第1-4話
「莫耶? ああ、
宮司は
「総一郎?」
誰のことか分からず、あきらはみつるに小声で尋ねた。
「社長のことですよ」
みつるは苦笑しながら耳打ちする。
「それはもう元気過ぎるくらいだな」
つい
「それは良かった」
宮司は大声で笑い出した。
みつるもくすくすと笑っている。
その二人の様子にあきらもつられて笑い出す。
「渋谷駅の事故は、ただの事故ではないと莫耶は考えているわけですな」
「まだ調査中ですが、私はそう考えています」
「運転士の過失が事故の原因である、というのが現在の警察の
宮司は
「いえ、それはありえません」
みつるはきっぱりと否定した。
「ありえない……、か」
少し間を空け、表情を崩した。
「挨拶がまだでしたな。耳神神社宮司
「莫耶エネルギー研究所、環境問題対策室の白館みつるです」
「同じく、出利葉あきらです」
みつるとあきらは改まってお辞儀をする。
「二十年前、総一郎氏には娘のはるなのことで大変お世話になった。お二方も遠方からわざわざお越しいただき、できるなら力になりたいが……、私もはるなにも当時の力はもうなくてな。申し訳ない」
小掾はそう言って頭を下げた。
「頭をお上げになって下さい。はるなさんは昔、不思議な力をお持ちだったと聞いています。耳が御不自由だったそうですが、小掾さんが行った
研究所の資料で得たのだろう。みつるが過去の出来事について
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