第3話 明けまして
「いやはやオヒサシ!
MCバランでございますー!
本日のバトルは以前とは少し違いましてね、箱がグレードアップしておりますー!」
いいから早く説明しろ。
「題して、おせち争奪ランキングバトルーパフパフー!」
そういう事だ、あいつ勿体ぶるから俺が説明する。
俺達重箱の中のいわゆるおせち達には事前にランキングされた数字が付いている。上の数字の者と争う事でランキングは向上し高みへと昇る。
「ちなみに俺かまぼこは6位、意外に高くて驚いた。」
てことは5位の奴をどうにかして上がっていく訳だが5位はいきなりローストビーフ、強敵が過ぎる。
「魚のすり身にゃ荷が重い」
「おい、お前が6位か?」「.....」
だからといって立ち止まっていても下位の奴等が攻めて来る。
一応下位のラインナップは
海老、昆布巻き、ぶり、筑前煮の順だ
「海老に優っているのが本気で分からん。」
正直上位には余り興味が無い。
かまぼこが一位の重箱なんてどうかしてるからな、だからと最下位ならば完全に譲った形になる。
「6位が丁度いいんだよなぁ..」
「ゴチャゴチャ言ってんなよ!?」
「うおっ、向上心あるなぁ。」
結構物理的にハサミで狙ってくんだな
なんでコイツより上なんだ俺。
「なんで、お前より下なんだっ!」
あやっぱそう思うか、だよな。
「ふーん..」
かくいう俺はこれといって武器が無いからなぁ、どうしたもんか。
「どうやって切り抜ければいいのか」
「ふん、ふんっ!」「うん?」
なんだこのエビ、さっきからハサミ振り回して..全然当たってないけども。
「なんで当たらねぇ!?
確実に入ってる筈なのにっ!」
ん、なんだかおかしいな。
入ってるのに当たらない...ほう。
「俺の武器はこれか!」
目立たな過ぎてスカされちゃうっていう、普通だったら腹立つんだろうが..
「なぁんか納得しちまうなー。」
「ナメんじゃねぇぞ!」
いや、舐められてんのはこっちでさ。
「でもこれ..当たんないし避けれるけど、決定打が無いのな」
俺もでっかいハサミとか欲しいなー。
「ハサミでビーフって切れるかな?」
「斬れるに決まってんだろが!」
「あ、聞こえてた?」
じゃあ5位のとこ行ってくんないかな
「もうちょい行きゃビーフいるけど」
「..え、マジで?」「うんマジで」
「あ...そうなんだ。」「うん」
何だ、興味あるんじゃん。
「さぁておせちランキング今だ変動無し、これは強さの順なのか?
それとも見た目の人気の順なのか⁉︎」
「よく喋る奴だ」
「お前が喋らな過ぎるんだろ。」
「言葉を発す必要が何処にある?」
「また始まったよ、説法か?
お前一応1位なんだぞ。」
「一応では無い、紛れも無い1位だ」
「現在もトップは栗きんとん!
次いで黒豆、この牙城はやはり崩せないのか!」
「本当によく喋るな」
「お前もしゃべれよ、コンビニの和菓子ランキングでも確か取った事あったろ1位。」
「確かではない、確実なトップだ」
「ここだけはちゃんと言うないつも」
「こんちは先輩!」
「..なんだコイツ?」
エビがどっか行ったと思ったらこんどまた変な魚類に掴まったよ。
「自分ブリっていいます!」
「ブリ?あ、ブリなんだ。
切り身じゃ全然わからんわ」
「そうですよね、わかってます!
自分まだまだ力不足です!」
「そこまで言ってないけどさ」
熱いなー、めんどくさいなぁ。
下の人は熱い人多いのかもな、エビもまぁまぁそうだったし。
「上の人は気付いてたらなってたみたいな人が多そうだもんなぁ」
6位だけなのかなこんな感じなの。
「自分憧れの人がいるんですよ!」
「まぁ知らないけど。」
「数の子さんって言うんですけど!」
「だから知らないって。」
数の子って確か上の方の人だよな、やっぱ向上心高ぇんだな〜。
「頑張ればいいんじゃない?」
「アナタ誰ですか!」 「はい?」
「憧れの人、いるんでしょ!?」
「あぁ..俺のって事ね。」
なんでいると思ったんだろうなぁ、そうなんだよな。熱い奴って他の奴の熱量知らないんだよ、そうなんだよ。
「でもやっぱ数の子いいよねー」
話合わせとこう取り敢えず。
「..さんな?」「えっ?」
「数の子〝さん〟だから!」
意思が強い!
自我を持って深めにリスペクトしてる
面倒なタイプの支持者だコレ。
「だよね、目上の人だし。あっはは」
「笑い事じゃないから、ホントに!」
うるせぇよ!
いいよ、そういう強めのやつ!
皆がそうじゃないからねホントに!
「もう知らないわ、一人で探しに行くから。改めた方がいいよそういうの、自分だったから良かったけど他の人だったらどう思うかわからないよ?」
うるせぇなぁ〜コイツ、なんだコイツ
「面倒な奴はみんな上を目指せよ、そうすればやる事なくなるから」
適当にボケっとしてれば終わるでしょ
「エビ、ブリ、他にもゾロゾロー!
上位者の潜む高台の城へと動いた!」
「へー、城になってんだ。」
偉っそうだねーまた。
「おい、玉子もどき勝負だ!」
「誰で御座るか?」
「名前も知らないのか!
おれは昆布巻き、似過ぎなんだよ!」
「言い掛かりで御座ろう。」
「昆布巻きに喧嘩を売られるのは伊達巻の旦那!」
これまでも幾人もの猛者が拙者に挑んで来た、その度に戦う理由を聞いて来たがこの者は..
「その中の誰よりも下らん。」
「あ?」 「
錆となれ、言い掛かる者よ。
「あっーも昆布巻きダウン!
首位獲得ならず、伊達巻の勝利ー!」
「伊達巻が勝ったか。」
「みたいですね!」「君はなんだ?」
「自分ブリです
アナタに憧れてます!」
「..戦いに来た訳ではないのか?」
「はい、逢いに来ました!」
「そうかならば、戦うか..!」
「いやいいです!
どうせ勝てないんで、また来ますね」
「..あぁ。」
そういうと彼は即座に去っていった。
「なんだったのだ?」
「一階に着いたのはなんと10位!
筑前煮だー!」
「10位〜?
最下層が俺たちに何の様だ」
「決まってるだろオラと勝負だ!」
「甘味対決か、悪いが自然の甘みには負けんぞ?」
言葉通りに栗きんとんは格別に強く、黒豆が参戦する間もなく筑前煮を下した。
「筑前煮ダーウン!
上位組には誰も敵わず、ランキングの変動は無し!」
「変わらないんだ、へーいわ!」
「くそっ、アイツ強いな..」
「あれエビだ、あいつも駄目だったんだ。」
結局元のまんまじゃん、やっぱ統計ってつよいのな〜。
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