第14話 勇者と神の鬼ごっこ
走る。走らなければ殺される。本能でわかる。あの振り向いたときの神々の目と伸也の目はこの世のものとは思えないほどギラギラと光っていた。逃げろ。逃げろ。逃げろ。後ろを振り向く。するとすぐ近くに神々が迫っている。
『あーもうちょっと運動しておくんだった。』
今更後悔しても遅い。今は逃げなければ・・・
【スキル、疾走を習得しました。使用しますか?】
ステータスを見るとそんなことが書いている。
「この際逃げれればなんでもいいや」
そんな思いで【疾走】を使用する。
ーーーーーー
2時間後
ーーーーーー
「「「「「「「はぁはぁはぁはぁ」」」」」」」
神を始めとするその場にいる全員が
何があったかできるだけ端的に説明しよう。
まず俺たち(神たちや伸也)と目線があったゆんが全力で走り出す。
それを見た神たちがなぜか走り出す。そこからくり広げられる鬼ごっこ?はとてつもないものだった。
なにせ速すぎるのだ。はじめは1キロメートルほどゆんと離れていたのだが、ゆんの逃げ足が遅いのか神が速いのかわからないが、間隔がどんどん短くなっていたため、すぐに決着がつくのだろうと楽観視していた。
その考えが甘かった。神達とゆんの距離が100メートルに満たない距離になった時に急にゆんがスピードを上げ始めたのだ。それもものすごいスピードで。
この変化に神達も驚きつつ、
『久しぶりに本気を出すかの。』
とか言って
わざわざ能力値を底上げするスキルを使って大人げなく、追いかけ始めたのだ。
ここからが大変だった。
フィールドは神たちと出会ったこの木以外建物などはなく、地面も少しの緩急はあれど、基本は平であり、水平線が見えている。ゆえに隠れる場所などどこにもないため、走り続けるしかないという状況になっていた。
自分は何をしていたのかって?そりゃあ止めようとしたさ。でもね無駄だったんだよ。神の前に立ちはだかって神の動きを止めようと思えば、もみくちゃにされて、無残な姿になるし(ふとステータスの体力見たら残り1しか残ってないし。)、ゆんの前に立って、ゆんを抱きとめるかなんかして事態を収束させようとしたんだが、するとゆんは進行方向を90度回転して、逃げて行くんだよ。残された自分は、物理的ダメージではなく、精神的ダメージを負ったわけなんだが・・・
『あーゆんから信用されてないんだなー』
とかしみじみ思ったりして・・・
ーーー
伸也は神からの物理ダメージとゆんから受けた精神的ダメージでもう止める手段がなかった。ゆえに叫んでみることにした。
「そろそろやめろーーーー」
そう叫んだ瞬間一瞬だが、ゆんと神たちの動きが拘束される。まるで急に金縛りにあったように。すると次にはバタバタと神が倒れて行った。理由はいつも動かしていなかった体を急にスキルまで使って動かしたため、体にガタが来たのではないか。と勝手に推測しておく。なにせこの理由について神たちが頑なにしゃべろうとしなかったから真相は闇の中だ。
ともかく神達とゆんの鬼ごっこは唐突に終わりを迎えることとなった。
なんかさっきから目の端にステータスが映って
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