5.リソースの奪い合いと共倒れ

 ここのところ二回連続でラーメンの話が続いてしまったので、今回は創作の話。創作の話っていういう言い方をするとぼわっとしてしまうので、より具体的にすると「絵師」と「スマートフォンゲーム」の話。


 実はこの話、結構前から章立てに分けた創作論にまとめようかなと思っていたのですが、思った以上にまとまりが悪い(話が広範囲に飛んでいる)ので、まずはこういう形でちょこっと書いてみようかなという試み。


早い話が下書きなんだけど、その中で自分の率直な感想とかも述べていくので、ありていに言ってしまえば「解説付き下書き」ってところでしょうか。解説なんかいらないって言われても無理やり付けます。そういうシステムです。


 さて、具体的な話。と、言っても言いたいこと自体はそんなに難しいことじゃありません。昨今の「絵師定額課金制度」に萎えたってお話です。名前は勝手に自分がつけたものなので、検索しても引っ掛かりませんのでご注意ください。自分は時折造語を当たり前のように文章に混ぜ込んでいきます。


 で、その「定額課金制度」。要するに「有料プラン」ってことです。名前は色々あるのであえて挙げませんが、要は「クリエイターに月々定額で入れると、有料プランの絵なんかが見られるよ」ってシステムのことです。分からない場合は、適当に好きな絵師のプロフィールとか覗いてみてください。何人か当たっていくと行きつくと思います。


 仕様はサイトによってまちまちです。自分があまり詳しくないというのもありますが、月額500円だったり、もっと高いプランもあったりして、中には無料プランもあるのですが、基本的にはそれで見られるものはかなりの制限が入れられているということがほとんどです。そりゃそうでしょう。無料で見てもらうんだったら、他にも方法はありますもんね。


 上記でも触れたように、そんな昨今の流れが自分は正直嫌いです。嫌いなのには色んな理由があるのですが、正直なところ「デジタルな世界での創作のやりとりにおいて、いい流れとは思えない」というのもあります。これは説明しても多分分かって貰えないだろうし、どうせ「お前がただで見たいんだろ」という全く見当違いな批判をする輩がいることは分かっているので今のところは詳しく触れません。


 その他にも理由は様々あります。まず専用のサイトに籠ってしまうと単純に探しにくい。自分はこれでも色んな絵や漫画を探している質です。ですが、正直ひと手間くわえられるだけで、大分心的ハードルがあがるのです。対応しない方が悪いと切り捨てればそれまでですが、その切り捨てた分だけ「見てもらえる可能性」が減ります。

 そして、課金プランですが、一人の絵師ならば月額500円なのですが、これが多数となってくると大分な額になってくるということ。


例えばその時に出てきた絵が見たいだけだったとします。そのために月額500円をひと月だけ払うという選択をしたとしましょう。すると当然ひと月が過ぎた段階で無料プランに戻したりするのには手間暇がかかります。


これが一つならばいいのですが、数が増えれば増えるほど手間は累積していきます。管理しきれない場合もあるでしょう。作家からしてみれば余分に入るお金はマイナスではないように見えるのですが、「他の絵はいうほどでもないなぁ」という状況で間違って払ったという状況は正直金額以上に「やってしまった」感が残ります。過去に全く使っていなかったSpotifyの月額料金を払ってしまっていた時のダメージは正直金額以上でした。


 そんなことを考えていくと「じゃあ、全部いいや」という選択肢を選んでしまうのです。


 基本的に一人の人間が持つリソースというのは有限です。以前あるスマートフォンゲームに対してのコメントで自分が「その通りだな」と思ったものがあります。それはずばり「運営は自分たちのゲームだけをやってもらえてると思ってないか?」。


 人にもよると思うのですが、スマートフォンゲームを複数やっているよというのは珍しいことではありません。一つのゲームで知り合った相手が、他にも同じゲームをプレイする仲間だった、なんていうのはよくあることです。


 しかし、そうなってくると当然、その中でリソースの取り合いが起きます。課金をするならばその額面が、そうでなくともプレイする時間には限りがあります。一人の人間にできることは有限なのです。その中で割り振っていこうとなったときに、その愛着によってかける時間は変わってくるのです。


 そうなってくると当然新規参入しても、まずやってもらうのが難しいし、それが定着するとなるとなお難しい。仮にプレイしているゲームの中に入れてもらったとしても、その愛情ははっきり言ってゲームの数で分け合うことになります。


自分がそうです。自分は数だけならば結構のゲームに触れてはいるのですが、結局愛着を持ってプレイしているのはせいぜいが二つか三つといったところ。本気でやっていて、課金(ないしはグッズの購入)を検討するのも大体同じくらいのタイトル数です。


グッズならともかく、課金ともなればちょっと入れるくらいではあまりプラスが感じられないので、それなりのリソースを割くことになりますし、やっぱりどこかで頭打ちになってしまうのです。


 そして、そんなことが先ほどの話にも言えます。


要するに、個々人に出来る「物を買う以外の絵師への金銭投資」のリソースってそんなに多くはないぞ、ということです。これは趣味が多ければ多いほど、そちらにとられるからなおさらです。


 そうなってくると、月額500円という値段とその絵師に対する興味や好感度を天秤にかけて、「じゃあいいや」になってしまうのではないかと思うのです。少なくとも自分はそういう質でした。


 これがデジタルなデータのやりとりでなければ話は別です。印刷物を複製するのにはそれなりの金銭的出費が伴います。しかし、データの複製販売に関しては数を増やしていけばいくほど反比例するようにして、そのコストは下がっていきます。ところが上記のようなプランは「デジタルなデータ」を「フィジカル(物質)な物」と同じ扱いをしているのだろうなぁとうすうす思っている次第です。


 極論になりますが、自分は出来る限り「デジタルなデータ」には無料でアクセス出来る形であってほしいと思っています。これはkindleなりnoteなりで値段をつけて販売するということをやりたがらないことにもつながっています。


 多分「そんなことできない」とか「代価として金銭を払うのが当たり前だ」という人もきっといると思うんです。


 ただ、思い返してみれば、デジタルなデータを無料で入手して、フィジカルなモノを購入するという経路をたどっていることがきっと多くの人にはあると思うんです。もしそうでなければ自分は決して城プロのグッズを買いたいなどと思ってないはずなのです。だって、黙ってれば無料でずっと出来るわけなんですから。


 そんなわけで、デジタルとフィジカル。無料と有料。もう少し立ち止まって考えられてもいんじゃないかなぁと思う今日この頃でした。あとついでに城プロの図録が再販されないかなぁと思う今日この頃でもありました。

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