教会の仕掛け

「ヘイジさんは、この斧に興味がおありで?」


ヘイジ42  古物商 目利き4(鑑定下位互換) 交渉2 

ミネア10  看板娘 接客1 目利き1


古物商という事だが、武器にも明るいのだろうか。


「はい。私は古物商をしていましたが、武器や防具の中古、発掘品なども商っておりました。そして、私が見るところ、その斧は魔鋼鉄の斧ではないかと」

「魔鋼鉄?何ですそれ」

「魔鋼鉄と言うのは、鉄を鍛える際に魔石を加えられた物になります。魔石を加えると切れ味が増し、小さな刃こぼれなら勝手に修復するという優れものですが、一方で、魔石が多すぎれば脆くなる性質があるため、品質の良いものは高値で取引されています」

「おじさん、この斧はちょっと凄いの」

「こ、これミネア、ワタルさんに失礼ですよ」

「えっと…おにいちゃん?」


「惜しい、正解は『格好いいおにいさん』だよ」

「え~ミネア違うと思う」

「み、ミネア、この間接客を教えたでしょう」

「そうだった! 格好いいおにいさん。高く買い取るから、その斧をうちで売ってよ。ミネア頑張ってお仕事して、お父さんに楽をさせてあげたいの。売ってくれたら、将来お嫁さんになってあげても良いかな~」

「うんうん」

「「「「「「「「「……」」」」」」」」」


ヘイジのおっさんだけ、うんうん納得しているけど、ダメだから。一連の流れを見せられたらアウトだよ。


「これは困ったな」

「そうね、ちょっと年が離れすぎているし、ミネアちゃんにはまだ結婚は早いわ」

「そこ!?」


「これが優秀な武器というなら、今は手元に残しておきたいから、売るのは無しで」

「そうですか」

「気が変わったら売りに来てね」


接客を教えたというけど、ヘイジには接客スキル無いんだよな。いったい何を教えたんだろうか。


ヘイジ親子の乱入で脇にそれたが、ここで話は元に戻る。


「え、じゃあ本当に兄さん死んだの」

「死んだな」


今リックは自分の死体の衣服を脱がして、それを順次身に着けている。

リアルに死体から回収するとなると、これは厄介だな。


「では人は皆生き返れるという事か?」


トムスが会話に割り込んでくる。


「いや、自動で生き返れるのは俺だけと聞いた。今回リックが生き返った事には、何らかの条件があって、それを満たしていたからじゃないかな」

「どうなの、兄さん」

「どうと言われても、分からないが…あ、そう言えば玉を触って出てきたあれが消えているな」


ふるちんのリックがジェシカに答えた。

上着は後にして下を先に履けよ。


「ステータス表示か?もう一度玉に触ったらどうなる」


リックが箱を開け、玉に触れる。


「あ、また出た」


元NPCの蘇生は玉に触れて残機1になる感じか?



「リックの死体に、スキルの解体使ったら、どうなるんだろうか」

「何も残らないのじゃないかしら?もし肉が出ても、それはそれで困るし」

「そうだな」


アイテムは出ないだろうし、人肉はなあ。一部のゲームでは食料扱いしていたようだけど、現実では狂気の沙汰だ。


「いや、しかし、死んでも生き返れるというのは、凄い事じゃないか」


おや、トムスが食い気味に詰め寄ってきたぞ。


「そりゃ凄い事ですけど、死ぬときは辛いんですよ。まあ、俺は即死や麻痺毒死だったので、それほどではありませんでしたけど」


焼け死ぬとか失血死とか一生に一度で十分でしょ。


「それでも諦めなければ、いつか町を取り戻すことができるだろ」

「それはまあそうですけど」

「それで、お水は?井戸へ行ったのに何で川に?」

「あ、井戸が使えなかったから、とりあえず川の水を汲んできた。煮沸してくれたら、その水で井戸を動かしてみるから」


ジェシカの指示に従い、炊事場に瓶を置いてから、トムスにステータス取得について確認する。


「ゴモン以外は全員取得できたか?」

「ああ、ゴモン以外は取得した。ゴモンの奴はもう少し調べてみるそうだけど、何故あいつだけ後回しなんだ」

「ステータスが見えるっていうのは、本来ハンターだけだったろ、その違いがもしかしたらここの探索に、何かしら関係があるかもしれないと思ってな」

「そういうもんかね」


トムスは少し懐疑的なようだ。


「あ、あった!あったぞ」


ゴモンの叫び声が上がった。

ゴモンは祭壇付近で四角い板をもって、興奮した様子を見せている。



「何か仕掛けが見つかったのか?」

「ああ、見てくれ。この床板を剥がすと、並んだ板がこんな風に横へずれる仕組みだったんだ。板を順にずらしていくと、最終的に神像が板一つ分動かせるはずだ」


横へ動かす…スライディングブロックパズルか!だけどそうなると、単純に動かすだけじゃないな。


「よっしゃ俺に任せろ」


言って、リックが板を動かそうとする。


「「ちょっと待て」」


俺とゴモンの声がハモった。


「やっぱり罠があると思うか」

「間違いなくあると思うぜ、こいつは手順を間違うと罠が作動するタイプに思える」


武器庫にも罠があったんだ、隠し部屋にないわけがないよな。


「解除は?」

「罠の装置は地下だから無理だな」

「パズルを正攻法で解いた場合は?」

「それなら罠は発動しないだろう」

「なら正攻法でやろう。おそらく床板の模様をきれいにそろえるのが正解だ」


床板にはうっすら模様が描かれているから、これをそろえればいいと思う。


「確かに模様があるな、あんた良いシーフになれるぜ」


観察スキルを獲得しました。

罠感知スキルを獲得しました。


お、スキルが増えた。

ステータスは…。


【名前 世界航】

【種族 人族】

【年齢 21歳】

【状態 健康】

【職業   】

【スキル ステータス開示 開示 鑑定2 投擲1 忍び足2 槍術3 観察1 罠感知1】

【固有スキル 訓練所作成】


開示  対象の名前を表示する(パッシブだがオフ機能アリ)

観察  対象への理解が深まる。

罠感知 罠の存在を知ることができる。


ちょっと、ふわっとした感じのスキル解説だけど、便利そうではあるな。

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