犯罪起こしそう
結局あの後はなんだかんだありいつも通りになった。
なんだかんだって言ってもしっかり怒られたけどね。
だが、いつも通りになっても気になることがあるようでブルースカイが俺に質問してくる。
「先輩結局なんで遅れたんですか?」
「ああ、朝日奈先生に入部届渡しに行ってたんだよ」
「朝日奈先生?」
朝日奈先生の名前を出したことでブルースカイは誰かわからず首を傾げており、ルナは眉間に皺を寄せ渋い顔をしている。
ブルースカイは会ってないからわからないか、でも会っててもあの反応なんだよなぁ。
あの人がいい印象持たれてないってのがよくわかるな。
「朝日奈先生はこの部の顧問の先生だ」
「え!? あ……そうですよね。普通いますよね、顧問」
そう思うのもわかるけどはやくない?
ブルースカイってまだ入部して一週間だよな?
早めに話しといてよかったかもな。
「セレナちゃんは驚かないの?」
「……私は会ってるから」
「そうなんだ、にしてはなんか渋い顔してるね」
ほんとにね。
あの人そんな嫌かな?
俺的には別にそんなことないんだけどルナは苦手なのかもな。
そうだとしたら毒舌は?
なんで俺だけなん?
「そいつの性癖考えればわかるわよ」
「性癖とか言わないでくんない?」
「あー、そういうことか」
「全然全くそういうことじゃないからな!」
「……犯罪起こしそうでしょ」
「しねぇよ!」
「……そうだね、やばいね」
「……やばくないから」
俺のツッコミが全くとして聞いてくれない。
ルナだけじゃなくブルースカイにもだ。
俺は頭を抱えてツッコむ気が失せてきた。
「実際、先輩って先生もいけるんですか?」
ブルースカイが楽しそうに聞いてくる。
「いや、いけない」
「犯罪とか気にする必要ないわよ。さっさと捕まってきなさい」
「違ぇよ! なんで俺を犯罪者にしようとしてんだよ」
「あ、犯罪するときこの部抜けてからにしてくださいね」
「なんでそんなリアルな感じで言うんだよ……。しないから。つーか普通に恋愛するだけなら犯罪ではないから」
「え!? そうなんですか?」
ブルースカイが俺の発言に驚いている。
ここはしっかり先輩として説明してやらないとな。
「そうよ、十八歳以上ならなんの問題もないわ」
「なんでお前が答えんだよ!」
「え、でも先輩十八じゃないですよね?」
今度こそ俺が答える。
先輩として威厳を保つ。
「そう――」
「そうね、でも十八歳未満でも性的でなくプラトニックな付き合いなら犯罪ではないわ。ただ校則があるから退学か退職のどちらかになるでしょうね」
「なんでまたお前が答えんだよ! つーかなんで知ってんだよ!」
「へー、そうなんだ。知らなかった」
ブルースカイがルナにすごいといった尊敬する眼差しを送っている。
くそ、ほんとならあれは俺だったのに。
こいつ知ってたんならなんで犯罪とか言ったんだよ。
俺が一気にそこまで飛び越えるとでも思ってんのか?
「あなたも知ってるってことはやっぱり狙ってたのかしら」
「狙ってねぇよ!」
「セレナちゃんその言い方だとセレナちゃんも誰か狙ってたってことになるよ?」
「ね、狙ってないわよ! こんな変態と一緒にしないで」
ルナがブルースカイに指摘され少し顔を赤くして慌てて否定している。
「へー、あのルナがなー」
「黙りなさい、変態! 私は違うって言ってるでしょ!」
「いや、俺も違ぇよ! 小説のネタだよ!」
「私と同じなわけないでしょ!」
「現実恋愛書いてないお前がなんのネタにすんだよ!」
「私もセレナちゃんの言い分はおかしいと思いますけど……先輩は小説からしてあんま信用できませんよね」
「なんで!?」
俺の小説に変態的要素あったか?
そんなやばい作品書いてないんだけどな。
「だって先輩絶対女教師出すじゃないですか」
「母性のあるね。あの先生には母性がない」
「セレナちゃん、そうなの?」
朝日奈先生と会ったことのないブルースカイがルナに真偽を確かめる。
ルナに確かめるって大丈夫か? 変なこと言われないかな?
まぁ懐いてないから大丈夫だよな。
「……そうね、あの人には全くないわ」
「あ、そこまでなんだ」
よかった、ルナがほんとのこと言ってくれた。
やっぱダメな先生って思ってるからだろうな。
これで俺が変態じゃないって証明できた。
あの人が顧問でよかったって思う日が来るなんて。
「なら母性ある先生だったらいいんですか?」
「はい、この話終わり! もう喋らずちゃんと部活しよう」
「やっぱり変態じゃない」
「それはほんとにバレバレですね」
否定できるかわからんから話逸らそうとしただけなのに。
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