第83話 許可とは

さて、問題です。


いつも頭に乗れてるわんこ精霊さんが羨ましいなと思いました。そしたら君も遠慮しないでいいよと言われました。

ではどう行動するでしょう?


1)辞退する。

2)大人しくわんこ精霊さんの隣に座る。

3)イエーイやったぜ、ひゃっほ~ぅ! とお祭り騒ぎをして弄りたい放題にする。



 よじよじー

 きゃー! おもしろーい

 ぼくもぼくもー



顔の前には漸く少し伸びてきた髪を、無惨にも捻られ縛られして固められた毛の小束を垂らされ、そしてそれによじ登ったりぶら下がったりする精霊さん達……



ええ、勿論正解は3ですよ。

ほんとに全然! 全く! 遠慮なく! とっても楽しげに遊んでくれてますとも。


いや、確かにさ、遠慮しなくていいとは言ったよ? でも「乗りたいなら」ってついてたからね?

誰も髪の毛で好き放題遊んでいいなんて言ってなぁ~いっ!


わんこ精霊さんもいつも遠慮なく頭モミモミしてくれてるなぁと思ってたけど、もしかして精霊さん基準ではもの凄く遠慮してたのだろうか……?



まあそもそもなんで他の精霊さん達に許可出す事になったかっていうと、実は今日の昼間神様の所にいってきたんですよ。

なるべく早く確認しておきたいなーって思ってね。

でもまあ、予想通りあんまりハッキリと答えてくれなくて判らなかったんだよね。

水のきらきらも、私の体の事も。


せめて私の体の事くらい教えてくれてもいいんじゃないの? とは思うんだけど、神様的には精霊の災いの事を話してしまったせいで、私との間に変な繋がりができたのを見て私にはなるべく情報を与えない方針にしたっぽい。


同じ知るのでも、聞くんじゃなくて自分で検証なりして調べなさい、自力で情報を得るのは邪魔しないよって事らしい。


むぅ……まあ何でもかんでも聞くのはズルいのかもしれないけど。でもさ、そんな事言っても調べるのも難しくない!?



そんな感じでちょっとモヤっとしたまま帰宅する事になって。


気分転換にまた精霊さんセラピーでもと考えてた時、頭に乗るわんこ精霊さんをじーっと見ていた精霊さんが何人かいたのに気付いたんだよね。


精霊さんからハッキリ聞いた事はないけど、どうやら名付けしてない子が私に触ってくる事はないようだし、いつも教会への案内やら祝福付けやらでお世話になってるお礼代わりに「乗りたいなら遠慮しないで触っていいんだよ?」と言ったんだよね。

流石にこの人数に名付けできないし。とりあえず触る許可出してみた。



で、その結果が今の状態、と。


そうか、名付けしなくても許可があれば触れるのね……

そしてそんなに私の頭で遊びたかったのね。


私の頭はもうすっかりアスレチック遊具状態で。ジャングルジムやらターザンロープよろしく髪の毛でキャーキャー言いながら遊ぶ精霊さん見てたら、怒る気も失せるというか……これはこれで精霊セラピー効果ありなのかも。



……ところでコレ、ちゃんと元通りになるんだろうか!?


う、急に不安になってきた。


「精霊さーん、もうおしまーい。今日は終わり!」


 おわりなのー?

 えー、えんちょうしたいー

 またリーンとあそぶのー

 たのしかったー

 よじよじするー


いやいや、私『と』遊ぶっていうか、私『で』遊んでましたよね?

楽しそうで何よりですが。


ちょっと不満そうな子もいるけど、一声かけたらみんな素直に終わりにしてくれた。

精霊さんイイコ!



で、髪の毛はちゃんと戻ったかといいますと、もの凄く細かく編み込まれていたりして一人じゃ解くの大変で……

結局ご飯を食べにきたラークに手伝ってもらう羽目に……



うぅ……あの頭見られるのめっちゃ恥ずかしかった……一目見るなり固まってしまったラークの姿思い出す度、うわあああって叫びたくなる私なのであった……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る