6
──夢を見ていた。
あたり一面カラスの濡れ羽色の、ひどく悲しい夢だった。
まだ純黒になりきれていない、緑や紫がうすく混ざり合った紛い物の黒。
──夢を観ていた。
聞こえるのは、皮肉にもカラスの聲。
そして、時折聞こえる車の流れる音。
──夢を視ていた。
山奥で形骸を晒した〝それ〟を、誰かが運んでいる。
彼女を囲うようにカラスが舞い、濁った聲で何度も威嚇する。
──彼は看ていた。
声にならない聲で、何度も、何度も──
届かないと知りつつ、その儚く白い命の成れの果てに──。
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