第3話 木下しずか

「たくや、お姉ちゃんもういくね!」

「いってらっしゃい、お姉ちゃん。」

「うん、あんたも遅刻しないようにね。それと、鍵も締めといてね。」

「うん、わかった。」

『今日の運勢、第一位は乙女座のあなた。』


少し駆け足で家を飛び出す。

最近は、物騒だから弟が鍵を閉め忘れないか少し心配だったりする。

かなの家に行く途中の道でロゼさんに会った。


「おはよう、ロゼ。」

「おはようございます、木下さん。」

「それじゃあ、行こうか。」

「ええ。」


かなの家につくまで、2人で他愛のない話をしていた。

今度、近くのカフェで新しいデザートが出るそうだとか、駅前のファッションショップの商品がそろそろ変わるとかそんな感じ。


「そういえば、木下さん。」

「ん?どうしたのロゼ?」

「はい、ロゼさんには弟さんが居ましたよね?」

「いるけど、どうしたの?」

「いえっ、この前公園で遊んでいるのを見ましたので。」

「そうなんだ。」

「ええ、ですけど…その…。」

「うちの弟が何か悪いことでもしてたの?」

「そうではないんですけど…他の殿方とキャッチボールをしていましたので…。」

「…なるほど。でも、知らない人だったの?」

「その…何と言いますかあまり男性を見たことがないので、つい…。」

「この近くだと、かなのお兄ちゃんか交番のおじさんくらいだもんね。」

「柳さんに、お兄さんがいるんですか?」

「うん、あっそっか…かなはまだ会ったことないのか。いい人だよ。」

「そうですか…なら良かったです。」


(あぶない人にはついて行かないって言ってはいるんだけどなあ…まあ、かなのお兄さんなら問題ないかな。家に帰ったら聞いてみるか…。)


そんなこんなでかなの家の前についた。

思いっきり前のめりになったかながドアから飛んできた。


「おはよう、かな。」

「おはようございます、柳さん。」

「しずちゃん、ロゼちゃん、おはよう!」

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