第2-4話

 あきらは頬を手の甲でぬぐい、天井を見上げた。銃声は既に止んでいる。


 再び静寂せいじゃく


 辺りには硝煙しょうえんの匂いが漂っている。


 吐き出す息と共に緊張を解きかけた意識の端をでるように通り過ぎた異様な気配に、あきらは身体を硬直させた。


「なっ、なんだ?」


「こちらはなんとかしますから、後を追って下さい」


 みつるも気が付いたのか、早口で叫んだ。


「わ、分かった。気を付けろよ」


 金縛りが解けたように、固まっていた身体が動き出す。


 あきらは身を隠していた柱から左の通路に飛び込むと、直前に通路の奥を横切った黒い影を追って走り出した。

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