ドラゴンさんの子育て日記⑩
新聖歴889年 摩月の一日
きんきらきんはまだいる。
ライラが大好きでたまらないらしい。ライラは優しくて、可愛いからの。求愛されるのは理解できる。
新聖歴889年 摩月の三日
きんきらきんが我の棲家を見てみたいとか言い出したらしい。
でも我が妊娠している時にそんなのにおられると困るから断った。我に子がおるときいてきんきらきんは興味深そうだったらしい。
新聖駅889年 摩月の五日
人型になり、ルグネを抱っこしながらこのおなかに妹か弟がおるのじゃぞ?と語りかける。
ルグネも兄になるのだなと思うとなんだか感慨深い。
それにしてもルグネを拾ってまだ一年も経過していないというのに、ルグネへ我がここまで愛情を感じるとは思わなかった。
新聖歴889年 摩月の十日
ルグネが立ちあがって動き出しておる。本当に落下とかせんように言い聞かせんと。あとよく見ているようにしなければ。
友人からの手紙でも赤子は何をするかわからんと書いてあったし。
新聖歴889年 摩月の十二日
きんきらきんが帰っていった。ライラにまた告白して帰ったらしい。それでライラもそれを受け入れたそうだ。
ライラを泣かせたらどうしてくれようかの?
新聖歴889年 摩月の十五日
赤子の名前を相変わらず悩む。生まれるのはまだ先であるが、それでもどうするべきか悩む。
名というものは、その生物をあらわす重要な記号の一種であるのだ。きちんとした名前を付けてやりたいのである。
しかし雄と雌だと名も違う風になるわけで、どのような名前が良いだろうか。
ルグネの名を考える時も悩んだが……。
我の名からもってくるのも良いがと、悩んでしまう。
新聖歴889年 摩月の十七日
ルグネはドラグネスと我の名から取ったわけだが、次に生まれる子は我とラオからとってもいいの。
子に親の名前から名をつけるというのはよくあることであるしの。
新聖歴889年 摩月の二十日
今日気づいたが、おなかの中で大きくなっている卵が二個あるようだ。
双子というやつである。ドラゴンで双子とかあまりないのだが、珍しい。こうなれば名前をもう一つ考えておかねばならぬし。
一つでもどのようにすべきか悩んでおったというのに、どうしようか。
ルグネにもどの名が良いかの?と聞いてみるがわかってないルグネはなにー?と首をかしげておって愛い奴であった。流石我の息子である。
新聖歴889年 摩月の二十二日
ラオとライラと我で会議をした。もちろん、我の子の名前についてである。
ラオと我の名を使ってはどうかという意見に対してはラオは「それいい!」と喜んでおった。うむ、キラキラした目で我を見ておって愛い奴である。
ラオウールとシルビアからどうとるべきであるか?
ラア、オルとかが愛称になる名前とかだろうか?
やはり将来子が番った時の事も考えて愛称が考えやすい名が良いだろうかと会議をしたが結局決まらなかった。
名づけとは難しいものである。
新聖歴889年 摩月の三十日
今月もまた終わる。
名はまだ決まらない。はやく決めたいのだが。あと三か月ほどで子は外には出る。それから一月は卵から生まれないから四か月の猶予はあるが、どうするか本当に悩むのである。
新聖歴889年 宵月の二日
子が宿って四か月が経過したこともあって、日に日に卵の存在感が大きくなっておる。
名をどうするべきかの。
新聖歴889年 宵月の五日
ルグネが竜体の我の身体によじ登ろうとして落ちた。ちょっとびっくりした。幸い怪我はなかったが、ルグネが泣いておった。
ルグネに怪我がなくて我は安心した。
新聖歴889年 宵月の十日
まだ先だがラオが卵を温めるための場所を一生懸命作っておる。
二つも卵をおかなければならぬから大きめにである。ルグネがその様子を面白そうに見ておる。材料に手を伸ばして怒られていた。
新聖歴889年 宵月の十二日
ライラに竜の赤子もすぐに人の姿になれるのか聞かれた。
だから魔力を操れるようになるまで出来ないと答えたらそうですかとちょっとがっかりしておった。
なんでか聞いたら我の子のために服とかを作れないかと思っておったらしい。
新聖歴889年 宵月の十四日
竜体で丸まりながら、どんな子が生まれるのだろうかと考えた。
我、結構子が生まれる事にわくわくしておるらしい。双子が生まれるのなら性別はどうであろうか。雄二体?雌二体?それとも一体ずつであるか。
しかし一体でも大変だと聞いたことがあるが、二体か。大変かもしれぬと思った。
新聖歴889年 宵月の十六日
ルグネが愛い。ラオも愛い。
愛いものが二つあると良いのと考えておった。
これに二体愛いものが増えるのか。
考えたら楽園な気がした。
新聖歴889年 宵月の二十二日
よく考えればルグネを拾ったのが今日であった。もう一年も経つのかと感慨深い気持ちになった。
我がルグネを拾ったのは興味本位からで、深い意味はなかった。それでも拾ったからこそ今の生活があるのである。
ルグネをここまで愛い存在と思うとも我は思わなかった。
ライラを連れてきたのもルグネを育てるうえでわからないことが沢山あったからというだけで、特に深い意味もなかった。
だというのに、今は我はライラの事を本当に大切に考えておる。
あとラオについても正直ラオと番おうと思うなど考えておらんかったし、ライラに言われるのまで我がラオを好いて居るとか気づかなかったし。
色々な変化があったが、我は今幸せなのでよしとしよう。
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