第1-4話

「そだ。地下に眠る、その……、未確認生物みたいなのが突然目覚めたのが原因とか、ありえそうじゃない?」


「ゴジラとか?」


「そうそう、そんな感じの」


「お前……、バカだろ」


「むっ、バカなんて言う方がバカなんだからね」


 再び車内が騒然そうぜんとしてくる。話がれまくったまま目的地に着きそうな雰囲気だ。


「そうですね……」


 二人のやり取りを黙って聞いていたみつるが突然つぶやいた。


「なっ、なにがそうですなんだ?」


「私バカ?」


「調査室が懸念けねんしているのは、陥没の中心地と莫耶の地下施設のあった場所が一致しているということです」


「ああ、だからすぐに調査室が動いたんだよな」


「まだ新しい建物なので、老朽化していたというのは考え難いですね。欠陥などで耐震性に問題があったということは考えられますが」


「みつるさんは事故だと思っているの?」


 みつるは、ハイとも、イイエとも取れるような笑顔を返した。


「一姫さんの発想は面白いですね。私には思い付くこともできませんでした」


「いや、だからなにが?」


 あきらは照れている一姫を無視してたずねた。


「私達の知らない、がいたのかもしれません」

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