ドラゴンさんの子育て日記⑦
新聖歴889年 流月の四日
交尾をしているが、子は出来ぬ。ライラに言ったら子は授かりものだからって言われた。
新聖歴889年 流月の十二日
ラオと一緒にルグネを構い倒す。
棲家の中に物は少ないが、存在する物について教えていく。
赤子というのは、吸収力が高いのか単語を教えればそれを舌足らずな言葉で発する。
正直に言おう。愛い。
新聖歴889年 流月の十五日
ライラが贈り物をくれた。村には商売をするものが時々訪れるらしく、そこで赤子のおもちゃを買ってくれたらしい。
あと村人一同からですって、一冊の本ももらった。中身はそこまでなく、頭の良い人間が見るような奴ではなく子供向けのものらしい。
なんか、結構本というのはそこそこ貴重なものであるらしい。それをわざわざくれるとは、人とこうして交流を持っていくのも悪くはない。
新聖歴889年 流月の二十日
また村に人がやってきたという。我関係らしい。ライラに村に来ないように言われた。
新聖歴889年 流月の二十一日
この前大人しくかえってくれたのだが、何の用じゃろうか?
人がやってきたと聞いたラオは、「ルビの敵なら殺せばいい」と物騒な事をいっておったが、止めた。
敵は殺せばいいというのは正直同感だが、ライラにおとなしくしているように言われているのである。ラオもライラに怒られるからやめようといったらおとなしくなった。
新聖歴889年 流月の二十二日
ルグネもねぇねー?とライラが居ない事を不思議そうである。
我もさびしい。
新聖歴889年 流月の二十五日
まだ合図は来ない。何の話をしているのだろうか。
新聖歴889年 流月の三十一日
ライラが居ないとさびしいのである。ルグネも寂しそうだ。
ラオもいきたそうにばたばたしておる。我もばたばたしておる。ルグネも真似してぱたぱたしておる。
新聖歴889年 守月の五日
ようやく合図がきたのでラオとルグネと共に村へと向かう。我だけで向かおうかと思ったら、ラオに俺も行くといわれたためだ。ルグネを結界に入れて、二匹で村にとんだ。ラオが勢いよく着地して地震みたいになっておった。もっと考えて着地をせい。
なんかきんきらきんな服装をした人とかおった。ライラが話しておる。こちらを指さしている。ライラが困った顔しておった。ラオ、それに対して咆哮をあげてもれなく人はぶるぶる震えておった。
ライラを困らせる奴なんぞ震えておくのがちょうどよい。そう考えていたのだが、ライラに何をやっているんですかと怒られた。
なんか難しい話をしておったが、我には正直理解出来ない。我、頭よくないのである。
新聖歴889年 守月の六日
なんかライラが我を従えているとか、そういう噂があったらしい。何でもこの国では竜騎士という職業があるらしく、女性の竜騎士の誕生になるのではないかとかなんか。
竜騎士の、そういうのがいるらしいとは聞いたことがあるが正直かわれておる竜というのは下位の竜がほとんどであるし、飼われる気持ちはわからん。
というか、騎士は戦う職業であろう? ライラに戦わせるなんて許さぬぞと我も咆哮を上げた。
ラオも同じようにやったら、二人してライラに怒られた。
新聖歴889年 守月の十日
きんきらきんは貴族らしい。そして我らと仲良く暮らしているライラに興味津々のようだ。
ライラの夢はお嫁さんになることじゃからの。竜騎士なんていう危ない事をやらせるなら殺そうと思ったが、そういう考えではないらしいからよしとしよう。
新聖歴889年 守月の十四日
きんきらきんはいつまでいるのじゃ?
なんかライラをちらちら見ておるが。村の人間たちが落ち着かない様子であるのだから帰れ。
きんきらきんがいるとライラも困っておる。棲家に向かってのんびりと暮らしたいのだが。
新聖歴889年 守月の十五日
ライラを連れて行きたいのにきんきらきんが帰らない。我とラオはきんきらきんがライラに変な事をしないように睨んでおる。
ライラに怒られた。
我とラオで落ち込んでいたが、ルグネを見ると笑顔になった。
新聖歴889年 守月の二十日
ようやくきんきらきんが帰るらしい。
が、このきんきらきん最後にやらかした。
きんきらきん、ライラに告白した。ライラが迷惑そうなら殺そうかと思ったが、ライラは困っていても嫌なわけではないみたいなので、我とラオは手を出さない。
新聖歴889年 守月の二十一日
きんきらきんが帰ったので、棲家でのんびり過ごす。
ライラが告白されたからかぽーっとしておる。ルグネがその周りできゃっきゃっと笑う。
新聖歴889年 守月の二十五日
しかし人というものは告白=求婚ではないのだなと思った。我らドラゴンの場合、人のように付き合うと結婚と別れておらぬ。男女の関係など番うか番わないかだけである。
人のそういう付き合う、結婚というのはややこしい。
新聖歴889年 守月の二十九日
交尾をしていた努力が実って、子が出来た。
おなかの内に、それが宿ったのがわかる。
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