第37話 可愛い二人
借りたお金を持って2件隣りの服屋で安いコートを見せてもらった。暑くも寒くもないので、店員にコートとか必要かと聞くと、必ず有った方が良いと勧められた。理由は冒険者に成ればすぐ分かると、意味有り気に言われた。
受付嬢のレスカさんに勧められたのなら信じて買っていけと、コートが必要という理由も説明してくれなかった。
丈は3種類……生地はどれもかなり薄い。防寒の為ではなさそうだ。
本当にコートが要るのか疑問だ。
どれが好みか分からないので、現物の写メを幾つも送って二人に選ばせる。
俺は濃紺の膝下まであるロングコート、ミーファは淡い緑の膝上辺りの長さのハーフコート、ちーちゃんは茶色に近いベージュ色のミーファと色違いのハーフコートを選んだ。
どうしても下着が欲しいというので、女性店員に選んでもらい、1枚ずつ二人に買ってあげた。
俺は、今は保留だ。
三人分のコートと2枚の女性下着で2万5千ジェニーだった。俺のロングコートが1万ジェニーと一番高かったのだが、黙っていよう。二人のコートが1枚7千ジェニー、そして……この紐パンが1枚500ジェニー。
どう見ても紐パン……Tバックというやつだな。しかも両サイドは結ぶタイプだ。店員が言うには、これがこの世界の一般的な女性下着なのだそうだ。
後でまた来ると店員に言って、購入した服を持って二人が待っている待機部屋に行こうとしたのだが、こっちからは入れない……。そうか、一方通行だった。
入れないから出て来いとメールを二人に入れたら、建物から10人ほどが出てきた。何事だと思ってたら、むっちゃ可愛いエルフが俺の方に体を両腕で隠すように駆けてきた。
「ヤクモ!? 助けて! ヤクモよね?」
「ミーファ? やっぱ本物のエルフなんだ!」
人だかりはミーファたちに群がる野郎共のようだ。ミーファ用に買ったコートをすぐに羽織らせてあげた。
「八雲君! 助けて!」
「ちーちゃん?」
声のする方に人ごみを掻き分けて行くと、体を両腕で隠し、涙目で蹲ってる女の子が居た。
ミーファに匹敵するほどの美少女だが、両手で隠しているはずの体が、隠しきれていない……。
体と言ったが正確には胸だ! 胸が両腕でひしゃげて、今にも零れ落ちそうなほど凄いことになっている!
エロい! 実にエロいことになっていた!
とりあえずコートを被せてあげたのだが、7人くらい居る男たちが絡んできた。
「何だお前! なに邪魔してんだ!」
「この二人は俺の連れだ! お前たちこそなんなんだ?」
どうも、貫頭衣を被っただけの超可愛い初心者二人を、何が何でも仲間にしたくてしつこく迫っていたようだ。
「ちーちゃん? ミーファ? 何かされたか?」
「大丈夫よ。あれからちょっとしたら大部屋に強制転移されて、仕方なくこの姿で待っていたら、後からきたこの人たちにあれこれ絡まれちゃって……でも何もされていないので大丈夫よ。ヤクモ、すぐ来てくれてありがとう!」
ミーファ可愛すぎ……ちーちゃんも可愛すぎる……どうしよう。
『♪ マスター、逃げようなんて考えちゃダメですよ! 試練だと思ってちゃんと二人の面倒を最後まで見てあげてくださいね! マスターが見捨てたら、カメのミーファはともかく、エビのちーちゃんはすぐ死にますよ? もしくは、ああいう好奇な視線で見る馬鹿どもの、良いおもちゃにされちゃいます』
うっ……思考の読めるナビーに先に注意されてしまった。女子は苦手なのだ。可愛いと尚更ダメだ。過去のトラウマがあって極度に緊張してしまう。
絡んできてるヤローどものことなど、意識にも入ってない……。俺の視線は可愛い二人に釘付けだ。
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