第4話 洞穴での決め事
「えっとここがどこだかわかりますか?」
ひとまず周りを見渡しながら少女に尋ねてみた。
自分の質問に少女は人差し指を当て、うーんと考えてからにかっと笑って
「わかんない」
と答えた。
ーーー
「・・・」
「ん?どうかした?」
自分が無言でじっと見つめていたことに疑問に思ったのか?少女はそんな質問をしてきた。
自分はというと・・・
『ほんとにこの人、烏野さんだよな?自分のいつも抱いているイメージとの乖離が強くて本当に烏野さんか確証が持てない・・・』
『ていうか笑った顔初めて見たな。クラスで見てた時は笑ったところ見たことないからなんかギャップ的何かでハートブレイクショットを撃ち込まれた気分なんだが・・・なんだよ普通にかわいいじゃねーか。いやね別に元がかわいくないなんて誰も言ってないんだからねっ!』
そんな変なツンデレともに烏野さん(?)に対してのことを考えていた。
あぁもうよくわからん。ひとまず自分の疑問をしらみつぶしに消していくか・・・
そんな思いで次の質問を繰り出す。
「あの、ちなみにお名前伺っても?」
自分のした質問に少し驚いた顔をした後
「だから私のこと敬語でしゃべってるんだ・・・なんか悲しいかも」
小声でなんかしゃべられました。はい。自分にはなんでかよくわかんないけど普通に聞こえましたよ!陰口は陰でしゃべって!本人に聞かれないようにして!傷つくから!!
「じゃあ逆に私、だれだと思う?」
質問に質問を重ねて返してきました。
自分にはクラスメイトで思い当たる人物は一人しかいない。
「烏野さん?」
「ふふふ正解~ぜひ伸也君にはゆんって呼んでほしいなっ」
こうゆう風に言われたならコミュ力の高い人なら
『じゃあゆんよろしくな!』
とか言うんだろうな。
自分にはほとんどしゃべったことのないやつをいきなり名前呼び&呼び捨てなんて抵抗しかないんだがなっ
そこで自分は頑張ったほうだろう。
「じゃあゆんさんで」
これが自分にできる最大限でした。
これに対して烏野さんおっとゆんさんは露骨に悲しい顔を一瞬浮かべた後、
「まあいいやこれから時間はたっぷりあるし」
そう小声でしゃべった後洞穴の入り口へ歩いていきました。
『そういえばここ洞穴だったな。』
目の前のものに興味が出ると周りのことを忘れる。悪い癖ですね。直さないと・・・
「あっ」
急にゆんさんは振り返り自分にくぎを1本さしていった。
「私のことはため口でいいからね?っていうか気を遣うから敬語やめてね」
ぼっちにとって初対面の相手に急に敬語からため口に変えてとか言われてすぐに直せるやつはいない(と思いたい。)
そのせいで直しながらしゃべると言葉にバグが発生する。例えば・・・
「わかり・・・わかった気を付けま、気を付けるよ」
こんな風にね。はあ前途多難だろここから。女子と二人っきりなんて。
ーーー
とりあえず洞穴の外に出ることになり、この場から外に出るのだった。
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