やることないから暇
今日は部活に行く前にまず職員室に向かう。
朝日奈先生に部員が三人になって廃部免れたことを報告しに行く。
先生が来たら言おうと思ってたけど来ないからな、こっちから行かなければならない。
先生が部を放置するのは来なくて楽だという反面、こういう面倒なことが起きる。
部長になるまでは先生いなくて先輩大変だなくらいしか思ってなかったけど実際なるとほんと苦労感じる。
職員室に着いたので先生に二人の入部届を渡しに行く。
こういうのって先生が直接受け取るもんじゃないのか?
「先生これ入部届です」
「ああ、星宮か。悪いな」
そう言い先生は入部届を受け取り確認している。
「今年は二人か」
「そうですね、廃部しないためです」
「もっと人集めないのか?」
「うちの部はそんな人いらないでしょ」
人が多い部活なんて面倒事が増えるだけだろう。
うちの部は特に何か活動するわけでもないから人は最低人数で問題ない。
何より入部希望者これだけなんだからこの部自体俺らみたいなやつのためだけにあるようなものだ。
「先生ちゃんと部活に顔見せに来てくださいよ」
「この前行かなかったか?」
「普通は毎日来るんですよ」
「でも行ってもやることないから暇」
俺らの部がつまらんと言いたげに暇って言い切ってきた。
まぁそりゃそうか、この人うちの部じゃやれることないもんな。
それなら仕事してるほうがいい……とはならんと思うけどなぁ。
大人って不思議。
「せめて新入部員の顔合わせはしてください」
あれは去年のことだ。
俺が入部して三ヶ月ほど経って初めて俺はこの先生と会ったんだ。
三ヶ月部活に顔出さない顧問ってなんだよ。
俺てっきり顧問いないのかと思ってたからな。
「それならこの前しただろ」
「この前の全員じゃないんですよ」
「それはまたおいおいとな」
「おい、働け」
「私はな陰ながらお前たちを支えれるように今仕事してるんだ。だから部のことは部長であるお前に任せてるんだよ。分かるか、星宮」
そう言いながら俺の肩に手を置いてこちらを見てきた。
部のことでやる仕事なんてそうそうないはずだ。
完全に放ったらかしである。
いい感じに言ってないでちゃんと働いてくださいって言おうとしたら先生が先に喋ってきた。
「星宮なんか変わった?」
「……なんかってなんすか」
「んー、顔?」
つきだよね?
顔つきってちゃんと言って、それだと整形になるから。
俺の顔の顔の何が変わったの?
まだルナに顔は言われてないから何も問題ないはずなんだけど。
「……元からこういう顔ですけど」
「じゃあ気のせいか」
「……なんすかそれ」
× × ×
職員室から部室に向かって歩きながら先生に言われたことを考えてみる。
顔つきが変わったって言われたことについてだ。
顔って言われたけどたぶん顔つきで合ってると思う。
いや、絶対顔なわけがない。
だって俺、顔誰にもボコボコ殴られてないし。
ってそうじゃないな、脱線してるわ。
話を戻すと顔つきが変わったって言われたんだよな。
俺が最近顔つき変わるとしたら小説書く理由再確認したことだよな。
でも書きたいから書くっていう当たり前のことを再確認してるってことが底辺作家なんかなぁ。
自分を底辺作家と考えていると部室にたどり着いていたことに気づく。
部長の俺が何も言わず遅れたけどあいつら真面目にやってるかなと考えたがあの二人なら大丈夫かと思ったので何も気にせず部室に入る。
「悪い、遅くなった」
「あ、先輩遅かったですね。何してたんですか?」
「ああ、ちょっとしょくい――」
そこでおかしなことに気づき言葉を発するのをやめてしまつた。
ルナとブルースカイの座ってる位置がいつもと違う。
というかそのパソコン、俺がいつも使ってるやつじゃねぇか!
うちの部に置いてあるノートパソコンは全部色が違うから誰のか見分けれるようになっている。
俺が使ってるのは黒、ルナは水色、ブルースカイはピンクで余ってるのが白。
なんで四台なのかと言うと去年は部員が四人だったんだ。
俺の二つ上の先輩は三人でこの部を作った、そこに俺が入ったから四人で四台のノートパソコン。
そして今、後輩二人が使ってるのは俺の黒のパソコンということだ。
「……なんで俺のパソコン使ってんだよ」
「それは……セレナちゃんがですね……」
「あなたが性懲りも無く新作作ってないか確認してたのよ」
ブルースカイが申し訳なさそうにしながらルナの顔を伺っているとルナがはっきりと冷ややかな声で言ってきた。
……ふむ、新作か。
書いてたんだよなぁ、前に書いて読んで罵倒されてたときの読んでもらってるときに空いた時間暇だったから思いついたの書いてたんだよな。
別に投稿するつもりはなかったんだよ、暇だったから書いてただけなんだよ。
って言ったら許してくれるかな?
声が冷めきってたし確認してたって過去形だからもうバレてるんだろう。
怒られないにはどうしたらいいだろうか。
「あなたのつまらない駄作を発見したわ」
「何勝手に読んでんだ、てめぇ!」
いや、別に読んだらダメな作品ってわけではない。
こいつが勝手に読んだくせにつまらない駄作と言ったから反射的に言ってしまっただけだ。
ほんとこいつは言い方が悪い。
だから生意気なんだよ。
読んだなら読んだだけでいいよ。
わざわざ罵倒しなくていいから、好評だけちょうだい。
「よかったら褒めようと思ったのだけれど……変わらないわね」
呆れながらも少し心配しているように感じる。
俺の勘違いじゃなければ。
「まぁそれはつまんないって言われても仕方ない。投稿する気もなく片手間に書いてたやつだからな」
「先輩が言い返さない……!」
おい、何驚いてんだよ。
俺だってこれぐらい寛容な心で受け入れるなんて楽勝だっての。
「いつもと変わらないからいつもも片手間だからつまんないのね」
「あ? いつもは全力だっつーの!」
「……先輩、私の驚き返してください」
「……自分からダメな方で言ってることに気づいてないのかしら」
俺が大真面目にルナに言い返すと二人揃って呆れたような言葉を言ってきたのだった。
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