第2話金を抱えてどこへ行く
来てしまった。望まぬ異世界へ来てしまった。とりあえず今の状態を把握しなければなるまい。所持品は剣のみ。装備品はTシャツとスカート。魔王軍残党がうろうろしているらしい世界での適切な外出服だとは言えない。とりあえず剣を抜いてみる。
「おぉ・・・重いなぁ・・・」
これは振り回せそうにない。もともと運動は苦手だし、剣など握った事がない。せいぜい体育で習った剣道ぐらいである。これは練習しなければいけない。と、ここで私は今危機的状況にあることが分かった。知らぬ土地、使えぬ武器、最悪の治安。これでは一夜こえることすら出来ないのではないだろうか。
「まずいなぁ・・・」
あ、そういえば女神の奴、錬金術がなんだって言ってなかったけ。とりあえずやってみよう。
「金よ、出よ!」
出ない。どうやら違うようだ。ではどうやるのだろうか。
「念じてみるか・・・?」
とりあえず座り、金を想像してみる。重くて、金色で、延べ棒で・・・
すると突然目の前に小さな金の延べ棒が現れた。
「うおっ!?」
これだ!念ずれば出るぞこれ!
頭の中で目の前の金の延べ棒を大きくしていく。風船を膨らませていくようにどんどん大きくしていく。いける、いけるぞ!!!ん?
急な吐き気が私を襲う。なんだこれ。強制的に念が止められ、脂汗が異常なほど出る。少し休もうと顔を錬成した金からそらした瞬間、その場で吐いた。
「・・・はぁはぁ・・・なによこれ・・・」
これは予想していなかったが、この術には反動があるのだろうか。とりあえず金を回収して、小屋を出る。とても臭くていられなかった。外にでると、広大な草原が広がっていた。あまりの広大さと、人気のなさに、人里どころか人家すら見つけることが難しいだろう。
とりあえず座れるところを探す。錬成の反動かひどい疲れに襲われていた。ちょっと先に林が見えた。とりあえずあそこで休もう。この草原は日差しが強すぎる。
少し林に入ると、ちょうどいい大木を見つけた。少しここで休もう。とりあえず金を抱いて横になった。
「・・・るのか?」
ん?人の声?これはまずくないか?もし声の主が警察組織だったら、金塊と剣しか持っていない女を保護してくれるかもしれないが、もしこの場が国境だったら?国境警備隊が金塊と剣しか持たない女を見つけたら?多分殺される。または捕まる。うっかり今起きているらしい冷戦を温めるかもしれない。そう思うとうかうか寝ているわけにはいかない。即座に起き上がり、周囲を確認する。寝すぎたようでどうやら夜のようだ。人影を視認すると同時に、立ち眩みに襲われる。起きた瞬間立ち上がった反動だろう。
「誰!?」
やっべ見つかった。とりあえず逃げるしかない。
「うおっまぶしっ!?」
「見つけた!」
相手はライトかランタンを持っている。くっそ目を潰された。どうする私!
「そのまま動かないで!」
ん?女?クソッ!必殺色仕掛けが使えないじゃないの!どうする私!?そうだ、そうだわ!これしかない!
「くらえ!金の延べ棒アタック!」
全力で持っていた金塊を相手に向けてブン投げる。
「あぐっ!?」
うっしゃ当たった!勝った!異世界初の戦闘で勝ったぞ!アドレナリンに満ちた体は戦闘に勝ったことで歓喜に満ちている。
「やってくれるじゃない!」
あれ、相手生きてる?これまずくないか?やばいぞこれはどうする土下座するか?いやまてこの世界で土下座が通用するのか?土下座ってたしか日本独自の文化じゃなかったっけか?
「たぁあぁぁぁあぁ!」
前から可愛らしい雄叫び。おなかに衝撃が走る。幸い吐いた時以降何も食べていないので吐くことはなかったが、凄まじい痛みが腹に走る。もうなにも考えられない。ただ自分が倒れていくということだけを自覚していた。頭、背中に激痛が走ったのと同時に、意識が途切れた。
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