ドラゴンさんの子育て日記㉙

新聖歴892年 新月の一日


 年が明けた。ルグネは四歳になった。ルグネを拾ってもうそんなになるかと驚いてしまった。ルグネも少しずつ大きくなっている。ラビノアとシノウールも大きくなって、我、子の成長を見るのがとても嬉しく思う。我、こんな風に子たちの成長を見ることを嬉しく思うなんて本当にルグネを拾うまで想像さえできなかったなと思った。

 今年も、村の新年のお祝いに参加させてもらった。我、常連。村の皆と仲良くできて我、嬉しい。母君や父君とかも増えているけれど受け入れてくれていて我嬉しい。村の子供たちとルグネや子竜たちは仲良しである。うむ、我は人の友人は一人だけだったからの。幼い頃から人とかかわっている子竜たちはどんなふうな将来の道を歩んでいくのか、我、楽しみ。

 あと像がめっちゃできてる。全員分の像が出来ていて凄いと我思った。こんだけ精密な像を作れるなんてと。カメラを今年は持っているから新年の様子をぱしゃぱしゃした。カメラ、高価なものだから村にはないのだということで、村の子供たちがカメラを貸してほしいといっていたので貸したら色々とってくれた。うむ、楽しそうである。

 我、我が子たちが一番可愛いが、村の子たちも第二の我が子のようなもので、我にとって可愛い子たちなのだ。我が子たちと仲良くしてくれているからの。皆でお祝いするの、凄く楽しいのである。


 新聖歴892年 新月の四日


 今年も村での年明けは楽しかった。村で撮った写真を見ながら、とても楽しい気分になった。カメラ楽しいのである。でもカメラに夢中になっていたら、ラオに「俺にも構え」と拗ねられた。そんなことで拗ねなくてもいいのにと思うのだが、愛いのでいいとしよう。


 新聖歴892年 新月の六日


 ラビノアとシノウールが魔法を本格的に習いたいといっていた。そのことで思ったのだが、来年になったらルグネが魔力検査をするのだから来年まとめて子たちにもっと魔法を教えられないかと思った。その話をラビノアとシノウールにしたら、「兄さんと一緒がいい」と可愛いことを二匹ともいっていた。愛い。思わず抱きしめてしまったらちょっと嫌そうな顔をされた。


 新聖歴892年 新月の八日


 ライラからの手紙が届いた。ライラが元気そうで、我、本当に嬉しい。文通は以外に楽しいのである。今は亡き人間の友人とは、友人が亡くなるまで手紙のやり取りだけはしていた。友人が亡くなってから、人間と文通をするとか考えていなかったのだがの。こんなに文通が楽しみになるとか思っていなかったのぉ。


 新聖歴892年 新月の十一日


 母君と父君が子たちの面倒を見てくれているので、ミカガネも出かけるといっていた。人手があると、子育てが楽である。我とラオも二人で出かけた。


 新聖歴892年 新月の十六日


 ルグネが自分が他の皆とは違うってつぶやいていた。人間と竜で違うことを子供ながらに理解しているのだろう。我らは竜という生き物で、ルグネは人間なのであるということは告げた。そしたら理解出来ているのかできていないのか分からないが、不安そうにしていたからぎゅっと、ルグネを抱きしめた。不安なんてしなくて、いいのだぞと。そんな意味を込めて。


 新聖歴892年 新月の十八日


 ミカガネにルグネに竜と人間の違いを言うのが早すぎるとちょっと怒られた。まだルグネは小さいのだからと。我、ちょっと失敗してしまった。ルグネをぎゅってとりあえずずっとする。


 新聖歴892年 新月の二十日


 家族会議をする。ルグネを不安にさせてしまったことを、我はしょんぼりした。ラビノアとシノウールにも、「母さんはもう少し考えて言葉をいうべき」と怒られた。怒られた我はラオに慰められた。シノウールがやれやれって顔をしていた。

 ルグネには、とりあえず、竜と人が違っても我の大事な子であるというのを伝えていこう計画になった。とりあえずルグネのことが大好きだぞと皆で伝えるのである。



 新聖歴892年 新月の二十二日


 愛い愛い、好き好き、とルグネをぎゅっとしていた我。全身でルグネのことが大好きなのだと伝えていたら、ルグネが笑ってくれた。ルグネに大好きって言われた。愛い。愛いのである!!


 新聖歴892年 新月の二十五日


 ルグネは我にとって大事な子であるからなーというのを伝えまくって、他の皆も同じことをして、ルグネの不安はなくなったみたいで良かった。

 我はもう少し考えて口に出すようにしなければならないの、と反省した。


 新聖歴892年 新月の二十八日


 来年の計画を立てなければならないという話を、もうしている。なぜなら、来年はようやくルグネの魔力の有無が把握できるのだからな。我は、ルグネと一緒に空の散歩でもしたいから、魔力があったらいいのだけどなと思った。まぁ、魔力があろうがなかろうが、我にとってルグネは可愛い息子だがの。

 魔力があった場合は、魔法を思いっきり教えて、なかった場合は、ルグネを守るための術を考えなければならぬからな。

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