いのでちょっとだけでも知りたいのですが・・・。」

すると真山先生は急に車を停めて私の方をじっと見つめるなりこう言った。

「ほう?お前には普段の俺とお前だけにしか見せない俺を見せているはずだが?それでもまだ分からないか?」

「はい・・・。」

「・・・まあ良い。そのうち段々と俺がどういう人なのかを教えてやるから、覚悟しておけよ?」

「はい!」

そして、真山先生と私の物語が始まったのであった。

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