第2話 冬の決戦

「ウィンターデイ!

皆さんいかがお過ごしでしょうか?

ワタクシ、このバトルを取り仕切る、

名はMCオタマ!」

この季節がやってきたか、地元のスーパーでくすぶり続けたオレは遂に人に食される、それも最高の状態でな!


「今回のステージはすき焼き!

鍋に入ってパーリーしようねぇ!」

スペースは大体決まってる。

争うのはそこじゃない、位置だ!

「皆さんには鍋の中が温まるまで、自分の陣地を守ってもらうよ!」

メインの位置は譲らない、すき焼きの主役は肉って決まってんだ!

「最終的に立ってた場所が自分の位置になるからねー。それでは参戦するファイターの発表だ!」


「まずはすき焼きといえばこの方!

ギュウニク!!」

「やってやるからな。」


「穏やか反発野郎!

焼き豆腐(木綿)!!」

「お手柔らかに。」


「優しく目立たず汁を吸う!

しらたき&糸コン!」

「目立たないって言うなー!」「ふ」


「アシストオブリカバリー、ネギ!」

「がんばるぞ!」


「最後はこの方、ベジタリアン推し!

ハクサイ!!」

「ヘルシーは人生を豊かにするわ」

ハクサイ、厄介な奴が出てきたな..。


「制限時間は約10分、その間存分に争い位置を確保すると良い!」

少し少ない気がするが充分だ。

メイン位置は貰った!

「それではいくよ?

レディーイ..ウィンターッ!!」


始まったか、取り敢えずは中心の位置に移動して敵になりそうな奴を..

「何処を見ている?」「なっ」

白く四角いボディ..焼き豆腐か!

「初っ端がお前か?

穏やかだって聞いてたけどな!」

「穏やかですよ、静かに狙っていますメインを気取るお調子者をねぇっ‼︎」

身体全体でプレス攻撃か?

豆腐といえど痛そうだ、くそ!

「何処に逃げるんです?

他の果てまで追いかけますよっ!」


「お前こそどこいくんだよ!」「ふ」

「何?」「おぉっと..」

しらたきーズだな、しっかり捕まって

足元掬われたのそっちだった訳だ。

「まぁあれじゃ足首だけどな」

先行くぜ。

「離せ!足にこんにゃくを巻くな!

お前も肉が邪魔だろう、手を組むか」

「肉はいらねぇ!

隣にいたら硬くなるし、主役に興味無いんだよね。」

「ふ」

「結局は脇役根性、なら何故私だ?」

「お前キャラが被ってんだよ」「ふ」


敵が衝突してくれて助かった、これで際立った刺客は消えた。

「何か処に行くつもりかな?」「あ?」

ネギか、簡単じゃねぇが一体一ならなんとかなる。

「一体一じゃなくってよ?」

「...ハクサイ。」

鍋の支配者、ベジタリアンキラー!

「心でも読めんのかお前は。」

「貴方が単純なんでしょう..?」

ムカツク、腹が立つぜ!

「退がんな、先に進むんだよ。」

「馬鹿なのかしら?

それをさせない為の私達なのだけど」


「バチバチの展開だー!

豆腐は地味な兄弟とヘルシー対決、ニクとハクサイはメインを争おうとしている!!」

「煽りやがる、やるしかねぇのか!」

「そうで御座いますわね、ネギ?」

「はいよ!」「うおっなんだ!?」

ねっとりした..ネギのとろみか!

「これでお前の力は半減、カロリーも減少だねぇ!」

「くっ、余計な事を..!」

「スープに絡んで最高じゃないか、さぁそこをどきな!」

純粋なまでに野蛮、これが野菜の王。

「おおっとハクサイ飛び上がるー!

このまま掴抱ホールドかぁ!?」

腹を割って潰す奴か!

ダイコンが前にやられてた奴だ。


「いけいけー!」

「こんなズルズルの腕じゃ叩くに叩けねぇ..どうしたもんか。」

「貰ったよ、オニクさん!?」


『ビィー!』

「何だ?」 「..邪魔者が来たね。」

「はーい、ゴメンね!

ここで追加のファイターが参戦だ!」

「追加ファイター?」「まだいんの」

具が少ないと思ってたがそういう事か

「面倒な奴はごめんだぜ」


「追加ファイターはこいつらだ!

まずは一つ目!」

「うおっ..あ〜、痛っ...え?」

「彩りモンスーン、しいたけ!」

「どもっス。」

しいたけ?

今頃か、入れ忘れたのか。

「お前だけか?」

「..さぁ、呼ばれたから来たんス」

軽い奴だな..。

「そして今回の変わり種..いでよ!」

流石にこれで終わりじゃなかった。

この後に、とんでもない奴が続いてた


「ウゥゥゥ〜...」「何ですアレは?」

赤い肌に逆立つ毛、怒りたってるのが直ぐにわかる。

「緊急参戦、猛り湧くキムチ!!」

「ウオォォォッー!!」

「何なんだいこいつは?」

「見てください、汁がっ!」

和風で濃い茶色だったのが、赤く滲んでやがる。

「キムチの浸食か..」

「浸食だって?」

「マズいッス、このままじゃみんなアイツの色にっ!」

「誰かが面白がって入れたんだ、そうに違いないよね!?」

「………!」

「どうする緊急事態、平穏な争いに落とされた癌を誰が取り除く!!」


「MC!」

「その声さハクサイ、ど〜した!?」

衝立ついたてを用意しな!」

「何を!」

「もしかして、ハクサイさん‼︎」

衝立板を敷居としてキムチを堰き止めるつもりか。

「さっさとしなよオタマ!」

「..了解した、今準備する!!」

「ハクサイさん!」

「ふっ、ネギ頼んだよ。

王様の脇を固めるのはアンタだ」

「そんな、そんな事っ!」

「ネギ..」「なんですかっ!?」

とろみまみれの腕で掴まないでよ...!

「大変そうっスね。

付き合いきれないんで、しらたき辺りと戯れて来るっス!」


「グウオァァァッー!!」

「来なよ異文化、一つになろうじゃないか!」

「MCさんよ、掴んで飛んだら衝立だいいな?」

「オウケイわかったよっ〜?」

「王様やるね..礼は言わないよ。」

「期待してねぇよ」「そうかい..」


「だったらいいケドね!」「ウガ!」

掴抱ホールド‼︎」

「今だソレソレソレ〜ィ!」

「グ、アァァァッ!!」「暴れるな」

白菜は殆どを吸収し、随分と小さく規模を留めた。何が行われてるかはわからねぇが、出てきた怪物の住処は見積もって三分の一ってとこだ。

『ビィー!!』

「おっと、タイムアップ〜!」

それから数分後時間は止まり、鍋は充分に温められた。

「くっ付くなって、離れろ。」

「嫌だよ、ハクサイさんと約束したんだ。..お前を守るって。」

「そうかよ」

「くっ、結局ニクに及ばずか。

だいたいお前は何だ、突然割り込んできて!」

「え、オレっスか?

しいたけっス、聞いた事ないスか?」

「まぁこれでキャラ被り無し」「ふ」


「さぁ結果の発表だ!」

中心ポイント ギュウニク

隣合うバディ ネギ

中心向かって正面 焼き豆腐

隣りしいたけ 挟んでしらたき糸コン


サイドストーリー キムチ鍋

「できたよ〜?」

「ホントだ、いただきます。」

囲め、食卓を。


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