第1-5話
「二十年前の断食については、総一郎氏の助力を得て行ったことで、私の力ではありませんよ」
小掾は苦笑しながら答えた。
「実は今日お訪ねしたのは、紀子さんにお会いしたかったからなのです」
みつるは少し言い難そうに
「孫の紀子か? なるほど……。はるなが三才の頃には
小掾は少し驚いた表情をした後、目を細めた。
「紀子なら
「ありがとうございます。では公園へ行くその前に、お参りをさせて頂いてもよろしいでしょうか?」
「おお、秀樹君も喜ぶだろう」
小掾は社の封を解き、扉を開いた。
社の祭壇の中央に祭られている
あきらとみつるは神鏡の前に進むと、頭を下げた。
これが霊気というのだろうか。
神鏡の中に人影が映っていた。不思議と怖さはない。
しばらく見ていると、それは音もなく消えていった。
最後にお辞儀をしたようにも見えたけれど、気のせいだったかもしれない。
「なんだか、急に寒くなったな……」
あきらは呟き、もう一度頭を下げた。
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