第2-1話
「もう少し時間が欲しいよなぁ」
「確かに三十分では少々厳しいですね」
その隣を歩いている
「うちの新しいボスはケチだからなぁ。金も出さんが時間もくれん」
あきらは
言い方がどこか変だっただろうか?
なんとなく顔が赤くなっているような気がしたので、みつるから視線を
「まずい! 何時の間にか昼休みが終わっているぞ」
「今日はいつもより少し混んでいましたから、時間がかかってしまいましたね」
「まぁ……、今更
あきらは少し
「ですね」
みつるが
「なんだ?」
「なんでしょう?」
二人は同時に振り返った。
坂の上の方から聞こえる人々の叫ぶ声が段々と大きくなる。
あきらは音のする方へと注意を向けながら、迫りくる圧力とは異質な気配を感じとっていた。
その中で一つだけ違うベクトルが混ざっているような、そんな違和感。だけどそれはとても
なにかに
あきらとみつる、どちらに向けられているのか。それとも両方なのか。
あきらは手を軽く握り身構えると、横にいるみつるを視界の
いつもと変わらないその表情からは、なにを考えているのか全く判らない。
坂の上、空と地を分ける境界の向こうに、それは姿を現した。
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