第7話 部室と卓球台 2

「それじゃあ、先輩。行きますよ!それっ!」

「ていっ!」


そんなわけで、後輩のゆめちゃんと卓球することになりました。

卓球は、小さい頃にはじめてお父さんと温泉でやって、それから温泉の後に卓球台があったらやってたりしてます。

久しぶりだなって、思いながらラケットを振るわけですが…。


「それっ!」

「えいっ!」

「はいっ!」

「おっとっ…。」


ゆめちゃんとやってすぐに気づきました。


「どうしましたか、先輩?」

「ううん、何でもないよ。」


この時、気がつきました。

ゆめちゃんは、最小限の移動で私の球を返しているのです。

それに対してわたしは左右に振られているのに気がつきました。

文化部の部室は、部屋がかなり縦にも横にも広いので卓球台の中心から左右に移動するスペースは3メートルくらいあります。

そして、ゆめちゃんは卓球台の形状を利用して卓球台を回り込ませる打ち方をしていました。


(うう…ゆめちゃん、ひどいよ。)


視線をそらすとまゆ先輩は、急須に入れた緑茶を飲んでいました。


(しかたがない…。)


「てぃや!」

「はうん!」


わたしは、ここぞとばかりにスマシュを打ちました。

ゆめちゃんは、スマシュを打つのは予想していなかったようでボールは卓球台に一度当たると跳ね返ってゆめちゃんの左側を通り過ぎました。

ゆめちゃんは、そのボールを打とうとしましたがラケット左腕にぶつかってしまいました。


(…そっか、ゆめちゃん、左に打たれると弱いんだ。)


ゆめちゃんは、最小限に動いていましたがあれは利き手で打つための移動でした。


(さて…ここからが本番だよ。)


わたしは、ひたすらゆめちゃんの左側を狙ってボールを打ち込みました。


「それえ~。」

「あっ…。」


気の抜けた声を出しながらの高速で球を打ち出す。

お母さんがお父さんに卓球でよくやっている技です。


あとは、点数を稼ぐだけ…そう思ったわたしはゆめちゃんにバウンドさせたボールを返したりと少しいたずらしながら卓球を楽しむのでした。

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