ドラゴンさんの子育て日記⑧
新聖歴889年 威月の一日
子が出来た事に我は自分でも思っていた以上に興奮するものだった。
なんだろう。むずがゆい?
身体の奥に魔力の塊があるのがわかって、なんか高揚するというか。
新聖歴889年 威月の四日
子が体に宿ったという事で、村でパーティーをしてくれた。正直子が宿ったドラゴンというのは周りに対する警戒心が高くなる。我もラオとライラとルグネと共にいるのは構わぬが、他の人と共にいるのは不安であった。
が、まぁ、ラオもライラもいるしということで村にやってきた。
ただ人型は落ち着かんから、竜体のままであったし、事前報告なしに近づいた奴が居た時には咆哮をあげてしまったが。ルグネがはいはいしておって可愛かった。
新聖歴889年 威月の七日
それにしても改めて我はライラの事も、ルグネの事も家族扱いしているのだなと思った。
子が出来た時は家族以外は警戒してしまうからの。
ルグネにも「兄になるのだぞ」と教えているが、ルグネは流石に意味が分かっていない。まぁ、わかっていたらびっくりだが。
新聖歴889年 威月の十日
我は竜体の方が落ち着くので、ルグネをライラに抱っこしてもらっておった。ルグネがまぁまとこちらに手を伸ばすが、人型にはなりたくない気分の我である。すまぬ。
ライラに子がどれくらいで生まれるか聞かれた。宿ってから半年ほどして卵が外に出てこれる状態になり、それから生まれた卵を温める必要があるためプラスして一月かかると答えた。
できれば竜体のままがいいが、ルグネを抱くためにも四日に一回ぐらいは人型になっておる。
新聖歴889年 威月の十三日
ライラはきんきらきんの事を考えておるのかぽーっとしておる。我にラオの事どう思っているか聞かれた。普通に嫌いではないと答えたらもっと詳しく聞かれた。
交尾をしてもいいぐらいには好いてはいるのだろう。しかしラオ以外に好き好き言われたこともないため、正直他と比べてどうかとか言われても我がわかるはずなかろう。
新聖歴889年 威月の十五日
また問い詰められた。
ラオ以外に告白されていて、番いたくなったらどうするかと。
そんなこと問いかけられても、我の傍におった雄はラオであるし、ラオが真っ先に浮かぶであろう。
ラオに嫌われたらどうかとか聞かれたが、それはそれでさびしいとしか言えぬが、まぁあ奴が我を嫌いになることはありえぬし。
結局の所、それは仮定の話であろう? とルグネを抱きながらいったら溜息を吐かれた。酷い。
新聖歴889年 威月の十六日
「私はシルビア様はラオウール様と同じ気持ちで、ラオウール様の事を好きなように思うのですが」といわれた。
正直、もう番っているわけでそういう気持ちとかどっちでもよくないかと思う我である。あ奴は我を好きで、我は交尾をするぐらいには好いておる。それでいいではないかと。でもダメ言われた。
大事な事らしい。ライラ、告白されて暴走気味である。うぬぅう、あのきんきらきんめ。
新聖歴889年 威月の十八日
色々考えてみたが、我はもしかしたらラオの事をそういう意味で好きなのかもしれぬ。
うむ、びっくりである。まぁ、それがわかったところでどうということはない。
新聖歴889年 威月の二十日
ライラに怒られた。結論をつけたならラオにいってこいと。我とラオは既に番っているのだから、別に言っても言わなくても変わらないではないかと思ったが、怒られたから言いに行くことにした。
ちなみにライラが怒っていたためルグネがなき、ライラは必死に泣き止ませていた。ライラがルグネを泣かせるのは珍しい。
新聖歴889年 威月の二十一日
我は言っても言わなくてもかわりはないと思っていたが、全然違った。ラオが感涙極まっておった。嬉しそうであった。番うのと、気持ちが通じるのとでは違うらしい。
新聖歴889年 威月の二十二日
ラオとライラが話しておった。我の気持ちについて何故我の前で話す?
あとラオ、嬉しいのはわかったから泣くのはやめい。
新聖歴889年 威月の二十三日
というか、我とラオの事はともかく、あのきんきらきんはいいのか?
新聖歴889年 威月の二十四日
きんきらきんの話題を振ったら、ライラがまたぽーっとしていた。
素敵な方だけどといっておったが、少しでも惹かれるなら頷けばよかろうと思う。
新聖歴889年 威月の二十六日
きんきらきんには惹かれているが、きんきらきんとの身分差とかもあるし色々気にしていたらしい。
人というのは面倒である。正直我にはようわからない。
なんか、我よりラオの方が良い相談相手になっている。あやつ、我への片思い歴三百年ぐらいと自分でいっておった。だからライラにアドバイスもできるらしい。
我、のけものはちょっと悲しいが。身分とかもようわからんし、ルグネと遊んでおった。
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