王国首都郊外の農場(敷地内2)

 ルトギエルは反撃の機会をうかがっていたが、急に周囲が静かになり敵の気配を感じた。


 顔を上げてみると、思いのほか敵は近くにいておのれを射程にとらえていた。


 ところが、短機関銃サブマシンガンの銃口が火を吹いた瞬間、襲撃者はその場で倒れて動かなくなった。


 まるで、糸の切れた操り人形マリオネットのようだった。


 ルトギエルは頭上をかすめて行った9ミリ弾に首をすくめつつ、味方らしき銃声は遅れて来たが、遠距離からか……と頭の片隅かたすみで考えながら、ほかの敵の位置をうかがう。


 そして、拳銃を構え直そうと不自由な姿勢で身体からだを動かしていると、母屋おもやの戸口から人影が駆け出して来た。


「おにいさま! お怪我けがは!?」

「レティスか? なんて無茶を!!」


 ルトギエルはしかりつけながら引き倒し、妹の上におおかぶさった。


 レティシアを追った銃弾が地面をたたき、土塊つちくれね上げた。


「〈狩人かりゅうど〉が攻撃している者を狙撃するって。だから、味方は銃を下ろしてって……」


 レティシアは上気じょうきしたほおを向けてあえぎながら、軍用拳銃をにぎりめたルトギエルの右手をそっとおさえた。

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